換気冷房三菱ウィンドファン

 今はなき商品「ウィンドファン」である。換気扇と言ってはいけない。73年の7月の広告である。70年代に入って、都市化が進み、大都市ではヒートアイランド現象で熱帯夜が増え涼しくならない。かといって、エアコンは少し高い。扇風機は普及していたけど、ちょっと違うもの。それが「ウィンドファン」である。数万で冷房?(この言葉を使っていいものか疑問に思うが)が手に入るって感じで、三菱以外にも出ていた。上の広告も「換気冷房」という言葉、「ぐんぐん涼しくなる」「風のカクテル」というコピー。確かに、住宅が密集していない所、まわりに自然が残っている所だとこれは使える。私も田舎でこれを使ったことがあるが、涼しい。が、湿度は変わらないから要注意である。ましてや、大都市の住宅密集地で使おうものなら、窓を開けた方が涼しいのである。今ない理由がわかったと思うが、エアコンが買えない人をターゲットにした商品なのである。今も冷風扇なるものがあるが、あれもその類いで、「水を入れ、打ち水の原理で気化熱で涼しくする・・・」などと言っているが、使い方によっては部屋がべとべとになるのだ。ウィンドファンのパネルは、今のウィンド型エアコンと同じだけど、エアコンの形をした換気扇なのである。上の広告のように遠くに街を臨む郊外だったら広告のような効果はあるが、都市部では効果は薄い。この頃はまだ鉄道の通勤車両も冷房車は少なかった時代。エアコンがどの家にも普及するまで、まだ少し時間があったころの幻の商品である。