その3。出発の朝、4時、アラームの音に飛び起きて、いそいそと準備する私。 いつもより2時間も早く起こされたオードリーは、何かが始まるとそわそわしている。 関空に7時30分に集合である。 オードリーの朝食をどうするかを迷っていた。 いつもは6時45分に食べさせている。 とにかく排泄をさせてから決める事にした。 便の方をしてくれるかが、鍵なのである。 してくれれば、このまま朝食抜きで、出かけるつもりである。 してくれなければ、いつもの時間帯に、食べさせてから、排便をさせなくては旅の途中で失敗する可能性が高い。走っている車の中で食べさせて、空港で、適当な場所でさせなくてはならない。 さあ、どうなるか?多分しないだろうなと思いつつやらせてみた。 何かが違うと察しているオードリー、これは命令通りしなくては、自分を連れて行ってはくれないと思ったのだろうか、号令をかけると直ぐにしてくれた。 「グーッドグーッド! オードリーは偉い、良い子だねぇ。」 この子は、何と素晴らしい子なのだろう!! 少しだけ水を飲ませてから、おしっこもさせた。 これは直ぐしてくれる。 「オードリーの大好きな人に、会えるよ。さあ、韓国に、行こうね。」 ご飯、食べさせなくて、ごめんね。飛行機に酔って、吐いたら、その方が苦しいもんね。 トイレもさせられるかわからないから、我慢するのも大変だものね。ごめんねオードリー。 可愛そうだが、色々と考えて、ここは我慢してもらう事にした。 息子は、ちゃんと起きれるかなという心配もあったので、目覚ましをセットして、部屋に置く。 自分の目覚ましと、私の置いたのと二つもあれば大丈夫だろう。 5時15分、家を出た。 関空まで、主人に車で送ってもらう。 予定では7時20分頃に着く予定であったのだが、朝が早いのか、車はスイスイと走れて、予定よりも30分早く着いた。 適当な場所で、もう一度オードリーのおしっこをさせてから、集合場所である、旅客ターミナルビル4階集合中央団体受付カウンターへ行くと、まだ誰も来てはいなかった。 7時5分には着いてしまったからであるが、遅れるよりは、ずーっと良い。 しばらくして、「おはようございます。トラベルボランティアのKです」と、旅のしおりに書かれてあった名前を名のられながら、近づいて来られた。 この方が、「ジャパントラベルボランティアネットワーク」の方で、単独参加者をサポートして下さるボランティアさんなのだと、私も「おはようございます。えみです。どうぞ、宜しくお願い致します。」と挨拶した。 単独参加4名に対し、一人のボランティアさんが付く事になっているはずである。 そこへ、次々とおはようございますの声。 関空から出国する、全員が、揃ったところで、責任者のJTBのMさんが挨拶された。 荷物を一時預けて、検疫センターへ。 一人一人検疫官の検査を受ける。 待っている間に、話も弾む。 皆さん、昨夜は、関空の近くのホテルに泊まられていたようである。 ご夫婦とか、親子とか、お友達と一緒に参加されていた。 関空から単独参加したのは、私だけであった。 5頭の盲導犬とそのユーザー、4人の付き添い者、JTBの添乗員のMさん、トラベルボランティアのKさんの合計11人であった。 Kさんは、私一人のサポートという事になるのだろうか。 単独参加の予定の人が、何人か辞退してしまったのであろう。 私の名前が呼ばれて、検疫官の質問を受ける。 オードリーの生年月日、私の名前等を確かめられ、オードリーの様子も聞かれた。 以前に郵送しておいた、オードリーの「輸出検疫証明書」の確認であった。 質問を受けている間にもう一人の検疫官がオードリーのチェックをされたようである。 そして、「輸出検疫証明書」を2枚受け取った。 「韓国で入国する時に渡して下さい。 帰って来た時に、又これをこちらで渡して下さい」と、2枚下さった。 これがないと、オードリーの入国や出国ができないのである。 なくさないように、大切にバックにしまう。 これで、検疫は終わった。 全員終わって、いよいよ飛行機に搭乗の手続きである。 その前に、犬の排泄に適当な所へ連れて行ってくれた。 ちょっとした土や草のある所である。添乗員の方が、前もって調べていてくださったのであろう。 オードリーも又、おしっこをさせた。 直ぐにしてくれる。 これで、4時間後の、次のトイレ予定である所まで、確実に大丈夫である。 機内に持ち込まない荷物を預ける。 添乗員の方とボランティアさんが、キャスターに乗せて運んで下さったので、とても助かった。 登場手続きやチェックなどは、私は、指示されるまま、後からついていったので、何処で何をどうしたのか、さっぱりわからない。 「はいパスポートを用意して」 「はい、搭乗券とパスポートを用意して」 と言われる通りにただやっていれば良かったからである。 出国する人は、パスポートを見せると、それにチェックしてから、パスポートを返してくれる。 