進路指導の現状

99/02/14 13:52:41

 脱偏差値・業者テストの完全廃止(神奈川・埼玉で業者テストでの偏差値輪切りが新聞でいきなり問題視されたことが発端)が叫ばれて、はや6年何が変わったか??

何も変わらないのが現状である。塾産業はますます繁栄している。受験がなくなったと思っているのは一部の大人であって現実には「競争」は続いている。資本主義社会において「競争の原理」は当たり前である、しかし、こと学校の中だけはそうでないと上層部は思いつづけている。理想を掲げる上層部(上層部とは教育管理行政機関です)と現実に向き合う塾産業、そしてそのジレンマと闘う学校といったところか。

 私立の高校の中には「自己推薦」「塾推薦」を取り入れているところがある。学校の一辺倒の尺度でない個性をみるのがそのうたい文句であるが、実際はよりすぐりのエリートを求めているのである。学力であれば一流大学への合格実績を伸ばすことであり、運動であれば全国大会以上に出場して名声をうることである。「自己推薦」「塾推薦」ともに偏差値を持参することが多い。所謂「埼玉方式」という進路指導は偏差値撤廃のはずだが、どうやらそう言いつづけているのは一部だけであり、暗黙にもしくは水面下で堂々と偏差値が横行しているのが現状である。具体的には「高校説明会等」で、有名図書会社の所謂会場テストの結果を持参して進路担当と受験の仕方を相談するのである。これはかつての事前相談である。学校の通知表のコピーというのもあるが、学校の通知表では「生徒の興味関心意欲態度等の情意面」が考量されており、実際の生徒の実力とは異なる場合があると判断されることがある。つまり、通知表よりも偏差値、個性・人格よりも実績・実力なのであろう。

 人気の高い一流大学正付属などの高校は自然と受験者が集まってくるのであり、所謂「一発試験」で実力を診ればそれで済む。マークシート等で大量に答案をさばけば良い。いちいち「内申点」やら「特活の記録」など目を通す必要がない。まずは実力で輪切りにするのである、それから人間性を診ても遅くは無いし、それだけ受験者がいる。目を通すべき資料は、一中学校の狭い範囲の「内申」などではなく、全国レベルの資格、文部省認定系の資格試験である。英検、漢字検、数検、TOEIC等。

 それでは中学校で日々教員は様々な方法で、「形成的評価」や「個人内評価」など絶対評価を加味した相対評価を工夫しているが、いったいそれらは何のためになるのであろうか。内申もあまり見られない、学校外の業者テストで偏差値が有効。実力実績至上主義、情意面や人間性は後回し。

 英検は業者テストではないらしい。学校で準会場として堂々と実施している。なぜ国連英検/TOEICではないのか??

 会場テストは中学3年生のほとんどの生徒(塾に通っていない生徒も含め)が受験している。先日(10/12、1998)生徒に「昨日(10/11、1998)○○会場テスト受けた人いるかな?」と休み時間に冗談半分で聞いてみた。するとなんとクラスのほとんど、およそ80%が手を挙げているのである。それは他の3クラスの場合も同じであり、本校3学年のほとんどが受けていることになる。その偏差値の出るテストは、合格可能性までしっかりと教えてくれるA1〜Dまである。志望校合格確実圏から努力圏まで。さらに、親切にも私立併願推薦校等、しっかりと紙面の上で数値を武器に進路指導してくれている。なぜわざわざ全学年の八割近くが受けているものを学校を準会場として受けさせてあげるサービスをしないのか?不合理である。

 何のためのいやだれのための「業者テスト廃止」なのか?

 学校というところだけなぜ特別視されて尚且つ、自然でない無理のあることを強いられているのか

 なぜ学校だけ現実ばなれした場所でなければならないのか?

上記のことが納得できない。

 ともかく、業者テスト廃止なのであるから所謂「実力テスト」は教員が作成してその結果を分析、さらに三者面談等で活用できるようにデータ処理しなければならない。しかも個表には順位が入っているのが大半の学校の処理の仕方である。順位は学年全体、男女別まで記入である。ちなみに、順位を個表に入れるにあたっては生徒数名にアンケート調査、また数名の父兄に事前に問い合わせみた。生徒や父兄は順位を入れてもらいたいというのが圧倒的に多いのである。この現状を上層部はどう考えているのだろうか?いったい誰のための学校なのだろうか? そういった声は高校選択のひとつの目安になるし、子供が上を目指して頑張るという現実があるのだそうだ。本校ではクラス内順位まで入れている。生徒の中には偏差値を出して欲しいという声も多い。やることはいたって簡単だが、「偏差値撤廃」であるからできない。順位をあからさまに出すより、偏差値の方が良いかもしれない。ちなみに当の生徒は学習に燃えてきているし、順位を出していることはプラスに働いていることはまず間違いない。しかし、それにどういう理由でか反対をしている人もいるわけである。恐らく何らかの固定観念にとらわれていて、偏差値乃至順位というものは教育における完全悪だと信じているらしい。生徒・親・社会が「必要悪(?)の競争原理」を直視しているのに一部の理論家だけが目を塞いでいるのである。

