だって ”す き” なんだもん♪

トーマス君はカタリナ様が好き。
パーティの中でも周知の事実です。
それではある日の彼を見てみましょう。



「ロビーン。 魔法買ってもらっちゃった♪」
同い年のロビン(ライム)に嬉しそうにトーマスが話しかける。

魔法の覚え方。
レベルが上がったら覚えるとかが一般的なようだが、ここでは「魔法を買って覚える」。

カタリナは今日トーマスに魔法を買ってあげた。
トーマスのあまりの喜びようにカタリナはくすっと笑う。
「ふふっ、可愛い・・・・」

初めて彼に会ったとき・・・・ロアーヌの城で。
「勿体ないお言葉です。」
なんて礼儀正しい青年なんだろうと思った。

次に彼に会ったとき・・・・ピドナの屋敷で。
「これは、カタリナ様。」
とてもクールで理知的な感じがした。

でも今は・・・・・・・・・。
これが本当の彼。
素直な心を持ったやさしい・・・・。

しかし、ハリードは呆れる。
「ガキみてぇ。」



買ってもらった魔法は「幻惑光」。
自分の魅力を高めさせ、相手を魅了させる月の魔法である。

トーマスがなぜあんなに喜んだか。
それはこういうワケだったのだ。
早速魔法を試してみたかった。
もちろん相手は・・・・・・・・・・・・・・・・。



カタリナとハリードが二人で地図を見合わせて次の目的地について相談している。
トーマスは「ちらっ」と横目でその様子を見た。
そして、さっき買って貰った月魔法を使ってみよう、と思った。

気を溜めて・・・・・・・うん、そろそろかな。

「幻惑光ぉ〜♪」

トーマスの周りに月の光のスポットライトが当たる。
きらきらきらきら・・・・月のしずくがトーマスの体に降り注ぐ。
なんとも美しい魔法。

ところが、カタリナの態度に変化が見られない。
それもそのはず。
これは「戦闘中の敵に対してのみ」有効なのだ。
しかし、あきらめの悪いトーマス。
もう一度試みてみる。

「幻惑光ぉ〜♪」

トーマスの周りに月の光のスポットライトが当たる。
きらきらきらきら・・・・月のしずくが・・・・・いや、それはもういい。
と、その時、カタリナの頬がぽおっと赤く染まった。

「おお・・・・・・!!」
魔法が効いた!
喜ぶトーマス。

しかし、カタリナは目の前のハリードに潤んだ瞳を向けている。
「好き・・・・・・・」
ハリードは大慌てでカタリナに返事をする。
「い、いや。 俺には姫が・・・・・・。」

大失敗である。
すぐに薬で元の状態に戻した。



じゃ、戦闘中ならどうだ。
トーマス君、かなりしつこい。
もう呆れてものも言えない・・・・・・。

「トム君! 援護を・・・・・・・・・・!!」
カタリナが叫ぶ。

「幻惑光!!」
カタリナに真っ向から向かって魔法をかける。

・・・・・・・・・それは援護じゃないだろ・・・・・・・・・。
つっこみどころ満載である。
しかして・・・・なんとカタリナの頬が真っ赤に染まった。

「成功だ♪」
喜びいっぱいのトーマス。
剣を肩に乗せ、軽くとんとん叩きつつ、カタリナを待つ。

「トム君・・・・・・・・♪」
実に艶っぽい顔をして微笑むカタリナ。
「はい?」
期待(なんの?!)満々でカタリナに笑いかけるトーマス。
「すきっっ♪」
なんとカタリナが微笑みながら大剣を振り下ろしてくるではないか。

クリティカルヒット!!

「ぎゃーーーーーーーっっっっ!!!!!」
トーマスは絶叫し、いきなり瀕死状態に陥った。

「あんの・・・・馬鹿っトーマスッッ!!!」
トーマスの絶叫を聞いたハリードがそばに駆け寄り、カタリナから大剣を奪取する。
そしてロビンがカタリナに薬を飲ませる。
ハーマン、ウォードが回復魔法やアイテムを使ってトーマスを助ける。
もう、バトルほったらかし。
敵はみな白けてしまって、あちらの方向へと歩いて行ってしまった。



「もう少しで死ぬ所だったんだぜ。」
ぐるぐる包帯を巻かれたトーマスが、みんなにお説教されている。
「まったく・・・・魔法の力に頼ろうなんざ・・・・・」
「反省してます・・・・・・・・・・・」
トーマスはしょんぼり。
「じゃ、ゆっくり寝てろよ。 俺たちゃ、観光でもしてくっからさ。」
「はーい・・・・」
トーマスは小さく返事をしてひとり静かにベッドに横たわる。

すぐに眠りの世界へのドアが開き、トーマスをいざなった。
すうっ・・・・と体が闇の中へと墜ちてゆく。

(でも・・・・・・僕はあのひとに・・・・・・・・・・・・・・・)

「トム君・・・・・・・?」
少しして、カタリナがトーマスの様子を見にやって来た。
そして、トーマスのベッドの傍らのいすに座り、トーマスの髪をやさしく撫でた。
「眠っちゃったんだ・・・・。 いい夢見てね・・・・・・」

(ふりむいてほしかったんだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

「キスぐらいしないかな・・・・・・。」
「しっ!!」
扉の向こうで観光に行ったはずの仲間達が、ドアの隙間からふたりを覗いていた。
「何か」を期待しながら。

ええ、トーマス君がカタリナ様を好きなのは、周知の事実ですから。(^_^)



そんなこんなで、トーマス君は今日もカタリナパーティで頑張っています。


「幻惑光」は、実は「自己の魅力を倍増させ、誘惑系の魔法を効くきやすくする補助魔法」です。
これを敵にかけたあと、「魅惑の瞳」とかを発動させるんだと思うのですが、
私は実際に使ったことがないです・・・。(魔法は買いましたけどね・・・・)
まあ「ネタ」として使ってますので、ノークレームでお願いします。(^_^;)



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