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レプリカバイアス方式
SITコンプリメンタリ・プッシュプル
パワーアンプの実験
 

出力段のアイドリング電流を一定にするためのレプリカバイアス方式とは、
出力段と同じ素子を出力段と同じ回路で出力段と同じ電圧を掛けて出力段と同じ温度条件にしたものが出力段のレプリカ回路です。
この出力段のレプリカ回路で一定の電流となるようにバイアス電圧を制御します。
そしてそのレプリカ回路のバイアス電圧と出力段のバイアス電圧を同一にしてやると、出力段の電流はレプリカ回路の電流と同様に一定となります。
このやり方を、レプリカバイアス方式と名付けました。

レプリカバイアス方式回路の実例

Q10,Q11が出力段でQ7,Q8がレプリカ回路を構成する、同一特性のコンプリメンタリSIT(V-FET)です。
Q9,Q6はカレントミラー回路で、Q7,Q8のドレイン電流に等しいQ6のコレクタ電流が、5mAの定電流ダイオードにQ7,Q8のバイアス電圧を発生させます。
仮にQ6のコレクタ電流が5mAより大きいと、バイアス電圧が上昇してQ7,Q8のドレイン電流は減少し、Q6のコレクタ電流が減少して5mAで安定する、というように 一連のNFBループで一定に制御されます。
レプリカ回路Q7,Q8のソース間にある抵抗100Ωに発生する電圧分だけ、Q7,Q8のVGSがドレイン電流の減少方向にシフトするため、出力段Q10,Q11の アイドリング電流をQ7,Q8のソース間抵抗で任意に設定できます。

しかしこれだけでは終われない、高価なSITをレプリカバイアス回路のためだけに使うのは贅沢だし、ドライブ段が駆動するSITの容量が2倍になるのも気の利かないダッセー回路 だ !!
という思いが募り募って私を突き動かし、 レプリカバイアス回路を出力段のドライブ回路に利用する構成を考え出しました。

Q6,Q7はレプリカバイアスとソースフォロワで出力段をドライブするという2つの役割を持っています。
そしてQ14,Q15が出力段回路で、これらは同一特性のコンプリメンタリSITにより構成されています。
Q6,Q7のソース電流は10mAの定電流ダイオードで固定してあり、Q6,Q7とQ14,Q15はダイヤモンドフォロワ接続だからQ6,Q7とQ14,Q15のバイアス電圧 は等しい。

ここでQ14,Q15のVDSとQ6,Q7のそれぞれのVDSが等しければ、Q14,Q15のドレイン電流はQ6,Q7のドレイン電流と等しくなります。
その条件を整えるべく、Q18,Q19のエミッタ抵抗10kΩでQ14,Q15のVDSに比例した電流に変換して、Q16,Q12とQ17,Q13のそれぞれのカレントミラー回路が伝達し、Q10,Q11のエミッタ抵抗10kΩで電圧変換し、Q8,Q9によ りQ6,Q7のVDSとして与えます。

Q14,Q15のVDSからQ6,Q7のVDSへの伝達過程で生じる誤差 は、Q18,Q19のエミッタ抵抗10kΩを増加して補正する。
Q6,Q7のソース間にある抵抗100Ωに発生する電圧分だけQ6,Q7のVGSがドレイン電流を減少方向にシフトするため、出力段Q14,Q15の アイドリング電流をQ6,Q7のソース間抵抗で任意に設定できます。

ソースフォロワの電圧ゲインは近似的に μ/(μ+1)と1以下だから、μの低いSITは0.8位、それが2段接続のダイヤモンドフォロワとなると0.6程度、こんなポンコツを私の経歴から削除したくなり、
ダイヤモンドフォロワの電圧ゲインを1にするため、Q14のVDSとQ7のVDSを同じに、Q15のVDSとQ6のVDSを同じにと、たすき掛け のレプリカを考えたが、Nch素子とPch素子の特性が同じでなければアイドリング電流が一定しないため、
これは非現実的な妄想回路と諦めるしかない。


実験したポンコツ回路

最大出力 15W (f=1kHz,RL=8Ω)

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