いったい誰のための教育活動なのか??

学校は「暖かい場」であってほしいしそうなければならない。しかし、現実を知らせておかねばならないし、社会の厳しさを知ることもまた必要である。さもないと、学校教育が終わってから社会に適応できない所謂「自分に甘い(他人に厳しい)」わがまま人間=Adult-childの増加につながりはしないだろうか??現状の中学校をよく見てほしい。わがままを通し、言いたい放題、やりたい放題になりつつある。だれもStopをかけない、あくまで「誉める」ことに徹する。たとえば、「毎日授業はフケテ、コンビニ族に徹し、たまに学校に来て掃除の時間にごみ捨てでもすれば誉められてしまうわけ」である、その一方で掃除も雑巾がけをして毎日苦しくても学校に通ってくる生徒あるというのに、、下手をすればそういった生徒よりも目立っている分(決まってピアスにボンタン、茶髪)得をしているかもしれない。それで認められるならだれもがそうしようと思うだろう。いったい生徒の非行はだれがStopをかけているのか分からない。ちなみに家庭の協力・指導は望めない、家庭に指導力があればとっくに非行から立ち直っている。中学くらいになると親も半ば開き直っている。現在の中学校の荒廃は昭和50年代の金八時代をしのぐ勢いだそうだ。

現場の教師にはDrasticな変革を高く望み、当事者はDrasticどころではなく例によってConservativeなのである。

 矛盾しきったなかで教師は仕事をしている。

 

【実際の進路指導】
〜進路データベースと査定会〜

 業者テスト撤廃により、それに代わるものを教員が作成している。そして成績個表を作成している。しかも一部の「機械好きの教師」(私はそう皮肉を言われながらパソコンで成績処理をしています)の手によって。業者テストに比べれば確かにSample数が少ない上に過去のデータが揃わない。実施する試験の難易度も作成時期や作成教師によってまちまちである。相対的な位置を出してみても全県の中の位置は未知数である。それでも三者面談用に無駄とは知りながらも所謂「実力テスト」なるものを実施しているのである。そしてその結果をもとに高校別に生徒一人一人の「合格可能性」を測っている。

下記はその合格可能性を測る材料としての進路データベースである。これは学校での査定会などで使用する。校内での査定会など意味がないのだが、一応やることになっている。

 県公立高校の推薦入学等の学校内選抜で始めて威力を発揮する事実はある。

 本校ではExcelを使っている(私が個人的に使っているだけかもしれない、Lotus派が教師はなぜか多い)。実力テストの結果と内申10段階学記点を中心に査定する。

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 志望校が随時変化するので、各担任が逐次変更をデータフォームに加える。

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 高校別に抽出をして、その中の生徒の実力テストの結果と10段階評価を査定する。しかし、主にだいたいの相対的な順位の位置でしか過去データとの比較の方法はなくUp-to-dateな相対評価ではない。しかも、学校のレベルという問題もある。

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 すべてはVBEによってマクロ化されている。

 

 これらのExcelによるデータベースから学校乃至学年査定会、というながれでやっと「業者テストのやっていること」に追いつけるのである。しかし、その内容たるや貧弱であるのは言うまでもない、Sampleが圧倒的に足りない。

 仮にかつてのようにこれらの作業が業者テストを介してやれるならどんなにか「現実的」で教員の苦労が減ることだろうか????

 少なくとも、同一のテストを何校かで実施することくらいは許してほしいものだ。標本数さえ増えれば、業者テストのやっていることはパソコン等を通じてやることはできる。要は標本数と教員の時間と労力である。

 

 

  さて、上記のようなEXCELを使った進路データベースを作成している先生おられましたら、情報交換しましょう。また、もっとうまい抽出コピーの仕方がありましたらお教えください。

 MAIL;mitsumasa@saitama.email.ne.jp

 

 

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