文学shortコラム (アメリカ文学)


1920年代の文学

 1920年代を解くキイワードは、幻滅だといわれています。

 第一次世界大戦という残忍な近代戦、戦後の貪欲なヴェルサイユ条約、赤狩り、偽善的な禁酒法などに若者は幻滅し、ジャズ、覚醒剤、酒、性などにはけ口を求めます。ただ、経済的にはヨーロッパにはドルが君臨し、自動車、電気、石油などの製造業を中心に、資本の集中を伴いながらアメリカは飛躍的に発展していきます。ここに大量生産、大量消費社会が始まり、人々の生活は豊かになり、新しい生活様式、風俗革命の時代となります。

 この時代の文学は、フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ドス・パソスなどのいわゆる「失われた世代(Lost Generation)」の作家たちによって代表される「モダニズムの文学」です。

 女流作家のガートルード・スタイン(1874-1946)は、第一次世界大戦後の、幻滅から出発して懐疑へと傾いていった一群の若いアメリカの作家たちを、戦争によって失われた幸福を求めて飲酒や乱痴気騒ぎに明け暮れる生活を送っていたことから「失われた世代」と名づけました。

 彼らは第一次世界大戦を体験し、戦後の社会の繁栄と活気を享受する一方で、混乱と幻滅も経験します。ドルの高騰のおかげでパリに渡り、解放感と芸術に浸ります。1920年代のパリは、文学、絵画、音楽など、芸術の世界都市でした。そこにはモダニスト芸術家の多くが集まりました。

 次回からはこの「失われた世代」の作家たちをお送りします。




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