秋の深夜、ひんやりするそよ風を頬に感じながら大山公園を散歩していた。
コシアブラの大木のわきに、数少ないオレンジ色の街灯の明かりが円錐形を形作っている。
僕は月を見上げ、意味のないため気をついて、煙草をくわえマッチで火をつけた。街灯の明かりが僕を吸い寄せた。ふと見ると、円錐形の明かりの中に漆黒の中型犬の後ろ姿が・・・・・・
首輪がない、野良犬か。足が止まる。犬が振り返った。僕は怯えて気持ちが身構えた。
と、黒いテカテカの鼻を捻じ曲げて犬が僕を笑ったのだ。「そんなに怖がることないぜ」とでも言うように。
僕は背に嘲笑を浴びながらそそくさと逃げ帰った。
天空にはスマイルムーンが......