お気に入り絵本
(海外編)

絵本はほとんど「絵」で選びます。特にお気に入りとなればなおさらです。
従って同じ作家の絵本を所有することが多いので、作家別にまとめてみました。
基本的に所有している絵本から選んでいます。所有できなかったものの中でも、まだまだ
好きな絵本は沢山あります。(尚、わかりやすく紹介するため画像を載せました。 )

 

マリー・ホール・エッツ(アメリカ)


「もりのなか」
 
 

 エッツの「もりのなか」と「またもりへ」は絵本として素晴らしく大好き。素朴だけれどイマジネーション豊か。確かな画力は「赤ちゃんのはなし」でも確認できます。この本は妊娠中のお母さんに、また我が子にも赤ちゃんがお腹の中でどのように成長するかをきちんと教えてあげることができる素晴らしい本です。。「わたしとあそんで」のほのぼのとした味わいもステキ。

「もりのなか」 福音館
「またもりへ」 福音館
「わたしとあそんで」 福音館
「いどにおちたぞうさん」 冨山房
「赤ちゃんのはなし」
福音館

 


「わたしとあそんで」


「赤ちゃんのはなし」

ウィリアム・スタイグ(アメリカ)

 


 
 

 なんともとぼけた絵が非常に好みです。お子様向けにはもったいないブラックなユーモアをもちセンス有る絵本作家です。
 動物を主人公にした作品が多く、他に「はいしゃのチューせんせい」「ものいうほね」など。
先頃大往生にて永眠されました。

「ロバのシルベスターとまほうのこいし」 評論社
 1970年度コールデコット賞受賞作品。
 ある日のぞみをなんでも叶えてくれる魔法の小石を拾ったロバのシルベスター。ライオンから逃れるために岩に変身したきりもとの姿に戻ることができなくなりました。父さん母さんロバは必死でいなくなったシルベスターを探し回りますが・・

「みにくいシュレック」
 セーラー出版
 話題の映画「シュレック」の原作です。あまりのみにくさと恐ろしさにへびさえもひきつけを起こして死んでしまうほどのシュレックは映画のように悩んだりしません。息子よ苦労しろ!と両親にけとばされ追い出され、みにくくて何が悪いとずんずん我が道を行き、う〜んとこれまたみにくい王女と恋に落ち、みにくく幸せに暮らしましたとさ、というお話。
 絵本としては異色、しかし子供は大好き。(私も好き)こんな風に毒のある絵とお話で傑作を生みだしてしまうのがスタイグの凄いところ。

「ROTTEN ISLAND」
 アメリカの本屋さんで1ドルくらいでセールに出てました。絵が気に入って(ものすごく憎々しげな怪獣たちがいっぱい)衝動買いしましたが、その時はスタイグの存在を知らなかったので、あとで知ってびっくり。

 

モーリス・センダック(アメリカ)



「かいじゅうたちのいるところ」


「うさぎさん  てつだってほしいの」


「まよなかのだいどころ」


「まどのそとのそのまたむこう」

 
 

 大好きな作家は沢山いるので順番はつけられませんが、あえて一番好きな海外絵本作家は?と聞かれたらセンダックをあげます。それぐらい彼の絵本は面白いし、ちょっと毒のある絵も大好き。
 画風もワンパターンではなく、いろいろな顔を持っている。「あなはほるもの〜」と「まどのそとの〜」の絵柄の違いは同一人物の作品とは思えないほど。漫画からヒントを得たという「まよなかのだいどころ」も異色で、才能ある器用な作家であるばかりか、豊かな発想はまさにこどものまま大人になったかのよう。。

「かいじゅうたちのいるところ」冨山房
 子供も大人も大好きな代表作。コールデコット受賞作品。

「まよなかのだいどころ」 冨山房
 朝になると焼けているパンはどういうふうに作られているのか?という疑問から生まれたイマジネーション豊かな作品。三人のコックさんたちがいい味わいを出している。

「うさぎさん てつだってほしいの」 冨山房
 絵の美しさもさることながら、エロティックな危険な香りのする異色作。(もちろん子供はそんな風にはとらないでしょうが)すごく好き。

「あなはほるもの おっこちるとこ」 岩波書店
 クラウスのかわいらしい詩にセンダックが描く子供達がすごく生き生きと動き出す傑作。

「まどのそとのそのまたむこう」
「ミリー」 ほるぷ出版

 他の作品とは一線を画する暗い毒のある絵がまたセンダックのもうひとつの持ち味。この不思議な世界も大好きです。

 

マーシャ・ブラウン(アメリカ)

 

 
 

 過去3回もコールデコットを受賞しているブラウンは名実共に絵本の第一人者といえる。特に代表作といえる「三びきのやぎのがらがらどん」は今昔を問わず目にしたのではないだろうか。お話の面白さもさることながら、がらがらどんと言えばマーシャ・ブラウンの迫力ある絵。トロルと一番大きいやぎのがらがらどんの対決に心躍らせた覚えがあるはず。
 昔話を題材に多くの絵本を書いているブラウンはいろいろなタイプの絵を見せてくれる。「シンデレラ」や「長ぐつをはいたネコ」のようなセンスあるさらっとしたぺん画も好きです。

