●江戸川区のゼロ歳児は保育を受ける権利が侵害されている
  (そう記、1999年1月発行の「家族新聞」第8号より)

◆東京23区で唯一ゼロ歳児保育を公立で実施しない江戸川区

江戸川区は、東京23区の中で、ただひとつ0歳児保育を公立で実施していないとんでもないところ。
「江戸川区の天皇」と呼ばれる中里区長の持論は、
「子育ては母親の役割」「母親が働くのは、単なるわがまま」という暴論。
いまや『厚生白書』でさえ、「少子化の背景には、男女の固定的な役割分担が深くかかわっている」
と指摘。無認可保育所との交渉の場で、30年来、同じような回答をくりかえす当局に、
キレたそうは、「江戸川区の0歳児は、保育を受ける権利が侵害されている!」と怒り爆発。
(※以下、対区交渉でのそうの発言要旨です)

◆性別役割固定し女性差別を広げる

昨年度のこの交渉の席で、区側は、「0歳児は、母親による家庭保育がいちばんよく、
それができないときには家庭保育に近い保育ママ制度がよい。
だから、公立保育所で0歳児保育は必要ない。これは30年前の議論で決着済みだ」と言いました。
今もこの結論が正しいと言い張るのなら、以下の質問にきちんと答えてください。

最初の質問です。今から20年前に国連で「女子差別撤廃条約」が採択され日本も批准しました。
この「女子差別撤廃条約」では、子育ては、女性だけの責任でなく、
男性もいっしょに担うべきであるとして、母親だけに子育てを求めることは、
女性差別を広げることになるとはっきり打ち出しました。

江戸川区の保育政策の根本にある「母親による家庭保育がいちばんよい」という考え方は、
この世界の常識からするとあきらかに女性差別を広げるものとなっていますが、
どのようにお考えですか、答えてください。

◆子育て不安も広げる性別役割の固定

そして、最近、「子どもへの虐待」が急増していることが、多くのマスコミで報道されています。
子どもを虐待しているのは、専業主婦がいちばん多いのです。
厚生省の分析では、都市化や核家族化が進み、子育てへの支援がなく、
孤立した母親にストレスがたまっていることなどが原因だとし、
虐待の背景には、「子育ては母親がすべき」という固定的な性別役割分担があるとしています。

昨年度のこの交渉の席でも、区側は、「母子接触が一番好ましい」と発言していますが、
いまや、その母子密着による孤独な専業主婦の育児の問題が、
子どもへの虐待となり社会問題化しているのです。
いろいろな調査でも、働いている母親よりも、専業主婦の方に、子育ての不安が大きくなっています。
江戸川区の誇る「母親による家庭保育第1主義」を進めることは、
現在の社会状況のもとでは、母親を孤独な子育てへおいこみ、
事態を一層深刻にするものでしかないのです。

厚生省は、この専業主婦の子育ての不安をなくすためにも、
子育てに関するノウハウを蓄積している保育所が地域の子育て支援をする必要がある、
と言っています。そして、いちばん援助が必要なのは、
いまやもっとも困難な子育てとなっている0歳児の育児であり、
0歳児の公立保育所の充実が特に重要だということです。

◆少子化対策にとってもゼロ歳児保育の充実がカギ

また、少子化対策にとっても0歳児の公立保育所の充実がカギだといっています。
0歳児の公立保育所を保育ママ制度に置き換えることができないのも明らかです。
皮肉なものですね。江戸川区が今もいみきらってやろうとしない「0歳児の公立保育所」の充実が、
江戸川区が誇る「母親による家庭保育」の危機的な状況を救うカギだというのですから。

以上のことをまとめて質問です。0歳児の公立保育所を作らないということは、
子育ての困難を放置して子どもの虐待にみられるような子育ての問題を
さらに大きくしていくことになりますが、どのようにお考えですか?答えてください。

◆子どもの権利、最善の利益をないがしろにする江戸川区

次の質問です。今から10年前に「子どもの権利条約」が国連で採択され日本も批准しました。
この「子どもの権利条約」の保育に関わるところで、
子どもには、発達を可能な限り確保してくれる資格のある保育者によって、
子どもの健康や安全を保障できる施設で、あらゆる適切な保育サービスを受ける権利がある
ということを明確にしました。そこで質問です。

「子どもの発達を可能な限り確保してくれる資格のある保育者」が「保育ママ」と世界に向かって
恥ずかしくて言えないと私は思いますが、どのようにお考えですか?答えてください。

そして、子どもには「あらゆる適切な保育サービスを受ける権利」があるのに、
江戸川区の0歳児には、「保育ママ制度」だけしかありません。
江戸川区はよく「二兎を追うものは一兎をも得ず」とくりかえしますが、
子どもには「あらゆる適切な保育サービスを受ける権利」があるのです。
江戸川区は、子どもの「保育を受ける権利」を侵害していますが、
どのようにお考えですか?答えてください。

最後の質問です。「子どもの権利条約」の中で、いちばん有名な言葉に
「子どもの最善の利益が何よりも優先されなければならない」というのがあります。
江戸川区は、何よりも優先されなければならない「子どもの最善の利益」よりも、
30年間から化石のように凝り固まった時代錯誤の「保育政策」の方を優先していますが、
どのようにお考えですか?答えてください。(※結局、区側は従来回答に終始しました)



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