【思考】

1999/04/11

 白黒端末や、ブラウザの「フォント指定」を用いて「エゾシカの嘶き」をご覧の方はご存じないと思うが、このコーナーについては、黒塗りバックにMS明朝体で作成されている。で、フォント色だが、先日まで水色(特定の文字だけ赤にしていた)だったのを、今日灰色にしてみた。
 改めてわかったのだが、黒という色は他のものとの相性が良く、伝えるべきものがどうにでも変わってくるものである。黒地に白だとお知らせ文、黒地に赤だとホラー小説、黒地に緑だと読ませる文章、黒地に茶色だと檄文、黒地にピンクだとエロ小説、ってな感じである。
 そう考えると、黒で悪を気取ったり、黒で悲しみを装ったり、黒でいい子ちゃんのつもりになったりするサントリーの「BOSS BLACK」のCMはなかなか深い味を持っているといえよう。商品自体は全く深みのない味なのだが。

1999/04/15
フォント
 以前(1999/04/11)に、このページの配色の話を書いたのだが、今日はフォントの話である。このページは「MS明朝」で書かれているのだが、これは熟慮の結果なのである。
 フォントのイメージとして、明朝体は格調高い評論文、ゴシック体は淡々とした情報伝達、丸文字体はかわいらしさ、教科書体は説教臭さ、痩金体、相撲体、綜藝体などは「お前年賀状ソフトか何かでたまたま不必要にたくさん入手したフォントをうれしそうに使ってるんやな」、などというイメージをそれぞれ抱いてしまう。「EZOSHIKA TOWN」の他のページは確かにゴシック体が最良かもしれないが、まさにこのページにはどう考えても明朝体以外にあり得ない。そう考えて、他のページとは一線を画したデザインにしているのだ。明朝体以外でご覧の方は、是非一度、明朝体にして全文を再度熟読していただきたい。
 2年ほど前、「新世紀エヴァンゲリオン」に傾倒している人と仕事をやっていたときのこと、私は得意先に提出する資料などに、すべて極太明朝体を使っていた。まだ「エヴァンゲリオン」およびそのアニメの中で多用されていた極太明朝体が巷間でブレイクする前のことであった。
 他部署の方から、ある資料を急いで得意先にお持ちしたいので至急送ってきて欲しいとの話があった。私は社内メールでそのファイルを彼にお送りした。「なかなかユニークなフォントですね」というのが彼の言葉だった。普段は流行に疎い私だが、その時ばかりは「俺はあなた方も知らない極太明朝体を使うことによって時代の最先端を先取りしているのだ」という優越感でいっぱいだった。ところがその人の次の言葉に驚いた。「でもこれ、コギャルみたいですね」よくよく話を聞くと、彼のところにファイルを転送した時点で、彼のパソコンに極太明朝が入っていなかったため、代替フォントとして「変体少女仮名」が選択されてしまっていたのだ。「変体少女仮名」がインストールされているパソコンもパソコンだが、何よりもそんな資料が得意先に渡らなくてほっとした。得意先の方に「変体少女仮名」を咎められるのを心配したのではない。得意先の方が「今、変体少女仮名がトレンディー!」と勘違いして当方の資料に変体少女仮名を強要してくるのが心配だったのである。

1999/04/18
最新技術
 少し前に、TVでユニークな鮮魚の保存法を紹介していた。魚を一時的に眠らせることによって、新鮮さを保つとともに、水槽で動き回ることによって起こる搬送時の損傷を防ぐという一石二鳥のものである。方法も、薬を使ったりするものではなく、針をある箇所(これは紹介されなかった)に刺すだけのものという、一瞬で簡単にできるものであった。
 おいしい魚を食べたいのもさることながら、私はもっと他のことにこの技術を活かせないものかと考えた。列車の中で泣きわめく幼児、それをもてあます親、幼児に対して折檻することもできずにただ堪え忍ぶ周囲の乗客。この幼児を一瞬で簡単に一時的に眠らせて、現地に着いたら元気に動き回らせることができれば、幼児も親も周囲の乗客も、どんなに列車での移動が快適なものになるだろうか。

1999/04/25
マニア
 1999/04/09でMEGA WEBについて書いたのだが、今日また行ってきた。その際同行者が「自動車マニアは敬愛される存在なのに、鉄道マニアは敬遠される存在である」という趣旨の発言をしていた。
 「自動車マニア」という人種に対し、我々はステレオタイプ的なイメージというものを持ち合わせていない。その一方で「鉄道マニア」という人種に対しては、外見においても内面においてもイメージが相当共有化されていると思われる。しかもその共有化されたイメージが(ここでいちいち列挙しないが)かなり人々にとって負の感情を惹起させるものであるようである。
 鉄道マニア諸兄は、内面はどうせ簡単に変わらないものだろうから、まずは外面についてもっと個性的になることが「鉄道マニア」に対する負のイメージのステレオタイプ化を避けることにつながるものと思われる。

1999/04/26
洋画
 先日宿泊したホテルのTVのアダルトプログラムは「調教師 悦楽の教え」という映画であった。「悦楽」という言葉以前に「調教師」という言葉に反応し、思わず全力疾走する馬を思い浮かべてしまったのが多少哀しかったが。
 この映画、もとのタイトルは「TEACH ME」というタイトルである。ここから「調教師 悦楽の教え」という邦題を考えついた方の感性にはただただ感服するばかりである。確かに「新婚のジャニーンは夫とのセックスの相性がうまくいかず友人に相談を持ちかけると『秘密の館』というセラピーを紹介された。そのセラピーとは彼女の肉体からエロスを呼び覚ます衝撃的なレッスンだった。」(ホテルの番組案内より)という内容を見ると、「調教師 悦楽の教え」というタイトルを考えつく人も何人かはいるかもしれない。
 それにしても、このタイトルを考えついた人がもし学園ものの映画のタイトルを考えたとしたら、「TEACH ME」は「保健室の課外授業」とか「女教師・真理子と少年」とかになるのだろう。家族の絆を描く映画のタイトルを考えたとしたら、「TEACH ME」は「父と娘・夜の花嫁修業」とか「未亡人・尚子と少年」とかになるのであろう。子供向き映画のタイトルを考えたとしたら、「TEACH ME」は「少女凌辱!」とか「亜美ちゃんとおにいちゃん」とかになるのであろう。あな恐ろし。

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