フランス料理 フランス語による最初の料理書とされるタイユバンTaillevent〔1326?-1395〕の《 食物譜》によれば,中世においては煮込みや濃厚なスープなどが料理の中心であった 。16世紀半ばのアンリ2世とイタリアのカトリーヌ・ド・メディシスの結婚と前後し て,イタリアのすぐれた調理技術や食事マナーがもたらされ,ルイ14世の治世以降, 宮廷料理はめざましい発展を遂げ,全ヨーロッパに大きな影響を与えた。やがてフラ ンス革命が起こり,宮廷や貴族のお抱え料理人たちが生活のためレストランを始める ようになった。19世紀末にはエスコフィエが活躍し,宮廷料理とレストラン料理を統 合させて,現代のフランス料理を体系化した。20世紀になると料理の簡素化が進み, 1970年代からヌーベル・キュイジーヌが台頭してきた。 フランス料理の基本は〈煮込むこと〉であり,うまみや香りが浸み出た汁をさらに 調味して,様々なソースを作る。このソースが個々の料理の持ち味を生かす役割を果 たす。また食材も多様で,フォアグラ,エスカルゴ,トリュフ,グルヌイユ(カエル )などが珍味とされ,子牛や羊の心臓,子羊の脳みそ,その他あらゆる内臓も工夫を こらして供される。 フランス料理のフルコースは,1.オードブル,2.スープ,3.魚料理,4.アントレ( 温かい肉料理),5.ソルベ(英語ではシャーベット),6.ロティ(英語ではロースト ,鳥獣肉の塊をオーブンで焼いたもの),7.サラダ,8.デザートの順となっている。 最近では肉料理はアントレかロティ1品とし,ソルベを魚料理と肉料理の間に置くこ とが多い。またレストランではより簡略に,オードブルかスープ1品と,魚か肉を1 品,それにデザートというのが一般的になっている。