遁走





 秋の夕日が長い影を落としていた。

 オレは小石を握りしめ、空を舞うトンビを睨みつけ、放り投げる機会をうかがっていた。

 ふと足元に不穏な気配を感じ目を落とした。

 なんと、オレの影が勝手に遊んでいるではないか。

 えいっと踏んづけた。足裏にぐにゃっと気持ちの悪い感触が。

 と、影は細胞分裂のようにびよーんと離れて、ピョンピョン跳ねて遁走した。

 オレの分身が......