10分ぐらい歩いただろうか、バス停に着いた。貸切バスかと思っていたら、普通のバスに乗車である。 愛宕念仏寺の近くで下車した。 これは、あたごではなく、おたぎねんぶつじと読むのだそうである。 道に面して山門がある。そこをくぐって歩いて行くと階段ではなくスロープでもなく石を疎らに敷き詰めたようなカーブを描いたような坂道を上って行った。 ここは、風葬された場所だったと言う。 その頃は淋しい所だったのだろうな。 周りは楓の樹があるらしい。 坂を上ると、ボランティアのOさんが、「石仏がいっぱいありますよ、触れてみますか」と私の手を石仏に触れさせて下さった。 ほとんど顔だけの物だった。 顔の表情が笑っているのだと教えてくれた。 テープで紹介して下さっていた「境内には、1200躰の石造の羅漢さんが、表情豊かに並び、訪れる人々の心を和ませてくれます。」の羅漢さんだわと思いながら触らせてもらった。 しばらくして、自由時間になった。 ここで是非触りたいと思って楽しみにしていたのがある。 それは、「ふれ愛 観音像」である。 Oさんが、ふれ愛 観音像まで連れて行ってくれた。 やはり皆も同じ思いのようで、触れさせてもらおうと並んでいた。 しっかり触らせてもらった。 色々な観音像はまだ視力のあった中学生の頃、美術の本で見た事がある。 見えていた頃、色々な観音像の実物を見てはいるのだけど、薄暗い部屋にあるし、少し離れているので、その実物像を、目でしっかりと捕らえた事は一度もないのである。 しっかりと触れながら、あの時見た美術の本の写真と同じような感じだわと、嬉しくなった。 入り口の所に「ふれ愛 観音像」の点字案内板があった。早速、触読した。
「この観音様は、手で触れられることを、喜んで下さる仏様です。 仏像は、約2000年前から造られてきましたが、それを造った人たちは、皆、目の見える人が造り、目で拝んできました。 この像は歴史的に、初めて目の不自由な人たちに、仏との縁を結んでもらうために、生まれた観音様です。 目の見える人も 目の不自由な人も 自由に触れて下さい。 心の目と手で触れることで、私達の心身の痛みを癒して下さいます。 」 ほぼこれと同じような事が書かれてあった。 「本堂へ行きますか?」とOさんが聞いてくださったけれど、「ふれ愛 観音像」を触れさせてもらった私は、もう、満足であった。 数人の人が楽しそうに話している所へ行って、「えみです」と仲間に入った。 黒部峡谷で同質だったKさんや、MLでお馴染みのS・Kさんもいた。 「お久しぶり」とか、「初めまして」とか、会話を楽しんでいたら、「トイレはあちらですとか言う声が聞こえてきた。 皆行ってしまった。 空いた席に、腰掛けてのんびりしていたら、ブー母さんが声をかけて下さった。 色々とおしゃべりも弾む。昨日の研修会も行かれたと言う。 そして今夜、帰るのだと話されていた。 11月頃は紅葉が綺麗だろうなと思いつつ爽やかな空気を味わっていたら、集合がかかった。 これからは班毎の散策となる。 昼食も、2班が最初で、終わったら、1班、そして最後に3班と同じ場所で、時間をずらして食べるのだと言う。 班毎に連絡を取り合って散策となり、嵯峨野小径を歩いて行った。 車はほとんど通らない。 たまに、車が来たから左に寄ってと号令がかかる。 Oさんの腕を持たせてもらって歩いていたが、オードリーも仕事をしたそうにしていたので、ハーネスを持って、Oさんには傍らに付いてもらうようにお願いした。 「待ってました、任してちょうだい」とばかり、オードリーはグイグイと歩いて誘導してくれる。 「オードリーの表情が、生き生きとして来ましたよ」とOさんが言った。 15分ぐらい歩いただろうか、祇王寺へ行くのかと思っていたら、2班がそこへ行くと言うので、1班は引き返して二尊院へ行く。 どれぐらい歩いただろうか、二尊院の総門に着いた。 総門をくぐり広い参道を歩きながら、ここは「紅葉がいっぱいです。まだ青いですけど」と教えてくれた。何となく落ち着いた感じの参道であった。 「紅葉の馬場」と呼ばれる広い参道で、紅葉の名所として有名で、秋ともなれば多くの人が訪れるそうである。 緩やかな石段を上って本堂に着いた。 本堂には、右に釈迦如来像、左に阿弥陀如来像の二本尊が安置されている。 二尊院の名も、ここから名付けられたとの事。 正しくは、小倉山二尊教院華台寺と言うそうである。 「上がって拝観される人は犬を預けて行って下さい」と班長さんが言われた。 オードリーを預けて、靴を脱いで、本堂へ上がる。 寝殿造りの本堂の廊下というか縁側というのかわからないけれど、ぐるりと回った。 茶室がありますよと教えてくれる。 さらに進んで行くと、二つの本尊が安置してある所に来た。 普通は本尊は一つなのに、そういうのもあるのだなあと、ちょっと変わってる感じもした。 本堂側面に坪庭があった。 縁側に座って、坪庭を眺める。と言っても全く見えないけれど・・・。 苔が太陽の光線で、光り輝いてとても綺麗だそうである。 秋風が、頬にとても心地良かった。 待ってるオードリーの所へ帰る。 リードを預けて見ていて下さった方にお礼を言って、「泣いていませんでしたか?」と聞いてみた。 小さな声でキューン・キューンと、泣いていたようである。 「泣いてたの?」とオードリーに聞くと「だってぇー ・・・」と言いたそうにしていた。 リードを持ってもらって待たせると、オードリーは泣くのである。 ダウンさせて、リードを持ってもらわずに待たせると泣かない。 何処かへ連れて行かれると思うのかもしれない。 それでも、「お留守番グーッド!」と、褒める事を忘れない。 次は何処へ行くのかなと、班長さんの指示を待つ。 もう1箇所見学してから食事に行く予定になってるようである。 「食事から先にしましょう。」の声に、「ウワァー!」パチパチパチ!!と、歓声が沸き起こった。 無理も無い、既に午後1時半近くになっていた。 朝食抜きだった私も、勿論歓声を上げた一人である。 3班の人はその後だからちょっと可愛そうかな。 食事を予約している店へ。 山菜料理がメインで、とても美味しかった。 高野豆腐はけっこう甘かった。 一緒のテーブルの下で、オードリーとブルーナちゃんは静かにしていた。 Oさんとは、クイールのロケ以来である。 久しぶりに会って話も弾む。 昨日の研修会から今夜までの参加だと話されていた。 ブルーナちゃんは、11才になったと言う。 オードリーは9才、11才で頑張っている盲導犬を見ると、何故か嬉しくなってしまう私である。 食後に味わう暖かい緑茶がとても美味しかった。 続く。 2005年10月4日
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