「三びきのやぎのがらがらどん」福音館
「長ぐつをはいたネコ」 岩波書店
「パンはころころ」 冨山房
 ロシアの昔話。「おだんごぱん」の方がなじみがあるかも。
「CINDERELLA」(洋書)

 

エルサ・ベスコフ(スウェーデン)

 

 
 

 北欧が生んだ代表的な絵本作家の一人。教育でメルヘンティックなお話、繊細で美しい絵、シュタイナー教育を紹介した松井るり子さんの本で知りました。
 アニカ、ラッセ、オーレ、プッテなど大好きな「やかまし村の子どもたち」と共通する名前を聞くだけでうれしくなります。やかまし村の映画を観たとき、ベスコフ絵本の世界とシンクロして遠いスウェーデンに憧れたものでした。
 最近は沢山フェリシモから出版されているようです。

「ブルーベリーもりでのプッテのぼうけん」 福音館
「もりのこびとたち」 福音館
「おりこなアニカ」 福音館
「The Flower's Festival」 (洋書)

 

ルドウィッヒ・ベーメルマンス(アメリカ)

 

 
 

 ジョージと同様、絵本を離れてキャラクターとしても独り立ちしている マドレーヌ。アメリカで活躍していたがベルギー人のベーメルマンスの絵はヨーロッパの香りがぷんぷん。彩色画とモノトーン画が交互にレイアウトされているが、彩色画の方は一枚の芸術画のよう。
 マドレーヌを中心とした12人のおんなのことミス・クラベル先生の珍騒動は数シリーズあるが、 全部は手に入らないので結局一冊にまとまった洋書を買ってしまいました。絵本だから英語の勉強にもなる・・?

「げんきな マドレーヌ」福音館
「マドレーヌといぬ」 福音館

 

ロバート・マックロスキー(アメリカ)

 

 
 

 マックロスキーをひとことで言うなら「とにかく絵がうまい!」
実は数年前、デパートの絵本原画展で「かもさんおとおり」と「サリーのこけももつみ」の原画を見たとき、そのあまりのうまさに言葉を失ったほどです。
惜しむらくはどちらも日本版の絵本なると、その画力が再現されていないこと。2回のコールデコット
賞を受賞は文句なし。

かもさんおとおり」 福音館
 コールデコット受賞作品。マックロスキーで一番好きな作品。鉛筆とクレヨンで描かれた家もかもやボストンの街並み、おまわりさんたちの描写はほんとうに見事です。マックロスキーはこの絵本のために随分とかもを研究し、自分のアパートの風呂場で小ガモたちを買っていたようです。
 

「すばらしいとき」 福音館
 1958年のコールデコットを受賞。美しい小さな島に春から夏に住むある家族の
自然との営みを美しく力強い水彩画で描いています。

「サリーのこけももつみ」岩波書店
 この絵本の原画のクマは素晴らしかった。インクで力強く描かれたクマの毛並みが、絵本で再現されていないのが残念。

 

タチャーナ・A.マーヴリナ(ロシア)

 

 
 

 東欧の絵本はロシアに限らず独特の雰囲気を持っていて、その芸術性はとても高いと思います。その暗さや重さは歴史の重み、気候・環境にもよるものでしょうか、アメリカや西欧のものとは一線をかしています画しています。
 旧ソ連のものは昔話絵本でそれぞれ傑作はありますが、 画家としてお気に入りなのがこのマーヴリナ。あまり沢山の本は出していないようですが力強く創造性たくましいその画には強い魅力を感じます。

「いりえのほとり」 ほるぷ出版
 A.C.プーシキンによる誌にマーヴリナがつけた絵は一枚一枚そのまま学に飾っておきたい。

 

ヨゼフ・ラダ(チェコ)

 


洋書「kukadla」より

 
 

 チェコの作家ラダは私の中でいい意味で東欧芸術の象徴する作家です。素朴で暖かみがあり、ユーモアのきいた動物や村人達の絵。決して派手さはないものの、お話会のメンバーだったお母さんたちにも絶大な支持を得ていました。手に入る作品が少ないのが残念。

「おおきくなったら」 福音館
 チェコのわらべうたにラダが挿絵をつけたもの。1996年に特製版として復刻したときに、迷うことなく手に入れた絵本。

「きつねものがたり」福音館(児童書)
 絵本ではないがラダの代表作。ロングセラー本です。

「kukadla」(洋書)albatros
 地元の古本祭りで偶然見つけて狂喜乱舞。これもチェコのわらべうたのようではあるが、なにぶんラダの母国語であるので内容についてはちんぷんかんぷん。

 

H.A.レイ(ドイツ)

 

 
 

