ミューズワークショップ情報

2013年ワークショップ公演後記
今年も私にとっても関係者にとっても、そしてなにより参加者にとっての熱い夏が終わった。
不思議な事に年々参加者のレベルが上がっているような気がする。
全くの初心者が多いのだから、そんなわけも無いはずだが、なぜか毎年そう思うのである。
今年は初日にして2ヵ月後の参加者の舞台発表の成功が見て取れた。(これはいける!)
なので、皆の稽古時間を割いて、能の話を少しでも多くしよう。実際の私の謡いや舞を沢山見てもらって、感じてもらおう。
また、能の面や装束などの小道具も見せようと、実技や発表の為の稽古以外の時間に多くを費やした。
それもこれも、参加者がとても真面目で熱心だったからに他ならない。
稽古が始まってからの脱落者がいないのも今年の珍しい特徴だった。
途中で仕事が忙しいとか、練習が思っていたよりキツイという理由で抜ける方が誰もいなかったのだ。。
毎回とてもよいムードで練習に臨めたので、私もスタッフも気持ちよく真剣に練習に打ち込めた。
せっかく「触れてみよう能の世界」という銘打っているのに、仕舞の稽古だけではもったいない。
私を通じて伝えられることはわずかだが、それでも能の入り口に招く位は出来るだろう。
私の知った能の魅力や面白さや不思議さを伝えられればと、時間の許す限りお話した。

今年は小学生は3年生から、大人は80歳目前の方々まで、しかも男性も多く、まさに老若男女の集った年だった。
夏休みの学校スケジュールの関係があるのか、今年は例年より子供達が少なかったが、
それがかえってきめ細かく練習したり能の話をしたりと私にとっては好都合だった。
毎年参加してくれる7年目の高校生は、もはや立派な青年になり、このまま能の道に進んだらと思うほど成長し闊達な仕舞を
舞った。
こうした子供達に何を伝えるのか。伝えられるのか。
これが一番大事な事ではないかと思う。
今年も生き生きと能を楽しむ参加者と夏を過ごし、一番鍛えてもらったのは、自分だったな。と
皆の舞台の成功と安堵と共に最高の夏を過ごせた幸せを感じています。
皆様ありがとう。
関係者の皆様にも厚く御礼申し上げます。
ありがとうございました。
お陰様でこのワーク来年も続くようなので、是非お知り合いに勧めて下さい。
一人でも多くの方に能に触れていただき、体験していただきたい。
敷居は全く高くないので、ご安心を。
はじめは朝のラジオ体操やジョギングやプールに通うようなつもりで大丈夫です。
きっと楽しく有意義な時間が過ごせます。
勿論再チャレンジもOKです。また会いましょう。


ワークショップが終わったあとのパーティの模様を私のブログに載せました。⇒ 能樂夜ばなし






2013年
今年はミューズの開館20周年にあたり、八月のワークショップと九月のろうそく能と二つの能樂公演が開催されます。
思えば、こけら落としの公演に参加して以来、実に20年の歳月が流れました。
この間に2千公演ほどの舞台に参加し、私自身も多くの経験と学びを得てきました。
そして、ワークショップは400名以上の方と練習をして、得がたい経験をして来ました。
そして今、私自身は20年前よりも能が更に面白く感じられるようになっています。
20年前のあの頃の自分に、今の自分が能の面白さをその凄さを、この感動をもっと教えられたらなと思います。
そんな思いを込めて、2013年の9年目のミューズ能樂ワークショップに取り組みます。
能の基本的な歴史などのレクチャーと、基礎的な体の使い方と、初歩の舞の修得を通じて
能への扉を、あなた自身の手でひとつ一つ開けていって欲しいと思います。
人から人へと伝えられ、今もなお心打つ世界無形遺産の芸能の魅力を是非自分自身でお確かめ下さい。
初心者対象ですが、経験の有無も年齢も問いません。軽い運動と、すり足が出来る方なら大丈夫です。
毎年二ヶ月で完全完結の講座ですから、是非時間を作ってトライしてみて下さい。
参加お待ちしております。


2012年
今年は、自分の中では8年間やってきたワークショップが結実したかと思えるほど、
完成度の高いワークショップになりました。
能のレクチャーや練習も、予定以上にスムーズに進み、多くの話が出来ましたし、
何より参加された方々が、初心者とは思えない美しい舞を披露出来るまでに練習出来た事が何よりでした。
そして舞う楽しさや能への興味を持っていただいたことがとても嬉しかったです。
私は毎年この時期に参加者とすり足などの基礎訓練を繰り返しながら体を鍛えるので、これが演者としての私に
適度な負荷をかけてくれています。そして、自分の体や能へ向かう心を見つめ直す2ヶ月になっています。
来年はミューズ20周年公演も控えていますので更に進化したワークショップにしたいと思います。