国内での移動の時は、荷物のチェックと体のチェックだけで良いけれど、出国する場合は、なかなか大変である。 関所を、何カ所か通過しなくてはならない。 こうして、私たち11人と盲導犬5頭は、無事に通過できて、10時00分出発予定の、大韓航空(KE)7 22便の飛行機中の人となったのである。 その4 機内に乗り込むと、ようこそと、スチュワーデスの方々が迎えてくれる。 席は窓側であった。 3人分の席に二人で使わせてもらえたので、盲導犬はゆったりとスペースを取る事が出来た。 私は、行きは、一人で3人分の席を使わせて頂く事になってしまった。 とってもゆったりである。 込んではいなかったのでとても助かった。 飛行機に乗るのは、オードリーは初めてなので、離陸の時の音に振るえないかと心配である。 10時00分に、動き出した。いよいよ韓国目指して飛行である。 夢が広がって行く。 機内アナウンスが流れた。 日本語で話された後、韓国語と英語で話される。 初めて韓国語のアナウンスを聞いた時、韓国へ行くんだあと、実感がわいてきた。 次のアナウンスからは、韓国語が先になった。 益々、韓国へ行くんだあと感じてしまう。 シートベルトをするようにアナウンスの声、いよいよ離陸である。 オードリーを注意して見ていなくてはと、オードリーに触れると、振るえてはいないが、やや緊張している様子。 「大丈夫だよ。」グウォーンと音が強くなって離陸した。 斜めになるので、オードリーは、体位を換えて、前の方に頭を持って行った。 一番安定するようにしている。これなら大丈夫である。 心配していた程ではなく、割と平気であった。 韓国のインチョン空港まで、1時間50分の飛行である。 シートベルトを外してもよくなった。 いよいよ楽しみの機内食。 テーブルをセットしようと手探りしていたのだが、どうすればいいのか手に触れない。 通路を隔てて座っていたJTBの添乗員のmさんが、手を伸ばしてセットして下さった。 弁当とミネラルウォーターと箸やスプーン、お手ふきが運ばれて来た。 飲み物はオレンジジュースを頼んだ。 テーブルいっぱいに乗せられているので、落とさないように気をつけながら、頂く。 朝食抜きだったので、冷たくなっていたが、美味しかった。 コーヒーも頂いた。 食べ始めて30分したら、もう高度を下げて行く。 もっと乗っていたいのに、と思ってしまった。 着陸態勢になる。 オードリーは?と触ると、今度は、私の方に頭を向けている。 それでいいよ。良くわかってるわねぇ。 無事に着陸しますように!と祈ってしまう私。 着陸した。ホッとすると同時に、ここは韓国なのだ〜〜!! 機内食で出た、カップ入りの、ミネラルウォーターを、オードリー用にと、ハンドバッグに入れる。 ミネラルウォーターは、海外ではとても貴重になってくる。 搭乗する時は、一番に乗せてもらったが、降りる時は、一番最後に降りる。 私の席の横の通路を次から次へと、人が降りて行く。 こんなにいっぱい乗っていたんだあ! 飛行機を降りて、入国の手続きである。 添乗員のMさんの指示に従ってついて行く。 「パスポートと犬の輸出検疫証明書を準備して」と指示。 輸出証明書をまとめて持って行かれた。 盲導犬の入国の検疫官での通過は、簡単であった。 書類の提出だけで通過したようである。 それに引き替え、人の入国審査は、出国審査よりも時間がかかる。 一人一人チェックされる。 待っている間は、別に悪い子とをしている訳ではないのに、やはり緊張してしまう。 変な人が、入国して来たら困るものね。 「2泊3日の予定ですね。26日までですね」と、確かめられた それで通過であった。 添乗員のMさんに、「もう、これで入国できたの? オードリーもいいの?」と思わず聞いてしまっていた。 「はい、これで終わりです。パスワードと照らし合わせて、本人かどうかを厳しくチェックされますからね。」と、時間のかかる理由を説明してくれた。 機内に持ち込まなかった荷物は、どこでどうしてどうなってたのか私にはわからない。 全て、トラベルボランティアのKさんにお願いしていたからである。 記憶が定かではなくなってしまったが、入国審査の前だったか、後だったか、サインするように言われた。 Kさんが代筆してくれた。 名前は英語で書くように言われたそうである。 韓国に、持ち込んで、この国において行く物があるかどうかとか、そういう事らしいが、私には良くわからない。 とにかく自分の荷物を背負って、オードリーと歩く。 韓国の関係の方々が、何人か、出迎えに来て下さって、「こんにちは」と日本語で挨拶され、私たちを誘導して下さった。 日本語の上手な方々であった。 その韓国の人同志の会話は、勿論韓国語である。 意味はさっぱりわからないが、私はそれを耳で、楽しんでいた。 その中には、日本語を学んでいるという、韓国の女子大生もいた。 インチョン空港は、とても大きく広い。 まだ出来て2年ぐらいである。 生まれて初めての外国。 韓国に、私もとうとう来たのだなあ!! その5 成田、名古屋、福岡空港から出国したグループと、ここで合流である。 同じ頃にインチョン空港に着く事になっていた。
