2003/09/06 思い切って「カヌーが欲しい」と妻に言ってみた。 「えっ?」振り向く妻。 すでに(駄目よ)と顔に書いてある。 「こんなの」と、モンベルのカタログを差し出した。「子供たちやお前を乗せてリバーツーリングとかしてみたい」 「いくらくらいするの?」一応目ぐらい通さなくちゃかな、という感じでカタログを一瞥する妻。 カタログを持つ手が震えている。カタログなんて見ちゃいない。 「なんやかやで30万あれば全部揃うと思う」、、、ああ、ついに言ってしまった。 「あなたねぇ…。△×○¥■△%Φ◆×!!!!!」 一年半ほど前からカヌーに興味を持ち始めた。 きっかけは一冊の本だった。 ”サラリーマン転覆隊的焚き火料理”(小学館) ![]() キャンプのときの料理にいささかマンネリを感じていた俺は、ある晩仕事帰りに本屋へ立ち寄った。 そして、数多(あまた、と読む)ある凡百(ぼんびゃく、と読む)のアウトドア料理本の中でひときわ異彩を放っていたこの本を手にとったのだった。 知っている奴だけが知っているサラリーマン転覆隊。 俺はそれまで知らなかった。 本の中にはうまそうな料理が並んでいる。 『感動的野生料理』というらしい。 そして、どのページにも料理の横にはカヌーが写っていた。 激流の中、前と後ろに大鍋を一個ずつ結びつけたカヌーを必死になって漕いでいる写真があった。 『鍋とともに漕ぎぬ!』 なんて面白いコピーだ。 濁流に流されていくカヌーに、必死にしがみつく一本の腕が波しぶきの合間に見えている。 真っ二つにバキ折れたカヌー。 泣きそうな顔で焚き火にあたる男たち。 浮浪者のように河原に横たわる男たち。 「これは、なんだ!?なんか知らんが、ワクワクしてくるじゃないか!!」 本の最後はこんな言葉で締めくくられていた。 『レシピを真似するな。この感動料理に至る方程式を理解せよ!』 これが俺とカヌーの出会いだった。 ![]() |
2003/09/10 「それにしても、30万とは少しふっかけすぎたか…」 カヌーにはいろんな種類がある。 値段もピンキリだ。 その中で俺が目をつけたのは”フォールディングカヤック”と呼ばれる組立て式のタイプだった。 現地に着くまではザックにつめて持ち運び、目的地の川原で組み立てる。 重さはだいたい15kg〜20kg。 自宅の押入れにも車のトランクにもらくらく収納可能だし、気軽に宅急便でも送れるから仮に車がなくてもカヌーを楽しめちゃうのだ。 値段は安いものだと10万そこそこから、高いもので30数万。 カヌー界のロールスロイスなんて呼ばれている高額カヌーもあって、これは60万をくだらない。 その他の装備(パドルやフローティングベストetc.)に数万かかるとして、妥当な予算は合計20万〜30万といったところか。 妻には「20万」くらいで言っときゃよかったかなぁ。 有名どころの国産メーカーは2社、フジタカヌーとモンベル。 サラリーマン転覆隊御用達のカヌーは確か老舗のフジタカヌーだったっけ。 俺は何となくモンベル(mont・bell)に憧れる。 そうだ、モンベル社のボイジャー415(一人乗り、定価19.8万円)の写真をこれからの道祖神がわりにここへ貼り付けておくことにしよう。 (流れるようなフォルムが美しいぜ) ![]() 写真はモンベルのホームページから無断借用だ。 いつか、こんな俺にも買える日が来ることがあれば、なるべくモンベルを買うようにするから許してくれ。 (もっと詳しく商品を見てみたい奴は、モンベルのサイトへ飛んでいけ〜!) ところで、この前テレビ「なんでも鑑定団」におっさんが彫刻を鑑定してもらおうと出演していた。 このおっさん、なんと結婚以来30年間ボーナスを家に入れたことがないという。(紳 介もびっくりしていた) これまでのボーナスは全部趣味の収集品に注いできたらしい。 今回定年を迎えて、今まで苦労をかけてきた奥さんに旅行かなんかをプレゼントするため収集品のごく一部を売りに出そうと考えたというのだが、う〜む、これは美談か? 結婚以来30年間、なんていうつもりは俺には無い。 せめて次のボーナスから30万を一度だけ、俺に自由に使わせて欲しいぞ! (キャンプ、釣りと金をかけてきたから…ヤバッ!これで三度目だぁ〜) ![]() |
