リスクを最小限におさえたプランをたてる


バックカントリーを滑るための準備
 バックカントリーを滑るための準備として、雪の無い時期に下見するくらいのことが必要だと思います。下見をすることは、冬季は積雪や雪庇などにより大きく変化してしまう地形を知るためにも重要です。また、地図上では分からない植生についても情報を得ることができます。たとえば、森林限界以前であるにもかかわらず木の少ない草地の斜面は、雪崩多発地帯であることが分かるでしょう。そして、次の段階もいきなりハイシーズンに行くのではなく残雪期の雪が落ちついた時期に行くべきです。また、日本海側の山のような、きわめて危険な山域に入ろうとした場合では「無雪期の下見」→「残雪期の尾根筋」→「残雪期の谷筋」→「冬の尾根筋」→「冬の谷筋」くらいの段階を踏むべきだと思います。


いつ・どこを滑るか
 いつ・どこを滑るかということは、とても重要な問題です。初心者がハイシーズンの日本海側の山に入ることは自殺行為ですし、富士山にスノーシューを持って行くなんていうミスも、危険と常にとなり合わせのバックカントリーでは、笑ってごまかすことはできません。自分のレベルに合った山域・季節・ルートを正確に選びましょう。


季節 日本海側 内陸 太平洋側
初冬
(11月〜12月)
気圧配置は秋と冬を行ったり来たりして、雨・雪と天気はめまぐるしく変化します。天気が読みにくいため、短期のピストンが安全です。 積雪量は決して多くありませんが、悪天はそれほど長続きせず雪崩やドカ雪の心配も少ないです。 南岸低気圧の通過時には大雪に見まわれることもあります。新雪表層雪崩に注意しましょう。
厳冬
(1月〜2月)
西高東低の気圧配置が決まると、吹雪が連日続き、山に入るのはきわめて危険です。大雪による雪崩にも要注意。エキスパートにだけ許された世界です。 天気は、比較的安定していますが、気温の低い日が続き強風が吹きます。滑走時にはシュカブラの斜面・クラストした斜面に注意しましょう。 強い西風が吹き荒れます。晴天が続きますが、その分積雪量は少ないです。

(3月〜5月)
次第に晴れの日が多くなり、4月に入ると、沢筋の雪崩も落ちきりバックカントリー適期をむかえます。ただ朝・夕は、冷え込みによりアイスバーンの斜面になりますから注意。5月以降は、スノーブリッジの崩落に気をつけましょう。 周期的に天気が変化し、移動性高気圧の通過後は気圧の谷が通過するため、厳冬よりも天気は悪くなります。 南岸低気圧通過時の大雪に注意です。富士山では、多量に水分を含んだ雪による雪代(スラッシュ雪崩)に気をつけましょう。


(6月〜)

この時期にボードを抱えて山に入るようなら本物です。まわりの人に不思議な目で見られても、がんばりましょう。まだまだ滑れます。 距離は短いですが、探せば滑るところは結構あります。雪渓は、スプーンカットになるまでが勝負。 積雪の多い年は、この時期でも富士山で滑走可能です。ただし、アイスバーンでの転倒による滑落に注意しましょう。



どんなルートを滑るか
 雪崩の危険性だけを見てみると、谷よりも尾根を滑る方が安全です。また斜面の向いている方角も重要で、東の斜面には、西から乗越した季節風によって雪が運ばれ、雪庇が発達し、その下は吹き溜まりになっていて雪崩の危険性があります。また、春の南斜面ではモナカ雪になることがあります。どのルートを滑るかはある程度机上で判断できますから、十分な勉強をしてから山に入りましょう。





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