|
1。目的地へ。
2。ロケ。 3。ロケを終えて。
「目的地へ」
ロケの当日は、午前4時起床。 いつもは、食事をさせトイレをさせてから自分の準備をするのだが、オードリーはいない。 かなり楽というかなにかが足りないという感じである。 私たちの朝食はサンドイッチ、おにぎりと飲み物が用意されていた。 あまりにも早いので、食べれない人は、持って行けるように袋に入れてくれた。 映画のスタッフの方が、今日は宜しくと挨拶された。 午前5時過ぎにセンター出発。 ワゴン車で、移動して、待機していた貸し切りバスに乗り込む。 ここから何人かのクイールの会のメンバーの方も乗られて来た。 私の席の隣に座られたのは、キイールの会員のHさんという女性であった。 家を、4時に出て来られたという。 京都市内に入ると、昨夜は、離ればなれになったオードリー達が、訓練士さんに連れられてバスに乗って来た。 一人一人に昨夜と今朝の状態を話されて、それぞれのユーザーの元へ盲導犬が渡される。 どの犬も嬉しさを体いっぱいに表現していた。 オードリーもあの狭いバスの通路で、私に飛びついて喜んでいた。 「今朝の食事の後、トイレは順調でした」と訓練士さん。 時間がいつもより早いので、心配していたが、大丈夫だったようで安心する。 京都駅で、ロケに参加するユーザーと盲導犬、代替え待機中の人、それにクイールの会の方々が、どっと乗って来られ、盲導犬が、バスの中に12頭となった。
バスは高速に入る。 映画のスタッフの方の挨拶があり、クイールのパヒーウォーカーの仁井勇さんの挨拶があった。 目的地まで、約6時間弱の予定である。 マイクが回されてそれぞれ自己紹介。 初めての人、よく知っている人と半々ぐらいであった。 多和田さんも、同行され、後ろの席から、私たちや盲導犬をそれとなく見守っていてくださっていた。 高速を出て山に向かう。バスは坂道をくねくねと走る。座席の下にダウンしているオードリーは、斜めになるので、ずるずるとずれて、前の人の足下にはみ出してしまったり、通路の方にずれたりと、かなりバスは傾斜を走っているようである。 途中、何カ所かバスを降りて、犬も人もトイレタイム。 オードリーは、直ぐにしてくれる。 バスの中では、あちこちで話も弾んでいた。 11時頃に、東京方面から来た人、富山から来た人と合流。 これで、盲導犬が15頭、ユーザーが18人、クイールの会のメンバー12名、それにユーザーの家族、職員、合わせて約40名となった。 昨年のつつじの会の黒部峡谷宇奈月の交流会で、お世話になったFさんご夫婦と再会を喜ぶ。 ちょっと肌寒さも感じる気温、大分、高地に来ているようだ。 これから先には、犬のトイレをさせるような場所は無いというので、又オードリーにトイレをさせる。 しばらく登ってバスはここまでという所に着いた。 バスを降りると、寒い。持って来たウインドブレーカーを着る。 昼食は山のレストランみたいな所で、トンカツ定食であった。 トンカツはとても大きくて美味しかった。 私の前には、富山から来たFさんご夫婦。 「昨年頂いたあの茄の漬け物、とっても美味しかった」と言ったら、「今日も持って来てるよ」とお手製の漬け物をご飯に載せて下さった。 思いがけないご馳走に嬉しくなる。 お手製の煮物も持って来られたと言う。 あちこちのテーブルに回っているようである。 私も、いっぱい頂いた。 とても美味しかった。 「ロケ」 ここから、いよいよ撮影現場へ移動である。 現場へ着くと、隣だったHさんが「スタッフの人がいっぱいいて、皆真っ黒に日やけしている。」と、教えてくれた。 「こちらへ来て下さい」とスタッフの声。 「男性は前へ」。言われるままに移動する。 すると何やらスタッフの方が、こことここを入れ替えてとか、男性は後ろとか、色々と話されてる。 並ぶ順番が決められているようだ。 「では、スタートの合図で歩き出して下さい」とまずはテスト。 言われるままに歩く。 オードリーは早く歩きたくてうずうずしている様子。 又元の位置に戻って、「本番です。スタート」。 ちょっとドキドキもするが、歩き出したら、いつもの自分になる。 「カメラが何十メートルか先の方にあるよ」と一緒に歩いたHさんが教えてくれたが、見えない私は、カメラを全然意識せずに、全くの自然体であった。 意識するも、しないも、わからないから、自然体になれるのだろう。 後ろの方で、俳優の小林薫さんと、戸田恵子さんの台詞が聞こえていた。 3回ぐらいでOKであった。 次は昼食のシーンの撮影である。 スタッフの方々が、小道具をガチャガチャさせて、何やらセットしていた。 待っている間、「空気が美味しいと思いませんか」とHさんが言った。 新鮮でとっても美味しい。心ゆくまで味わう私。 透き通るような空気の感触。ああ、なんと幸せ。 そして、見える山の稜線を、Hさんの手を触らせてもらいながら、空に指で描いてもらった。 山には、万年雪が残っていると言う。 「監督さんが、来られ、握手している人いるよ」とHさんが教えてくれた。 「ありがとう」と監督さん。 「とても楽しいです。」