2003/09/21 「カヌーをやってみないか?」 昨年の夏、久しぶりに再会した高校時代の友達数人を誘ってみた。 なかなか乗ってこない。 そりゃあそうだろう。 金がかかるもんな。 しかし、ゴルフ10回分だぜ。 パソコンとはいい勝負か。 普通にサラリーマンを15年、20年と続けてきたオヤジにとって、カヌーという趣味はなにか異次元・異空間の遊びのような印象を受けるものだ。 まさにこの俺がそうだった。 自分には関係のない、手の出ない遊びだと思っていた(今も手は出せていないが)。 だから、人を誘う時もまずはこの感覚を覆させることがとても厄介なのだろうと思う。 興味を持ってもらう以前の段階でつまづいてしまうのだ。 「いいねえ!やってみるか!」 「やろうやろう!」 この勢いで妻のハードルを乗り越えてやろうと思っていたが、そうそう思惑通りにはいかなかった。 しかし、友達すら巻き込めないこの俺に、果たして妻を説得することができるのだろうか? 5年ほど前、ちょうどキャンプを始めた頃に会社の後輩から「カヌーやりましょうよ!」と誘われたことがあった。 「いや〜、キャンプは楽しいんだけどさ、カヌーまではちょっとねぇ、俺にはねぇ…」 なんて笑いながら断っていたその俺が今はこうだ。 だからきっと、俺に誘われた彼らの頭の片隅や心のひだの一片にもカヌーという言葉が引っ掛かり、カヌー菌はそれぞれの潜伏期間を経て静かに増殖していくに違いない。 仕事や子育てだけが人生じゃないと彼らが気がついたとき、カヌー菌は一気に発症していくのだ。 いつまでたっても男は子供なんだと実感している今日この頃。 『男の大人と子供は、持ってるおもちゃの値段が違うだけ』、そんな意味の文章を最近新聞か雑誌で読んだ。 痛いほど、わかるぜっ! ![]() |
2003/10/15 「子供たちが成人するまでは駄目。我慢してください」 ああ、言われてしまった。 単に『駄目』なだけじゃなくて、期限を切るところがにくい。 二人の子供が成人したらやってもいいよ、と言っている。 じゃあしょうがない、待つか…って待てるわけないじゃないか! 先月7才になったばかりの下の娘のR紗が成人するまでまだあと13年もあるんだぞ。 その時俺は55才なのだ!! 今できなければ、多分13年後はもっとできない理由が山積みしていることだろう。 それは体力の衰えかもしれないし、経済的な事情かもしれない。 (リストラされてるかもしれないぞ!) 仕事が忙しくてカヌーどころじゃないって状態に陥っているかもしれない。 (リストラよりはましかな) 第一、成人した二人の子供たちがもし大学に行っていたら、それこそ一番金のかかるピークの時期じゃあるまいか。 滑り止めの大学に泣く泣く入学金を払って(二人分)、本命の大学でまたまた入学金をせびられて(二人分)、一人暮らしの生活費や学費の送金(二人分)で骨身を削るようなつつましい生活をしているであろうその時期に(あぁ、想像すると落ち込むなあ…)、55才という老年期一歩手前の俺が一人でカヌーをやってどこが楽しいもんか。 「お金さえあれば…、それもバブリーなあぶく銭が…」 どうせあぶく銭なんだからカヌーでも何でも買っちゃいなさいよ、なんて妻が思わず口走ってしまうようなバブリーなお金が必要だ。 そんな俺の目に10月14日付け日経新聞夕刊の記事が飛び込んできた。 ”日経平均株価が一時1万1千円を突破” ほんの半年前まで7〜8千円台をうろついていた日経平均株価は、良くも悪くも5月のりそな銀行救済(公的資金投入)を一つのきっかけにしてすごいペースで上がっている。 ![]() 「これだ。バブリーなお金といえば株しかない!」 すかさず俺はITバブル崩壊後に買っていた数銘柄の現在の株価をチェックしていたのだった。 (ちょっと話が変な方向に向かっているが、、、) ![]() |
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