西暦某年人類は不死を手に入れた。当然ながら倫理上および社会上の問題を指摘する論議が巻き起こった。長い長い論議は「死ぬ権利」と云う形而上学的問題に及んだ。
ある刑務所に収監されている無期懲役囚はこう叫んだ。
「冗談じゃないぜ、監獄で100年以上も生きるなんて地獄だ。適当なとこで安楽死したい」
ある哲学者は提案した。
「我々は自由主義国家に生きているのだから当然死期は個人が選択すべきだ」
ある宗教学者はつぶやいた。
「安楽死は自殺行為です、神がお許しになりません」
ある心理学者はこれに対してこう反論した。
「それは酷というものだ、自分が自分の死期を決めるなんて」
ある人Aの発言。
「それじゃあ50から120までの数字を刻んだルーレットで決めたら」
ある人Bの発言。
「なぜ120までなんだ」
これに対するある社会学者の発言。
「当然でしょう、120歳以上の生きる人が増えたら社会構造が維持できないのはサルでもわかることじゃないか」
その後、ルーレットよりおみくじ式にしたほうがいいとか、上限は200にすべきとか、無数の意見が噴出して収拾がつかなくなった。「永遠」に。