私とスピード違反
2001.03.12
昨日、私の実家からの帰り道にスピード違反で捕まった。
八木山峠のバイパスの料金所を通過してすぐのことだった。
ふとルームミラーを見ると白バイが赤いランプを点滅させて私の車の後を追いかけてきている。
「えっ、うそだろ〜」泣きたくなった。
スピードを落とすと「前方に路側帯があるからそこで止まりなさ〜い!」とマイクで呼びかけられた。
言われるままに路側帯に車を停めて白バイを待つ。
「20kmオーバーです。ここは制限時速60kmですよ」
白バイにまたがった警官は冷たく運転席の私を見下ろした。
まるで『さあ、お前はどう出るんだ?泣きを入れるか?それとも怒り出すか?それとも素直に国家権力に従うか?』と舌なめずりしているような表情だ。
★ ★ ★
「そんなぁ、僕らみたいのじゃなくて暴走族みたいな車を捕まえてくださいよ〜」
まずは泣きをいれてみた。
とりあえず相手との間合いを計るためのジャブみたいなものだ。
しかし、すぐに無意味であることを悟る。
「ちょっと車を降りてスピードオーバーを自分の目で確認して下さい」
この時点で私は100%あきらめた。私は単なる小市民である。
だが、あきらめた(=罰金を払う)ことで少しだけ強気になった自分に気が付いた。こっちは金払ってんだ、客なんだよ!という理不尽な強気である。
「確認なんていいよ!わかったから早く済ませてよ!」
悔しくて、私に出来る限りの悪態をついてみた(これが限界)。
しかし国家権力は眉一つ動かさずに「だめです。出てきて自分自身で確認して下さい」
私が車を降りて82kmという記録表示を確認させられている間も、上り下り両車線であきらかに80kmを超えるスピードを出している車が通り過ぎる。
「あいつらも捕まえてよ〜」
大抵の人がそうするように私も同じ泣き言を言い続けていた。
最後に振り込み用紙(15,000円也)と青い紙を渡され、「これは振り込みが済んだら捨てて…」言い終わらないうちに白バイ警官の目の前でくしゃくしゃに丸めて車の中に放り捨ててみた。
相変らずそんな私の悪あがきを完璧に無視して事務的な説明を始める警官。
「過去3年間で違反はありますか?無ければ…」これまた言い終わらないうちに車の窓を閉めてやった。
私に出来る限りの悪態である。
少しドキドキした。
★ ★ ★
このようなケース、一本釣りのような格好でのスピード違反の取り締まりは以前から全然納得がいかない。
高速道路なんかによく設置されている機械(オービスっていうんだっけ?)でそこを通過するすべての違反車両をある基準に則って取り締まるのであれば納得はいく。
それは”公平”だからだ。
今回のケース(スピード計測から違反者捕捉までを1人の白バイ警官が行なうケース)のように、たまたま取り締まる側の都合でタイミングのあった違反車両を釣り上げて、その時間前後は"我関せず"と見過ごさざるを得ない取り締まり方は非常に納得がいかない。
当然だろう。
これはなんとかならないものか。
法律が行使される場合に最も重要なことは”公平”と”納得”ではないかと思う(中坊公平さんも言ってました)。
今回のような取り締まり方は公平感を全く感じないので納得も出来ない。
その日捕まる直前の車中で「昨日の夜は暴走族がうるさくて眠れなかったねー」なんて話を妻としていたこともあって「なんでまったく危険の無い走り方を前後の車と同じようにしていて俺だけが捕まるのか!?誰にも迷惑かけてないぞ!」という怒りだけが残っている。
「Y介もR紗も警察官にだけはなるなよ。あいつら〜国家権力を傘に着やがって!」と暴言まで吐いてさすがに妻にたしなめられてしまった。
★ ★ ★
駐車違反はまだわかる。
「何で俺だけ!?あの車もその車も…」という不満が少しは残るが、これはあきらかに回りに迷惑をかけてしまっている。
だから「運が悪いな、不公平だな…」と少しは悔しいが、「ま、しかし違反は違反だからな、回りに迷惑かけたバツだな。ここは駐車禁止とわかっていたし…」と、これは納得できるのである。
今回のようなスピード違反の場合はどうか?
まず誰かに迷惑をかけているか?
そりゃ100kmくらい出せば別だろうが、おそらくそこを走る全車両の8割程度の車が出しているであろう80km(制限速度60km)である。
迷惑どころか車の流れにのったスピードだ。
何かが起きない限り制限速度は事実上守られていないのが現実だろう。
そんな現実の中で「ここは制限時速60kmだとわかっていたし…」と納得できるか?
しかも八木山バイパスは自動車専用道路だぞ!
駐車違反を犯して捕まる不公平感とは比べ物にならないほど大きな不公平感が残るのが今回のようなケースである。
こんな状況でたまたま前後の車が途切れて私の車がやってきたからといって、一本釣りされて誰が納得できるか。
★ ★ ★
そんな不満と怒りを感じつつ、それ以降の道のりを回りの車とペースを合わせて運転して帰った。
ふとスピードメーターを見ると80km出ている。ここも制限速度60kmの一般道だ。
そんな私の車を2、3台の車が追い越し車線から抜いていった。
するとますます不公平感が湧き上がり、先ほどの取り締まりにますます納得がいかなくなるのであった。
法律にたてをつくほどの覚悟は無いが、こういった場合少しでも取り締まり警官に自己嫌悪を起こさせるような、ものすごいいやみの言葉はないものか?
ああ、私というやつはなんといういやな人間だろう。
それもこれも、”公平感”と”納得性”に欠ける今回のようなスピード取締りのあり方が間違っていると思うからである。
2001.03.12
Written by あらかぶ亭アジ介