「英文ジャーナルを読みこなそう」 vol.83 2001/04/01



◆ 以下の英文を読んで下さい。

Tokyo District Court found hemophilia specialist Takeshi Abe not guilty of professional negligence resulting in the death of one his patients from AIDS. The ruling demonstrated how hard it is to hold physicians accountable for negligence. More than 500 hemophiliacs have died from AIDS caused by the unheated blood products.


<Key Word>   guilty  : 有罪の

guilty or not guilty というセリフは、裁判ものの映画やドラマでご存じだと思 いますが、acquittal(無罪放免)、acquit(無罪にする)などの単語はジャーナ ルによく出てきますので、いっしょに覚えておきましょう。


<重要語句>

☆ District Court : 地方裁判所
☆ hemophilia : 血友病(血友病患者は hemophiliac )
☆ professional : 職業上の、専門的な
☆ negligence : 過失、怠慢
☆ result in 〜 : 〜という結果になる
☆ patient : 患者
☆ hold : (〜を〜だと)判決する
☆ physician  : 医者(特に内科医)
☆ accountable for 〜 : 〜の責任を負う
☆ die from 〜 : 〜が原因で死ぬ
☆ caused by 〜 : 〜が原因で
☆ blood : 血液(「ブラッド」と発音)


◆ 単語の意味が分かったところで、もう一度読んで全体の意味をつかんでみて下さい。

Tokyo District Court found hemophilia specialist Takeshi Abe not guilty of professional negligence resulting in the death of one his patients from AIDS. The ruling demonstrated how hard it is to hold physicians accountable for negligence. More than 500 hemophiliacs have died from AIDS caused by the unheated blood products.

* professional negligence resulting in the death (業務上過失致死)は熟語 として覚えておきましょう。




◆ それでは意味をみていきましょう。

東京地方裁判所は、血友病の専門家である安部英被告には、エイズ患者のひとり の死に対する業務上過失致死の罪があるとは認めなかった。この判決は、医師の 過失に対する責任を認定するのがいかに困難であるかを示している。500人以上の 血友病患者が、非加熱血液製剤が原因のエイズで死んでいる。


◆ 最後に本日の Key Word を確認して終わりましょう。

<Key Word>   guilty  : 有罪の

ついでに覚えたい単語 : acquittal(無罪放免)、acquit(無罪にする)


●編集後記●

■非加熱製剤の危険性を認識していたかが問われた1985年以前に、安全な加熱製 剤が認可されなかった経緯を、当時新聞で読んだことがある。「国内の製薬メー カ(たぶんミドリ十字)の開発が遅れているので、足並みをそろえるために、外 国の加熱製剤を認可しない。とやかくいうのは、ものを知らない人間のいうこと だ、とある教授(おそらく安部英元帝京大学副学長)の弁」とあった。新聞の片 隅に載っていたコラムは、ものを知らないそのものとは何かじっくりと見せても らいたいものだ、と締めくくっていた。結局、ものを知らなかったのは安部英元 副学長の方だったわけで、そのおかげで無罪になってしまった。

■当時私は外資系の製薬会社に勤務していたので、教授と製薬メーカーの関係、 教授が医薬製薬行政に及ぼす絶大な力をある程度知っているつもりだ。知らなか ったから無罪というのは、あれほどの力を持っている専門家にあてはめていいの だろうか。無知だったから無罪ではなく、無知だったならば、それこそ罪に問わ れるべきだという気がする。知らなかったのは非加熱製剤の危険性ではなく、恥 なのではないか。

■今はどうかは知らないが、当時は医薬品の流通販路は閉鎖的で、外資の製薬メ ーカーが入り込む余地はなかった。だから日本のメーカーと提携し、製品を販売 してもらっていた。製品を認可してもらうための政治力も日本のメーカーに頼ら なければならなかった。このマーケットを完全に自由化すれば、日本の医薬品メ ーカーで生き残れるのは数社しかないといわれていた。

■日本には、製造過程が少し違えば同じものを作ってもかまわない「ぞろ」と呼 ばれている医薬品がある。薬価は安いが、開発に費用をかけなくてすむので安く 販売できる。日本の一流の製薬メーカーもこのぞろ製品を作っている。価格が安 いのでそれを購入し、高い薬価の本物の製品で薬価請求をする心ない医者もいる。 ■国民医療費は国家予算の半分を越えようとしているが、改善すべきことはたく さんあるはずなのに、医療費の値上げで解決しようとしている。医療費の増大に 対処するための介護保険も、結局は国民に負担をかけるだけの、ある種の医療費 の値上げという気がする。薬が一番儲かるので、病院はなるべく多くの薬を処方 し、薬漬け医療と批判されている。それでも半分の病院は赤字だというから、い ったいどうなっているのだろう。

■非加熱製剤は当時他の医師も使っていたから安部英被告にだけ罪を認めること はできないという今回の判決は、つまりは、赤信号みんなで渡れば恐くないとい うことだろうか。




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