【2005年3学期】
◆情報化が当たり前の世の中
情報化の進んだ今のような世の中になるとそれが当たり前のように思いがちですが、今から約150年ほど前の日本では電気がありませんでした。
照明は時代劇でおなじみの「あんどん」か「ろうそく」です。もちろん電話もありません。情報は人から人へ口伝え、そして町では「かわら版」という新聞の号外のようなものがありました。
そのころのお話です。
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◆勝海舟のコピー問題
勝 海舟 幕末の政治家(1823−1899)
幕臣でありながら広い視野を持ち、坂本龍馬、西郷隆盛らを開眼させた。江戸無血開城に貢献。維新後伯爵。
幼少時より剣術を習い、島田虎之助の下で直心影流免許皆伝の腕前を持つ。青年時にいたって蘭学を志し、永井青崖門下で地理学、後に兵学を研究。家が貧乏なために日蘭辞書「ヅーフハルマ」を2部筆写し、1部を売った話は有名。
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◆海賊版がテキスト
また、日本でトランジスタが製造されるまで日本の科学者、研究者などの先人たちは次のような苦労をしました。
そのときのお話です。
第2次大戦後戦争に負けた日本は、敗戦国を統轄するGHQというアメリカの機関によって管理されていました。
この頃、「GHQ民間情報教育局」という施設が日比谷にあり、ここにはアメリカの最新情報に接することのできる唯一の窓口があり、ファッション、芸術、スポーツ、科学技術などに関するデータが集められておりだれでもこの情報に接することができました。
アメリカのベル研究所でトランジスタというものが発明された(昭和22)ということを聞いた日本の科学研究者たちは早速「勉強会」をつくりました。
勉強会の会員は情報を集めるため毎日のように日比谷まで通い、文献の「まる写し」で情報を摂った。
◆トランジスタ技術の公開(海賊版)
1952年(昭和28年)5月、ベル研究所は重要技術の占有は独占禁止法に抵触するとの考えから、トランジスタに関する技術公開をした。
このときのテキストがやがて本となって出版された。「トランジスタテクノロジー」(全3巻)である。
この本の内容は、理論、基礎知識、作り方、装置の設計などをすべて記述したトランジスターの「バイブル」として尊重された。
<海賊版>
日本でも使われたこの「バイブル」最初の数冊は誰かがアメリカから買ってきたものであったが、あとの大半は「海賊版」であったといわれている。(コピー機の普及していない当時、電機メーカーのサラリーマンの給料では買うことのできる値段ではなかった)
やがて量産化の時代に入り政府の各企業への融資も始まり、日本でのトランジスタ生産は始まったのです。
<メモと手書きの絵>
日本企業とアメリカ企業との技術提携が始まり日本の社員が調査に行くと、カメラの持ち込みは厳禁のため、見たり聞いたりしたことはすべてメモ帳に書き、現場の様子は手書きの絵を描いて「メモと手書きの絵」で対応した。
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◆ネットワーク利用の心がまえ(76)
1個人情報の保護
2知的所有権の保護(
◆著作権法など
著作権とは…著作物を最初につくった人に与えられる権利で、作った時点で自動的に発生する権利です。
複製(コピー)…著作者の許可を得なければ著作権侵害となる。
権利の消滅…50年をすぎると消滅する。
特例措置……ただし、個人的に家庭などで利用するための複写は許されている。
インターネットのように誰でも利用できるネットワークでは、画像、音楽、文章などたくさんの情報があふれています。
特にホームページではリンクといってどのHPに誰でも簡単に接続できる仕掛けがあり、「ファイルの取り込み・保存」が思いのままにでき、今度はそれをメールに添付して自分の情報として発信できることができますから、知らないうちに肖像権や著作権利を犯してしまうということが起こりがちです。
◆使用許諾権
ソフトをインストールするとき「ソフトウエア製品使用許諾同意書」という画面が出てきますが、知っていますか?
