運命の糸


ある晴れた日の午後。
見習い戦士のテイシア、クッキー、アイテム士のコスモスがひとときの休息を取っていた。
そこにやってきたのは、同じく見習い戦士のカーツ。
背が高くて、とても優しいカーツ。
カーツとテイシアは、恋人同士だ。

「あ、テイシア、カーツだよ〜。」
コスモスが最初に気づき、テイシアにカーツの存在を知らせる。

(「アレ」か・・・・・・)
次にクッキーが気づき、冷めた目でカーツを見ている。
いくら男に興味がないからと言って、人の彼氏を「アレ」よばわりはいけないと思う。

最後に気づいたテイシアに、カーツはにっこりと微笑みかける。

(すごぉ〜く優しい笑顔・・・・・・・・)
コスモスはテイシアが羨ましくなった。

「ちょっと・・・・・ごめんね。」
申し訳なさそうにテイシアが席を立ち、カーツのそばに走っていく。
離れでふたりは楽しそうに会話している。

コスモスはその様子を見て、不満顔でため息をつく。
「いいなぁ、テイシアはぁ。 わたしなんか殿方に声なんてかけてもらったことないも〜ん。」

それを見ていたクッキーが、物知り顔でコスモスにレクチャーする。
「あら。 それは今までの出会いが運命的じゃなかったって事よ。」

コスモスの顔がぱあっっ、と晴れやかになる。
「まあっ、運命的な出会い??」

クッキー、続けてレクチャー。
「運命的な出会いってね、こう・・・・なんかぴぴっとくるのよね。」

・・・・そういうクッキーは運命的な出会いをしたのだろうか・・・・。
テイシアならともかく。
まあそれはおいといて・・・・・・・。

「でもね・・・・あなたがが知らない間に運命の糸がたぐり寄せられることもあるのよ・・・・・。」
クッキーは何かを見越したようにそう言った。



「コスモスさん! ポーションを・・・・・・・・・。」
髪を後ろで縛ったラムザが叫ぶ。

「はっ・・・・・はいっっ!!」
コスモスは力の限りアイテムを投げる。

「おつかれさま♪」
ラムザは高々とギル袋を掲げている。

士官アカデミーからラムザ君に付いてきたのは良かったんだけど・・・・・・・。
毎日毎日、血なまぐさいバトルの毎日。
こんなんじゃ、運命の糸なんて、見つかるワケないよお・・・・・・・。

「空しい・・・・・・・・。 わたしの青春は何処へ・・・・・・・・・。」
ほへーっ、と大きなため息をつくコスモス。
考え事をしていて、足下の石の存在に気づくのが一寸遅れた。

「きゃ・・・・・・っ!」
コスモスは、岩場で派手にすっころびそうになる。

「あぶな・・・・・・・・・・・っ!!」
ひとりの見習い戦士が左腕を伸ばす。
ちょうどおなかのあたりが引っかかり、そのおかげでコスモスとアイテムの数々は、
なんとか地面と「こんにちわ」せずに済んだ。

「たすかったあ・・・・・・・・・。」
と安堵のため息を漏らすコスモス。
思わず体の力がどっと抜け、見習い戦士の左腕にずん、と重みがのしかかる。

「ぐ・・・・・・・・・・・・・・・っ」
見習い戦士は呻いた。

「おい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・重い・・・・・・・・・・・・・・ッ。(-_-;)」

ふと頭を上げてみると、そこには見習い戦士のずきんの中から長い金の髪を
のぞかせている見慣れた顔の少年がいた。
ローウェルとコスモス・・・・・二人はしばらく、あっけにとられたように見つめ合っていた。

いつかクッキーが言った言葉・・・・。
「でもね・・・・あなたがが知らない間に運命の糸がたぐり寄せられることもあるのよ・・・・・。」

ローウェルとコスモスの運命の糸は、この時しっかりと結ばれた。



いつかどこかであなたと出逢うわたし・・・・・・・・・・

運命の恋・・・・・・・・・・・・




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