 今やキャラクターcurious Georgeとして有名、絵本も「ひとまねこざる「シリーズとして古典の生きにあったのに、私が知ったのは長女を出産した12年ほど前のこと。まだ会社務めをしていたその帰り道、立ち寄った本屋さんでふと見つけた洋書「Curious George」その愛らしい姿に一目惚れ。
「似ている・・・我が娘に そっくり!」
そのまま迷わずレジに直行、以来ジョージは私の永遠のお気に入りになりました。
 このジョージシリーズの他に沢山の愛らしい絵本を奥さんのマーガレットと世に送り出したH.A.レイはユダヤ系ドイツ人。彼の「星座をさがそう」も大好きな絵本だが購入したのは洋書版で、さっぱりわからないが絵がかわいいので愛蔵版になっている。他にも洋書で数冊所有してます。

「ひとまねこざるときいろいぼうし」 岩波書店
「ひとまねこざるのABC」 岩波書店
「たこをあげるひとまねこざる」 岩波書店
「Find The Constellations」 
「CECILY G. AND THE NINE MONKEYS」

 

その他お勧め絵本


「はなのすきなうし」岩波書店
マンロー・リーフ/R・ローソン

闘牛のフェルジナンドは何よりも花が好き。
ディズニーの短編アニメにもなりました。


「まりーちゃんとひつじ」 岩波書店
フランソワーズ

ぱたぽんとまりーちゃんの問答が
なんともかわいらしい。


「せんろはつづくよ」岩波書店
M.W.ブラウン/J.シャロー

2台のちいさなきかんしゃ。「ぱふぱふ
 ちゃぐちゃぐ」の響きが心地よい。


「ゆかいなかえる」福音館
ジュリエット・キーブス

黒、青、緑、色だけの絵が美しい。


「100まんびきのねこ」福音館
ワンダ・ガアグ

小さい頃から好きでした。
お互いを食べ合うネコの話は結構すごいかも。


「シナの五にんきょうだい」瑞雲舎
C.H.ビショップ/K.ヴィーゼ

それぞれ特技を持った兄弟が入れ替わって
役人を騙す痛快さ。シナという国名を蔑称
的であると論議を呼んだこともありました。


「ごちゃまぜかめれおん」
エリック・カール

「はらぺこあおむし」もいいけれど
爬虫類好きにはこれ。


「てぶくろ」福音館
エウゲーニ・M.ラチョフ

冬になると読みたくなる。
くいしんぼうねずみ、おしゃれぎつねなど

ネーミングもかわいい。


「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」福音館
バージニア・リー・バートン

木炭でえがかれた美しく力強い絵と
いたずらきかんしゃの楽しいお話。


「ゆきのひ」
エズラー・ジャック・キーツ
 
ピーターシリーズの中から。
コラージュを用いた独特の作風。


「ひぐるまひいて」ほるぶ出版
バーバラ・クーニー

美しい絵で定評のあるクーニーの
中で一番好きな本。


「ちびくろさんぼ」岩波書店
H.バンナーマン/フランク・トビアス

絶版になってしまいましたがサンボといえばこれ。

 その他に 「しずくのぼうけん」マリア・テルリコフスカ「ごきげんなライオン」ロジャー・ディポアザン、「ねこのマザーグース」アーノルド・ローベル、「すてきな三にんぐみ」トミー・ウンゲラー、「おやすみなさいのほん」M.W.ブラウン、「木はいいなあ」シーモント、「そうしてカはみみのそばでぶんぶんいうの?」レオ&ダイアン・ディオン、「きょうはよいてんき」ナニー・ホグロアン、「かようびのよる」デヴィッド・ウィズナー、「ワイルドスミスのABC」ブライアン・ワイルドスミス、「はらぺこあおむし」エリック・カール、「ともだちつれてよろしいですか?」モントレソール


コールデコット賞について

 
 下の子が幼稚園に上がるまで、近所のお母さんたちと「おはなし会」で活動してました。(似合わない〜)
当時はいろいろな絵本をむさぼり読んでいた時期でした。子供にというより自分が夢中になっていた気がします。星の数ほどある(そんなにはないが)絵本の中で、特に外国の絵本を選ぶときに参考にしたのがコールデコット賞です。全てが出版されているわけではありませんが、読んでみるとその絵本のレベルはかなり高く、とかく好みに偏りがちな私の絵本選びにおおいに役立ち参考になりました。

  ●コールデコット賞
 この賞は、19世紀イギリス絵本黄金期に活躍した画家、ランドルフ・コールデコットの業績にちなんで、1938年に創設されました。年に一度、アメリカ図書館協会自動部の主催で、前年に出版された絵本の中で、最も優れた絵本の画家(ただし、アメリカ国籍保有者またはアメリカ在住の者)に贈られる賞です。
 コールデコット賞にはメダル賞とオナー賞があり、いわゆるコールデコット賞はメダル賞をさし、オナー賞は次点でこれは一作に限られてません。(参考:日本人としては八島太郎が「からすたろう」でオナー賞を受賞しています。)
 
 絵本の表紙にメダルマークがついているのを目にしたことはないですか?それはメダル賞、オナー賞受賞本のしるしです。

    ※ コールデコット複数受賞者は下記の通り

        3回 マーシャ・ブラウン
        2回 ロバート・マックロスキー、バーバラ・クーニー、ナニー・ホグロギアン、
            クリス・ヴァン・オールスバーグ、ディロン夫妻

    ※ コールデコット賞受賞作品一覧はこちらから