2011年
2011年の夏のミューズワークの成人の部の公式練習も無事に終了しました。
今年は、例年より参加人数が多く、定員オーバーで始まりましたが、終わってみれば例年以上に
集中したワークショップになりました。20歳から80歳までの幅広い男女の方々と時間を過ごせたのが
楽しかったです。2ヶ月なんてあっという間でした。
今年は、初日から幸先よくスタートが出来ましたので、劇場から与えられた時間に余裕があり、
仕舞以外の能の話が出来て楽しかったです。
能のお話をしながら自分自身も考える事が多いです。
私を含め、現代人にとって、能の世界に描かれる、人間模様や、思いや宗教観。また、音楽やストーリーの構成。
面や装束、楽器。
どれも、不思議に感じることがあります。我々日本のお話なんですが、縁遠くなっている感じがします。
戦後教育の影響はあるのでしょうね。
今日、我々が見るTV、映画、演劇、音楽、エンターテイメントは、全て近代に海外の影響を受けてたものばかりです。
それはそれで、とても面白いのですが、自分の家に古くからあった凄く良い物を忘れてしまってる。
もちろん能だって、現代にそうして育った演者が、やるわけですから全く影響が無いとはいえません。
しかし、能を勉強しながら感じる日本の風土や自然や風俗。その良さもちゃんと覚えていたいです。忘れたくないですね。

自然ということについていうと、能の楽器も衣装も、全て天然素材の物。
能に描かれている日本の美しい自然の四季。
そいういう自然環境が身近にあったればこそなわけです。
清んだ空気と水に育まれた山の草木や虫達がいなければ、装束に使う絹糸すら作る事は出来ないのです。
能面の素材の檜や楽器の木材や、革。みな日本に自然に育まれた物なんですね。
自然ということについてだけいうと、やっぱり大事にして、うまく共生して行きたいわけです。
能を勉強しながら、考えさせられる事も多いです。

さて来週は公演本番ですが、その前に子供達の短期ワークショップがあります。
今年もちびっ子が元気にやってきます。元気で清んだエネルギーを引き出せたらと思います。
ワークショップは全て、公演当日の一部に、発表をします。
小さな子供達は、大人のように上手に舞えるわけでもないのですが、とても素直に力を出します。
能の基本の型は、無駄をそぎ落としたシンプルなものですから、子供にも覚えやすく、
また、子供達の方が、エネルギー(元気のような力)を引き出しやすいようです。
子供達の清んだ元気なエネルギーに触れて、客席で涙する大人の方が多いです。
実は、私も涙もろいので、リハーサル中に毎年何故か、涙が溢れる事があります。
子供たちの元気は素晴らしいですね。
楽しく過ごしたいと思います。8、11



2011年のミューズワークの募集も始まりました。
先日のプレワークでは、定員を大幅に超えた老若男女のご参加があり、大変嬉しかったです。
すでに夏の参加者希望者も続々申込だそうです。
好評につき7年目の夏も、私が担当いたします。

先日のプレワークでは、小学3年から来ていた男の子が、中学生になり、私の背を抜きました。
「今年は何やるの?」と期待を込めて質問されました。
子供ワークは、集まった子供達の力を見ながら課題を決めます。
昨年から中学生たちの稽古も始まりましたので、それぞれにあわせて伝えられることを伝えていこうと
思います。しつけのために連れてこれる親御さんもいますが、それは少し違うかもしれません。
伝統というとしつけにうるさい大人しい芸能のように思う方もいますが、、普通に挨拶さえ出来れば、
あとは子供達の創造性や身体能力をフルに使って、まっすぐにエネルギーを出してゆきます。
子供達の稽古をしていると、人が生きる力の源に触れるような気がします。
今年も楽しくやってゆきます。

さて、大人の皆さんには、「出来るかしら」と毎年質問されます。
仕舞ワークは、人との競争ではなく、自分自身で多くを学ぶ為の講座です。
長年稽古を積み、芸と呼ばれるものを作る為の稽古とは、このワークショップは少しだけ違います。
全くの初心者を対象としたプログラムです。
立つこと歩くことの難しさや楽しさからスタートして初心の舞へチャレンジします。
自分の体で表現する楽しさ、基礎の基礎の中でさえ感じ取れる伝統の奥深さに触れて頂きます。
日本オリジナルの芸能の不思議さ面白さを是非自ら体感して下さい。
そして、何百年とこの芸能を育んできた日本のことを、再認識していただけたらと思います。
私はその手助けさせて頂きます。
是非ご参加下さい。
いよいよ締め切り間近です。大丈夫。迷わずトライして下さい。
6,14記