同意する 同意しない
プログラムソフトは、それを買ったのではなく、使用する権利にたいしてお金を支払っているのです。
●ソフトウェア契約の原型とは
1974年(昭和49年)今から32年前になります。
世界初のパソコン「アルテア」をエド・ロバーツという人が開発しました。
「ビル」と「ポール」という名前の二人の少年がいました。彼らはアメリカのシアトル、レイクサイドスクール(私立学園)に通う名門校の生徒でした。学園にはプログラミンググループがありゲームのプログラムが盛んでした。
シアトルの(CCC)コンピュータカンパニーは彼らにバグ取りのため大型のコンピュータを自由に使わせていました。
ビル・ゲイツとポール・アレンはこの「アルテア」というコンピュータのためのBASIC言語を開発し、「月着陸船ゲーム」というソフトを作りました。ゲームが動きました。
そこで、二人は「アルテア」のロバーツとBASIC言語に関するライセンス契約を結びました。
この時、ソフトウェアを売り渡さず、使用する権利(使用権)を販売したのです。パソコン1台毎にライセンス料を頂くというこの方法は、その後のソフトウェア契約の原型となったのです。
いま、世界のコンピュータマシンを作っている全てのメーカーはマイクロソフト社と使用許諾の契約をして、パソコンの中にWindowsを組み入れているのです。
ですから、ソフトウエアを買ってきて組み入れようとするとこの画面を見ることになるのです。
私たちはソフトを買ったのではなく、法律的には使用する権利を買ったわけなのです。
おわりに
情報技術の発達で私たちの生活は大きく変わってきました。
既に、これからみなさんが体験する進学、就職の情報はネットワークを通じて情報を得ることが当たり前になっていますし、教育の現場では遠くにいる先生の授業を受ける教育システム、医療の分野では達い場所の緊急患者に、医療現場から指示を与える遠隔医療システムなども益々普及しています。
一方コンピュータを利用した犯罪の増加やネットワークの故障や事故の発生も社会的な混乱の元になっています。
これらの普及とともに人々の「情報社会ストレス」による健康への配慮も必要となってきています。
機械に頼らない人間本来の「人と人とのコミュニケーション」がきわめて大切な時代をむかえているといえます。
教科書の締めくくりでは
1.情報活用の実践力
2.情報の科学的な理解
3.情報社会に参画する態度などをあげています。
新しい世紀はみなさんの時代です。「情報A」での学習を実体験の場で今後も継続していくようお願いして、私の話を終わります。
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最近になって法令化されたもの
・2000年(不正アクセス禁止法施行)
実害の有無に関わらずID・パスワードの不正使用によるアクセス行為を禁止
・2002年(迷惑メール防止法)
DMに「未承諾広告※」の表示を義務づけ
・2003年(出会い系サイト規制法)
18歳未満の児童に対する買春の勧誘を禁止。誘った児童も罰せられる
●不正アクセス行為の禁止等に問する法律(2000年2月13日施行)この法律の三条@は明解で、「何人も、不正アクセス行為をしてはならない」と規定しています。ここで不正行為とは、他人のユーザ名やパスワードを不正に利用したり、セキュリティ・ホールを攻撃したりして、コンピュータに不正侵入をはかることを指します。他人にパスワードを教えるのもいけません。罰則は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
◎〔迷惑メール規制法〕特定電子メールの送信の適正等に関する法律(2002年7月1日施行)
電子メールとは、「特定の者に対し通信文その他の惰報をその使用する通信端末機器の映像面に表示されるようにすることにより伝達するための電気通信であって、総務省が定める通信方式を用いるもの」であり、電子メール・アドレスは「電子メールの利用者を識別するための文字、番号、記号その他の符号」をいうとこの法律では定義しています。この法律は広告などの迷惑メールを規制するためのもので、同法五条によれば、架空電子メール・アドレスによる送信は禁止です。総務省ではこの法律にもとづき、広告のメールの場合、件名に「未承諾広告*」と表示し、メール本文の頭には、事業者の名称と受信拒否の通知を受け付けるためのメール・アドレスを、さらに送信者の住所と電話番号を表示すべきことを事業者に義務づけています。違反すれば処罰されます。