と話しながら、私も握手してもらった。 とても優しい監督さんであった。 しばらくして、撮影のための準備が終った。 一人ずつ座る所へ案内してくれここで、Hさんと離ればなれになってしまった。 セットされたテーブルには、飲み物や食べ物、アウトドア用の皿や紙コップが置かれてある。 食べてもいいけど、そんなに多くはないから肝心の時に食べ物がないと困るから、撮影している時に食べて下さいと言われる。 あちこちで笑いがおこった。 お腹は先ほどトンカツ定食やお手製の煮物を食べたばかりなので、全然空いてはいない。 適当に話しながら食べて下さいと、言われて「スタート」。 皆で乾杯!から始まった。言われるままにする。 台詞を言う事になったユーザーも数人いた。 小林薫さんと、戸田恵子さんの台詞が聞こえてくる。 この時は静かにして聞いていた。 この後、ドッと笑うように指示された。 笑うのは笑うのだが、そんなに長くは笑えない。 あちらが笑ったらこちら、こちらが笑ったらあちらが笑い、又こちらが笑うというようにして長く笑って下さいと言われる。 なかなか笑えないものである。 面白い事に、あの人も無理に笑ってると思ったら、それが可笑しくて、本心から笑えて長く笑い続ける事ができた。 そうしたら、OKのサインが出た。 成る程、こうやって一こま、一こまずつ撮影して行くのかあ。 2時間とか3時間ものの映画も少しずつの積み重ねによってあんな大作ができるのだなあ。 私のテーブルには、ユーザーが4人と盲導犬が3頭、パヒーウォーカーのSさんと、代替え待機中のユーザーのボランティアさんの6人であった。 ここのテーブルは、声だけもらうねと、山とか盲導犬の事とか話を適当にしてと言われる。 夏の登山だからね、撮影の事とかは話しちゃいけないよと・・・ さて話すとなるとそう簡単には出て来ない。 そのうちに、パヒーウォーカーのSさんがひと言言われたら、次の言葉が出てきて、まあまあ適当におしゃべり出来た。 これで予定のロケは終わった。 最後に記念写真を写して、私たちの役目は終了した。 その後10頭前後の盲導犬達だけが、遠くの方へ訓練士さんに連れて行かれた。 撮影に必要らしく、オードリーも行ってしまった。 私たちは、先にロケ現場からバスのいる所へ戻って、犬達の帰りを待っていた。 お土産を買ったり、コーヒーを飲んだりとフリータイムである。 私もHさんが、色々と説明してくれたので、山の珍しいものをと探して、蕨の乾燥したものと、山で取れた山葡萄や、苺、リンゴの入ったチョコレートを買った。 皆は2階の方にいるようである。 買い物を済ませて、椅子の置いてある所に行こうとしたら、「戸田恵子さんが、椅子の所にいらっしゃるよ。駄目で元々、頼んでみましょうか。」とHさん。 一緒に写真をと、お願いしたら、快く承諾して下さった。 私は戸田さんとツーショットである。 戸田さんは、私に手を回して寄り添って下さったのである。 とってもラッキー!。 撮影に行った犬達が帰って来た。 「ロケを終えて」 17時頃だったろうか、ロケを無事に終えて、帰路をバスは京都へと走る。 途中降りて、犬達の食事とトイレタイム。 どの犬も食事をもらって美味しそうに食べている。 ホッとして、幸せなひと時であった。 バスは更に走って私たちは、ドライブインみたいな所で夕食。 新鮮な鮎の魚や、山菜料理、その上に暖かいラーメンまで付いてご馳走である。 山は寒かったので、ラーメンを食べたら、体が温まり、とても美味しかった。 京都には、23時か24時頃に着くだろうという。 帰りのバスの中は皆眠っているようで静かであった。 23時15分、バスは京都に着いた。 最終電車に間に合う人はそれぞれ家へと帰って行った。 私とNさんは、23時11分に間に合えば帰れたのだが、ちょっと遅かった。 間に合わない7人のユーザーはもう一晩、訓練センターに宿泊となった。 犬達の宿泊する所に着くと、訓練士さん方がそれぞれの盲導犬を連れてバスを降りて行く。 オードリーは、事務所のOさんが連れて行った。 Oさんとは、オードリーはそんなに接した事はないので、ひょっとしたら不安に思っているのではと思っていたら、案の定、私の席まで引き返して来た。 「えみは行かないの?」と言っているようである。 これは昨夜の事もあってオードリーはわかってしまったかなと、ドキリとしたが、何食わぬ顔をして、「オードリーも行っておいで」と言うと、今度は、バスを降りて行った。 その様子を見ていたHさんが、「可愛いね」と言った。 主人と離されて、又キュンキュン言ってる、犬もいる。 オードリーは大丈夫かなと気になるが、大好きな訓練士さん方と一緒だから、大丈夫だろう。 少し胸がキュンとなった。 訓練センターの近くまで来た所で、バスを降りて、ワゴン車に乗り換える。 お世話になったHさんと、ここでさよならである。 Hさんは、家まで車で1時間かかると話されていた。 夜中の0時頃に訓練センターに着き、それから、Nさんとおしゃべりして寝たのは夜中の2時であった。 つづく。 |
「クイール」フィルムパートナーズ、映画ロケの旅。翌日と後書きへ
トップへ