ジャズ  
 
20世紀初頭にアメリカのニューオーリンズで生まれ,発展した音楽。大衆音楽のみな
らず芸術音楽にも多大な影響を与えた。即興演奏と躍動的な〈オフ・ビート〉のリズ
ムを主な特徴とする。その起源は西アフリカから新大陸に連れてこられた黒人奴隷の
末裔の民俗的音楽と西洋音楽とが融合したものとみられ,ニューオーリンズで音楽の
素養を持ったクレオールと元奴隷たちによるブラス・バンドはのちにディキシーラン
ド・ジャズと呼ばれる。ここにはブラス・バンドの行進曲,ブルース,宗教歌(黒人
霊歌),ラグタイムなどの要素がみられる。1920年代以降の工業化とともにシカゴや
ニューヨークなど北部都市に伝播し,D.エリントンらのビッグ・バンド・ジャズやB.
グッドマン以降主に白人によって行われたスイング・ジャズ(スイング)によってそ
のスタイルを確立した。それまでダンス音楽であったが,第2次大戦以後,演奏形態
もコンボが主流となり,ジャズは鑑賞音楽としてさらに独自の発展を遂げた。独創的
なアドリブ演奏のなかからバップと呼ばれるスタイルが登場し,C.パーカーらがこれ
を完成,モダン・ジャズの基礎をつくった。さらに,M.デービスなどの登場で1950年
代からモダン・ジャズは一気に成熟期を迎えた。1960年代には騒音に近い自由な演奏
を目指すO.コールマンらのフリー・ジャズやM.デービス,J.コルトレーンなどのモー
ド・ジャズによってさらに表現範囲を広げ,以後ジャズはかつてないほど多様化し,
また他ジャンルとの融合(フュージョン)により新しい道を辿るが,かつての勢いは
失いつつある。 
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