2010年のミューズワークショップも盛況のうちに終了。
今年は、中学生の参加も認められ、小学1年から70才代の方まで多くの方が参加されました。
能という芸能の楽しさや、奥深さ、また日本伝統文化の魅力を多くの方と再確認出来た夏でした。
小学3年から参加して、我々プロの能の公演で子方まで勤めるようになったTちゃんも小6になり、
受験を控えて子方を卒業しました。劇場から賞状を頂けて感激でした。
今年はワークショップのプレ講座とあわせると、のべ80名にもおよぶ、あらゆる世代の方と一緒に
すり足を確認しあったり、謡ったり、練習に取り組めて充実しました。

能という芸能は、台本が室町時代の古い言葉なので、一番最初は小難しい気もしますが、
やってみると身体にも心にも、とても心地よい芸能なのです。
美しい日本語の響きは、身体にも沁み通ります。

舞は、空手や剣道や太極拳や気功やヨガといった、身体の芯を感じる伝統的な体術に通じ、
ゆっくりと、そして力強く美しい体の使い方を学びます。
この姿も心も整えて行く感じが、若い女性たちにも好評でした。

ミューズの広報(ワークショップ実施報告の写真)
今年はこのワークショップ卒業生からもっと稽古を続けたいとOB会が結成されて5周年にあたり、
劇場で浴衣姿の稽古会が催されました。
より深く継続的な稽古を通じて得たものは大きいです。
まさに継続は力なり。心身ともにしっかりとした舞台姿に修練の成果を感じました。
とてもよい記念になりました。
来年2011年夏のミューズワークショップに是非ご期待下さい。

             
会場に響き渡るOB会の謡の力      70歳台とは思えない長老OBの溌剌とした舞。




間も無く所沢ミューズより2010年の広報が開始されます。
好評により今年の夏のワークショップも私が指導をさせて頂きます。
能の基本的な体の使い方と発声の仕方を仕舞を通して学びます。
構え、すり足、発声から始まって短い一曲をマスターするまで練習します。
 
自ら体験し、自ら考え、600年以上続いてきた能楽の魅力に触れていただく講座です。
最終日は、成果発表と、プロの能楽公演がセットになっていますので、知識と体験と
実際の能楽の鑑賞が一度に出来ます。充実した2ヶ月間を送って頂き、是非、伝統文化の
素晴らしさを感じて欲しいと思います。一般のお稽古事とは一味違う短期集中講座です。

なお、当日は一般の方の能楽鑑賞も出来ますので、お誘いあわせて来て下さい。



2009年公演記録


例年夏に行っています所沢市民文化センターミューズ主催の伝統芸能普及講座。

今年も例年通り、全くの初心者を対象に6回の稽古を通じて仕舞を習得し、8月22日に
ミューズのキューブホールでグループによる仕舞稽古成果発表をしていただきます。

当日は、玄人の地謡で発表の仕舞を舞うという贅沢なワークショップ。発表までの指導は
私、遠藤喜久ががびっちり担当します。

発表までの稽古を通じて能というものに体験的に触れていただき、
伝統文化を考えいただきたいと思います。

例年全くの初心者の方が挑戦され、素晴らしい成果を体験しています。
身体で舞を記憶していくという作業は、脳と精神をリフレッシュするようです。
そして、発表を通じて他人に舞を見せること迄やって、このワークショップは完結します。
自分自身の変化と、見ていただいた方との心の交流を体験出来るのではないかと思います。
特別なメソッドを使うわけではなく、伝統的な稽古を体験していただきたいと思いますが、
この5年間の経験で、より深い内容まで指導できるようになりました。2ヶ月という短期間
ですから、体と心と頭をフルに働かせての充実した内容となっています。

青少年の枠もありますのでお子様がおいでの方は是非有意義な夏休みを体験させてください。
子供たちは物凄く飲み込みが早く短期間で一気に稽古をします。
また、このワークショップを契機にプロの舞台に出演した子供さんもいます。
子供たちにとって貴重な体験となることと思いますので、是非親御さんからお勧め下さい。

最終日では、「能のすすめ」と題した講座と、
能「海士 あま」〜藤原家の伝説〜を遠藤喜久のシテでご覧いただきます。
ふるってご参加下さい。

ワークショップの練習風景は
ミューズのホームページから。
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