名前の由来 〜西瓜と冬瓜


夏の風物詩の一つであるスイカはご存知の通り「西瓜」と表記する。 昔、漢の王宮の西側で栽培されていたから、ではない。 西瓜の原産地は南アフリカらしい。 現に南アフリカのカラハリ砂漠と周辺のサバンナ地帯から多種多様の西瓜の野性種が発見されているのだ。 エジプトでは4000年程前に栽培されていたと思われるような壁画も発見されている。 3000年前にはギリシャに、1900年前にローマに伝わり、 これがペルシャ(法爾西)を経て伝わってきたので「法爾西産の瓜」すなわち西瓜と称されることになったのであろう。

余談ながら以前テレビで見たとき、中国のある市場で売っていた西瓜は楕円形であった。 それだけなら別段違和感はないのだが、それを輪切りにして紐を通し軒先にぶら下げていたのである。 あれでは西瓜の水気たっぷりのシャリシャリ感が台無しになってしまうではないか。 それとも中国では西瓜は干して食べるのが王道なのだろうか。これは長年の疑問であり、未だに解けない。

同様に瓜科である冬瓜の名称の由来も冬に採れるから、ではない。 ましてや秦の時代、冬宮を居としていたため「冬宮華」と呼ばれていた劉夫人の好物だったからでもない。 ちょっとサイト検索をかけてみたところ、『トウガンの名前の由来は、和名のトウガンは冬瓜(とうが)と呼ぶのが正しく、 東国なまりで「トウガン」になったとされています。』という説明があった。 おやおや、これではちっとも説明になっていないではないか。 なぜに夏の野菜である冬瓜に対して「冬」の漢字を使用しているのか不明である。

うむ、仕方がない。私が説明して進ぜよう。

先ほども記述した通り、冬瓜は夏の野菜である。 だがこの冬瓜、食すだけではもったいないほどの優れものなのだ。 詳しい方法は省くが、便秘解消、利尿作用、むくみやしみ・そばかすの軽減、果ては痔の痛みを抑えるのにも有効である。 (これらは煎じたり他のものと混合して使用しなければならない。くれぐれも冬瓜の一気食いで治ると早合点しないように) さて便秘やむくみ、痔などはお気づきのように漢方で『厳冬』と呼ばれる部類の症状である。 すなわち冬を越すのががつらくなり冬を通常の人より厳しいものと感じてしまう症状、ということなのだ。 そして冬瓜は『厳冬』を軽減する。

もうお分かりであろう、冬瓜とは「『厳冬』を軽減する瓜」という意味なのだ。 『厳冬』持ちの皆さんも一度漢方医にご相談されてはいかがだろうか。

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