パリ  
フランスの首都。同国北部,パリ盆地の中央,セーヌ川中流のシテ島を中心に同心円
状に広がる。フランスの政治,経済,文化の中心。北緯48°50′にあるが,西岸海洋
性の温和な気候で,月平均気温1月3℃,7月19℃,年降水量約600mm。セーヌ川の
重要な河港で,フランスの鉄道網の中心をなし,オルリー,シャルル・ド・ゴールな
どの国際空港をもつ。機械,自動車,航空機,化学,建設資材,食品加工,印刷など
の工業が郊外を中心に行われるが,パリ市そのものは人口がしだいに減少し,サービ
ス産業の中心地になりつつある。服飾,香水,出版などは世界的に有名。市街は19世
紀末に大規模な都市計画が行われ,シャルル・ド・ゴール,バスティーユなどの広場
を交差点とする放射状道路と城壁跡の環状道路を基礎に構成される。市内は20区に分
けられ,中心市街はシャルル・ド・ゴール広場からコンコルド広場に通じるシャンゼ
リゼ。モンパルナス,モンマルトルにはナイトクラブなどが多い。市の東側には町工
場が集まっており,労働者や移民が多い。1900年からメトロ(地下鉄)が建設され,
延長約200km,市内交通で重要な役割を果たす。エリゼ宮(大統領官邸),ブルボン
宮(国民議会),リュクサンブール宮殿,ユネスコ本部,旧パリ大学(1215年創立)
,エコール・ノルマル・シュペリウール(高等師範学校),エコール・ポリテクニク
(理工科学校),ルーブル美術館,ギメ美術館,オペラ座,コメディ・フランセーズ
などがあり,またノートル・ダム大聖堂,サクレ・クール教会,サン・ジェルマン・
デ・プレ修道院などの聖堂も多く,チュイルリー宮,エッフェル塔のあるシャン・ド
・マルス,ブーローニュの森など公園・緑地も多い。 最初ケルト系のパリシイ人が
居住していたが,ローマ軍が侵入,以後ルテティアと呼ばれ,前1世紀半ばカエサル
に占領された。4世紀ころからパリと呼ばれるようになり,508年フランク王国,987
年カペー朝の首都となってからはフランスの中心。12―13世紀フィリップ2世のもと
に中世都市として整備される。16世紀にはルネサンス文化の洗礼を受ける一方,宗教
改革の波が押し寄せる。17―18世紀にはルイ13世からルイ16世統治下でさらに膨張発
展したが,人口増加は貧困化を招き,下水道の不備などと相まって都市民の生活を圧
迫した。こうした状況を背景として1789年のフランス革命,1871年普仏戦争敗戦後の
パリ・コミューンでは中心舞台となる。こうしたな