経営体育成基盤整備事業 西田口地区 における環境配慮の経過報告
1.概要
本地区は,黒瀬川水系古河川(二級指定河川)沿いにおいて,営農活動の向上を図るため,基盤整備を行なっている。
平成13年6月に制定された土地改良法により,環境との調和に配慮したものであり,平成17年度生き物調査ワークショプを開催し,水田内や水路内,畦などに生育,生息する動植物を確認した。
平成17年度に行なった希少種結果
○「オオミズゴケ」:環境省「絶滅危惧T類」,広島県「準絶滅危惧」
○「シャジクモ」:環境省「絶滅危惧T類」
○「トリゲモ」:環境省「絶滅危惧U類」,広島県「絶滅危惧T類」
○「オオアカウキクサ」:環境省「絶滅危惧U類」,広島県「準絶滅危惧」
○「メダカ」:環境省「絶滅危惧U類」,広島県「絶滅危惧T類」
○「アカハライモリ」:環境省「準絶滅危惧」,広島県「準絶滅危惧」
○「トノサマガエル」:広島県「準絶滅危惧」
○「ドンコ」:広島県「準絶滅危惧」
以上の希少種を確認することができた。
これら保護対策においては,何れもミティゲーション5原則(回避,低減/最小化,低減/修正,低減/影響の軽減・消失,代償)により取り組むものであり,最も効果的で基盤整備における生息・生育可能な保全対策が取れる手法として,低減/最小化や代償といったミティゲーションを選択した。
今回の保全対策は,上記種のうち「シャジクモ」,「トリゲモ」,「オオアカウキクサ」を対象としたものであり,何れもハス田内に生育している種とした。
基盤整備を行なうため,土の移動が大きくなるため,絶滅の危険性があるため,具体的な対策として,耕作条件不利となる計画農地において,表土の移動を行なうとともに,既存の条件と同じハスを育てる方法で,取り組んだものである。(代償)
2.平成21年9月18日確認等結果
保全計画どおり既存生育土となる表土の移動とハスを植えた状態での確認である。
その結果,既存生育表土の移動がない水田では,希少種を確認することはできなかったが,表土移動保全対策では,次の写真表のとおり3種を確認することができた。
なお,水張りによるハスの生育などは,本年度が最初となっていることもあり,全ての種を確認することは無かったが,今後休眠している種を含め,生育する可能性が高いと確信するものである。
結果として,表土の移動は成果があった。
○写真表
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移植地状況 |
トリゲモ (環境省:絶滅危惧U類,広島県:絶滅危惧T類) |
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シャジクモ (環境省:絶滅危惧T類) |
○周辺希少種
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サクラバハンノキ (環境省:準絶滅危惧,広島県:準絶滅危惧) |
オオミズゴケ (環境省:絶滅危惧T類,広島県:準絶滅危惧) |
○ その他ハス田内植物
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コナギ |
イボクサ |
ガマ |
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イヌホタルイ |
ハキダメギク |
ケイヌビエ |
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ホソバヒメミソハギ |
チョウジタデ |
オモダカ |