故事成語 〜インターネット


インターネットといえば internet つまり「相互網」 という意味の英語だと思い込んでいる方はどれくらいいらっしゃるのだろうか。 だがそれはいけない。 時代は二十一世紀。世界終末もなく、空飛ぶ自動車もアトムも縁遠そうだが二十一世紀である。 二十世紀最大ともいえるこの誤謬を持ち越すのだけは避けねばならない。 そう、インターネットの「インター」は英語などではない。実は故事成語なのだ。 驚いた方もおられると思うが、正確に述べれば元は故事成語であるということである。

インターとはそもそもは因詫阿(いんたあ)という字を使う。
何?意味がわからない? 焦ってはいけない、順を追って説明しよう。

昔、中国に呉という国があった。 それとは関係なく戦国時代に因という国があった。 そんな国は知らないだと?中国は広くて四千年の歴史の国なのだ。よって因という国もあったかもしれないではないか。 その因の王はかなり好戦的な人柄で周囲の国々が講和を申し入れても聞く耳持たずに絶えず戦争を仕掛けていた。 当然因の支出はかさみ、どんどん備蓄は乏しくなって、民も疲労しきってしまった。 だが王は周囲の臣のいさめも聴かずに、戦闘に明け暮れていたのである。

ほとほと困り待てた家臣達であったが、その話を耳にした庭番である阿が散歩に出てきた王に何気なく話しかけた。
「王よ、例えば街で何でも切れる矛とすべてを防ぐ盾が売られていたとします。 この矛を盾に突き刺せばどうなると思われますか」
「それは矛盾である」
「では王よ、蛇に足をつけたらどうなりますか」
「それは蛇足だ」
「ナイスツッコミでございます。では王よ、一匹のカタツムリがいたといたしましょう。 このカタツムリは己の背にある小さな殻では物足りなく感じて、少しずつ大きな殻に移っていったのでございます。 そしてとうとう元の二倍の大きさの殻を手に入れました。ところがカタツムリの天敵がそのカタツムリに襲い掛かりました。 カタツムリは必死に殻の奥に逃げようとしたのですが、 殻が大きすぎたために天敵はやすやすとカタツムリの身を捕らえて食らってしまったのでございます」
これを聴いた王はむやみに領地を広げてもよろしくないのだ、と反省して阿に詫びた。 阿は自分も出すぎたことを言ったと王に詫び返した。 ここから相互に理解を深めることを「因詫阿」というようになった。

この「因詫阿」がマルコ・ポーロかどうかは知らないがシルクロードを渡る人達の誰かによって西洋に伝えられて inter(=相互)の語源となったのである。

めでたしめでたし。

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