北海道からの人は、私たちよりも、1日早く来ている事になっている。 肌に触れる空気がどことなく違う。 カラッとして、心持ちひんやりして気持ちが良い。 関空からと、名古屋からと、福岡からの人は、2号車であった。 バス2台に別れて、マッカーサー将軍が、上陸したという、インチョンの浜に向かう。 大きな荷物は、バスのトランクに入れる。 こんなにいっぱいの荷物を入れる所があるのかあと、初めて知った。 これも、ボランティアのKさんに教えてもらった。 バスが動き始めた。 日本語の上手なガイドのキムさんである。 次に、この旅行の、全体コーディネートである、トラベルデザイナーのおそどまさこさんの、挨拶。 「地球は狭いわよ」で有名な、障害者や高齢者の世界ツアーを何十回となく、実行されてる方で、本も何冊か出版されている。 とにかく、マナーを守り、、思いっきり楽しみましょうと最後にくくられた。 インチョンの浜へ着いた。 とても広い砂浜が続いていた。 若者が、腰まで浸かってワイワイと戯れていた。 向かいは中国、斜め右前は、北朝鮮、斜め左後ろは日本であると、ガイドさんが教えてくれた。 黄海の海水に手を浸けて来た。 オードリーに、適当な所で指示してさせる。直ぐにしてくれる。 喉が渇いてるはず、ハンドバッグに入れておいたミネラルウォーターを飲ませようとしたら、近づいて来たワンちゃんと挨拶をしようとして、グルリと回ってしまったので、左手の水の入れ物が揺れて、半分以上こぼれてしまった。 ああ!もったいない。 近くにいたユーザーさんから、カップ入りの水を分けてもらった。 皆さん、する事は、一緒である。 機内食で出た、カップ入りのミネラルウォーターを、ちゃんと持って来てる。 バスの中にペットボトルを置いてきたので、ここは、甘える事にした。 それから、飛行機の後、バスと乗り物に乗っていたので、乗り物酔いしている、ワンちゃんもいた。 なんだか可愛そうにもなる。 オードリーは、車酔いしないから、とても助かる。 午後2時頃、インチョンの浜を後にして、宿泊先の三星(SAMSUNG)海上火災研修センターへと、バスは向かう。 バスの中で、JTBの添乗員の方が、5千円単位で、韓国の通貨ウォンと、両替してくれた。 5千円は、5万ウォンよりは少し少ない程度である。 どれだけ使うか、わからないので、取りあえず5千円両替した。 高速道路を走る。 かなりスピードを出している。 韓国の車の運転は、とても荒っぽいのが、常識らしい。 ガイドさんが、説明しながら、シートベルトをするように、何回となく、促していた。 初めは、車の揺れの状態で、かなり早いのがわかる。 自然にベルトをしてしまう私である。 100キロは飛ばしている。 120キロ飛ばす時もあると言う。 バスは、他の車を、グイグイ抜いて走っている。 途中サービスエリアなのか、料理店なのか忘れてしまったが、ここで、昼食である。 既に時刻は午後3時を過ぎていただろうか。 ここで、韓国の料理、石焼きビビンバと、プルコギ、サラダ、冷たく冷やしてあるスープを食べる。 飲み物だけは、実費で、勿論ビールを頼んだ。 サラダは、サニーレタスに包んで食べる。 もやしやニンジンやレタスや色々な種類の野菜がある。 キムチも勿論出ている。 キムチの好きな私は、いっぱい食べてしまう。 おかげでビールがとても美味しい。 プルコギというのは、焼き肉である。 この焼き肉の美味しい事。 柔らかくてとても美味しい。 韓国に行ったら、焼き肉を食べなきゃと言われるのも無理はない。 ビビンバは、卵がかけてあり、グチャグチャにかき混ぜて食べるもの。 餅米が主で、ごま油が入っている。混ぜご飯みたいなもので、中には色々なものが入っている。 唐辛子味噌を好きなだけ入れて、混ぜて食べる。 ボランティアのKさんが、サラダを、サニーレタスに包んでくれた。 プルコギとサラダは、向かい合わせの人と、二人で食べるのである。 初めて食べた韓国料理。 こんなにも美味しいものだったとは!! ビール代は、1本5000ウォンである。 一瞬、高いなあ! 5000円と言われたように錯覚してしまう。 考えてみると、日本円では、500円ぐらいである。 ジュースは3000ウォンであった。 宿泊先へ向かうバスの中で、オードリーの夕食。 朝食抜きのオードリーは、とてもお腹が空いている事だろう。 いつもは5時半に食べさせているので、宿に着くまで、とても待てなかった。 既に6時であった。 予定より遅れて、午後8時頃、到着した。 韓国のユーザーさん方は、待ちくたびれている事だろう。 いつの間にか、雨が降り出していた。 続く。 2003年6月12日 |
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