For Beginner


バックカントリーとは?
 ここでいうバックカントリーとは“管理されていない山”のことをいいます。スキー場のロープをくぐってパトロールと追っかけっこをすることとは、まったく違います。自然の山を自分の足で登り、自分の判断で滑走することをバックカントリースノーボード(山ボード)の前提としてください。


どれくらい滑れるの?
 バックカントリースノーボードは、そのほとんどを登りに費やします。2時間登っても、2分しか滑れません。これを、1日1〜2本でしょうか。
 夏の登山道と違って辺りは一面雪ですから、一番安全なルートを、自分で探して登ります。また、同様に滑走するラインを選びます。


バックカントリー=パウダー?
 バックカントリーに出たいと思っている人の大半がパウダーランを期待していると思いますが、狙って行っても、ホントのパウダーなんて、そう滑れるものではありません。しかも、パウダーは降雪中、またはその直後にできますから、初心者がこの時に行動することは、雪崩、遭難の危険性がとっても高いです。


バックカントリーは危険?
 答えはYES。バックカントリーにおいて絶対安全ということはありえません。
滑落 行動中に足を滑らせて、また風にあおられて転倒・滑落など。
荒天 冬山での吹雪はルートを見失い、容赦無く体温を奪います。
疲労 疲れたからといっても、そこにレストハウスはありません。食料も自分で担ぎます。
なだれ 両足が固定されたスノーボードでは、下半身が埋まっただけでも脱出は困難です。
落石 雪上の落石は音がせず、突然襲ってきます。落石が直撃したらまず助からないでしょう。
これはほんの一例ですが、どれも命にかかわることだということを良く理解してください。


ボードはどれくらい滑れればいいの?
 基本的にバックカントリーで転倒は許されないものだと思ってください。転倒の衝撃で斜面がなだれたり、その先が岩だったりすることがあるからです。だから、トリックなんてできなくてもいいからゲレンデではまず転倒しないくらいの滑走レベルが必要です。また管理されたゲレンデと違って、斜面の状況はアイスバーン、ザラメ、深雪、とめまぐるしく変化します。そんな斜面を読めるようにならないと、ハイスピードで、尾根裏の吹き溜まりに突っ込んだりしたら、いきなりノーズが刺さって前方3回転くらいしますよ。斜度は、35度くらいが気持ちの良い斜度です。


セイフティーなライン取り
 雪面へのプレッシャーを最小限に抑えるため、直線的なラインで滑ることがあります。しかし初心者の中には急斜面にビビッてしまい、斜面をトラバース(横滑り)してしまう人がいます。これは貴重なパウダーバーンを潰してしまうだけでなく、横切ったラインから下の面が落ち、なだれになることもありますので絶対にやめましょう。その斜面は、あなたの技量を超えています。そういった判断をしてから自分のレベルに合ったルートを選びましょう。


やっぱり、ボードは長い方がいいの?
 BCスノーボード=「長い板」というイメージを持っている人がいるかもしれません。実際、BCで出会う人たちは、160〜170cmくらいの板が多いです。長い方が、パウダーで浮くし、ハイスピードにも対応できるという利点があります。ただ、この長さが初心者に必要か?といわれれば、そうでもないと思います。自分は以前、145cmの板に乗ってましたが、これで立山とか行ってましたよ。そんなわけで、板は普通にゲレンデで使っているもので十分対応できますから、高いお金を払って板を買い換えるより、冬山登山に必要な道具をそろえるほうが先です。


どんな道具が必要?
 基本的に雪山に入るわけですから、冬山登山の装備が必要だと考えてください。BCといえばスノーシューがビジュアル的に先行していますが、そのほかに基本的なもので、バックパック、アイゼン、ピッケル、スコップ、雪崩ビーコン、ゾンデ、ツエルトなどが必要です。最初はかなりお金がかかりますが、一度揃えてしまえば、あとはあまりお金はかかりませんよ。


山岳保険に入ろう
 山岳保険は、雪山に入るのであれば初心者でも経験者でも加入しておくべきです。万が一遭難してしまったときに、捜索費用として莫大なお金がかかります。民間のヘリコプターを飛ばすと1回で100万円くらいはかかりますし、捜索を依頼すれば、1人あたりの日当が3万円ほど・・・。また雪崩・落石等を誘発し、人に危害を与えてしまった場合なども考えられます。保険料は1年間で1万円くらいなので、そんなことを考えると高くないと思いますよ。ただし、山岳保険に入っているからといって、安易に救助要請をして良いというわけではありませんので、あしからず。


結局は自分自身が頼り
 はじめはそのフィールドを熟知した人と行くことをおすすめします。良きリーダーと一緒に行く、またはガイドツアーに参加するのも良いかもしれませんね。 ただし、どちらにせよ雪山での危険はゼロになるわけではないので 、最終的には自分自身だけが頼りになります。 お金で買える安心として、道具やウェア等は最新の物を揃えるなどすれば 経験が少ない分を少しでもカバーできるかもしれません。 また、夏のうちに一度滑ろうとする山に登ってみて 地形などを確認するのも、安心につながります。山に行くには、十分すぎるほどの準備と緊張感を持つことが必要だと思います。



では、フィールドで逢いましょう。




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