7。20年ぶりのクラス会。その2。



深江海岸は、海水浴や、底引き網や釣りを楽しむ人で賑わう所である。
広々とした感じで、空気も綺麗。
海の近くらしい肌の感触を楽しみながらホテルへ続く道を歩いて行く。
オードリーも歩きを楽しんでいるようである。

途中公園があって桜の花がとても綺麗だと教えてくれた。
ホテルへの道は乗用車がやっとすれ違えるぐらいの道巾のようである。
車はほとんど通っていなかった。

歩いて行く内に、「後ろからマイクロバスが来たから道の端によって」と妹のNさんが言った。
動かずに止まっている3人の横でマイクロバスは止まった。
やはり先発隊の人達が乗っていた。
「乗って行かない?」と誰かが言ったが、声を思いめぐらすが誰かわからなかった。
「歩いていくから先に行って」とSさん。
マイクロバスはホテルへと動き出した。

後から3台の乗用車が続いた。
クラス担当で今年の3月に定年退職されたT先生ご夫妻、熊本から来たT氏ご家族、鹿児島から来たS氏ご夫妻の車が、それぞれ3人の横で停まって一言二言話してホテルへと走って行った。

私は、担当だったT先生の声は直ぐにわかった。
後の二人の声は誰かわからなかった。
通り過ぎてから、Sさんに教えてもらったのである。

当時0,1あった視力。耳よりも目から入ってくる情報が大であった。
声も20年も経てば少し変わっている。
一言二言では誰かわからなかったのである。

ホテルに着いた。海の家みたいな感じのホテルであった。
2階へ続く階段を上る。かなり急な階段。
それぞれ割り当てられた部屋へ。
私はSさん姉妹と長崎から来たTさんと同じ部屋となった。

妹のNさんに部屋の様子を説明してもらい、窓際の片隅に敷物を敷いてオードリーを落ち着かせた。
トイレとバスルームは部屋を出て5メートルくらいの所にあった。

まずホテルに泊まる時調べるのはバスルームである。
その広さがオードリーのトイレに関係するからである。
そこは狭すぎてトイレには無理なスペース。これは外でさせなくちゃならない。

部屋の窓から、松林がすぐ前にあり、その横には海が広がっている。眺めはとても良いらしい。

オードリーに夕食を与える。
すっかりSさん姉妹にうち解けたオードリーは安心している様子でもある。
だが、ウキウキしているいつもの私とは違う様子がわかるらしく、ちょっぴり不安にも感じているようでもあった。

そして次から次へと懐かしい人との挨拶。
始めの一言ではわからないが二言三言話しているとジワジワとその当時の声が蘇って来る。
男性は少し声の音程が高くなっている。
女性は少し低温になっている。
ここに20年という歳月を知る。

いよいよ懇親会場へ。オードリーも敷物を持って一緒に行く。和室であった。
私の後ろに敷物を敷いてオードリーをダウンさせた。

幹事をされた福岡のS氏から、色々と話しがあり、研究発表をしたY氏の司会で懇親会が始まった。
定年退職されたばかりのT先生のお話の後、20年振りに出席した私に乾杯の音頭が回って来た。
何を言ったかはここで再現する事はできない。
再会の喜びと退職された先生へのお祝いを述べたのは覚えている。
乾杯をして、新鮮な魚料理がメインの料理をしばらく楽しむ。
鯛、鰤、細魚、甘エビ等の刺身や海の幸づくし、天ぷら、茶碗むしなど、やはり刺身が美味しい。
勿論ビールもけっこう行けた。

それぞれご夫婦やご家族で参加されている。
奥様方はとても優しい方ばかりである。
2年に一度ぐらいの割合でクラス会をしているようなので、奥様同士も親しくなっている。

周りの人と会話も弾む。
カラオケが始まった。

長崎から来たTさんや福岡のYさん、Sさんの妹さんが、並んでいる料理を教えてくれた。

カラオケの好きなT氏の奥さん、とても綺麗な声で歌っている。
この奥さんは、私の学校の後輩と言う。
どこで繋がりがあるかわからないものである。

500人の応募の中から選ばれた合唱団に所属しているK氏の歌はやはり素晴らしい。

長崎から来たU氏の歌もうまい。民謡だったか詩吟だったか、確かされてた方である。

鹿児島から来たS氏の奥さんもうまい。
S氏も歌われた。

担当されてたTご夫妻のデュエットが始まった。
大恋愛で結ばれたご夫婦である。
何か熱いなあと思っていたら、今日は結婚記念日だとおっしゃる。
道理で!場がグーンと盛り上がった。

この時、T先生はハゲのかつらを、奥様はウサギの耳のかつらを頭に乗せて歌われた。
このかつらは、Sさん姉妹のアイデアで、おてもやん、ハゲ、ウサギの耳、金髪のアフロヘヤー、メガネ、チョビ髭、等、何種類か持って来られた物である。

舞台で歌っている人はどれかを頭に乗せて、歌っているらしい。
次から次へと歌を楽しむ。
この時、Sさん姉妹はオードリーにかつらを乗せて、そっと手で支えながら、写真を写していたようである。
旅が終わってから添付ファイルにして送って下さった。

金髪のアフロヘヤーをつけたオードリーとチョビ髭とメガネをつけたT氏の子どもさん、そしてSちゃんの写真
もう一つの写真。

女性軍の歌になった。
みんなで歌えば怖くないと、それぞれにかつらを乗せて歌った。
私はなんと、ハゲのかつらである。
みんなでやればそんな事も、楽しい!

鹿児島から来たMさんは、「茶碗むしの歌」を歌われた。
鹿児島に住んだ事のある私には、その鹿児島弁の歌がとても懐かしい。

卒業依頼、音沙汰のなかった佐賀のTさん、これから佐賀へ帰ると言うので、途中で帰って行った。
二人の子どもさんを育てて、随分と落ち着いていられた。
再来年はこのTさんがクラス会の幹事をされる事になっている。

鹿児島のS氏が「良くいじめてくれたなあ」と私の肩に施術しながらニコニコして言う。
「そちらがでしょ」と私。
当時からとても研究熱心なS氏、流石に施術の技はすばらしかった。
患者さんも多いだろうなと想像しながら、幸せな気持ちになる私であった。

みんなで記念写真。舞台に並ぶ。
皆が前に出て行ったので、オードリーも後を付いて来たらしい。
オードリーも記念写真に一緒に写る事になった。

楽しい時の過ぎるのは早い。もう時間が来たのでと懇親会は終わった。
それぞれの部屋へと帰って行った。 つづく。

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