39。突然の雷雨、そしてスリッカブラシ。



ブラッシングの道具を取り出すと、何も言わなくても、オードリーがやって来てゴロンと横になる。
ブラッシングは気持ち良いのだろうな。
4種類のブラシの中で、オードリーは、ケッシブラシが一番のお気に入り。
とても気持ち良さそうである。

小さな毛が良く取れるスリッカブラシはオードリーは嫌いの様子。
尻尾に取りかかるとオードリーが動き出した。
「オードリー、もう少しだからね。」と一番敏感な尻尾をする。
普段はジッとしているのだが、その日はさせまいと尻尾が動く。
可笑しいなと思い触れてみると、アララ、これは大変!
皮膚に瘡蓋が縦に4センチメートルぐらいあって出欠しているみたい。
これは数日前に傷つけてしまってそれに細菌が感染したのだろうな。ちょっとブラシをかける時の力が強すぎたのだろう。
動物病院へ行かなくてはと、時計を見ると、もう午前中の診察時間には間に合わない。

その日は、7回目のピアノのレッスンに出かける予定である。
そこの部分を消毒だけして、帰りに動物病院へ寄って帰る事にした。

とても良い天気。陽射しはまだ強い。
いつものように、電車に乗って行った。

電車の窓からは、さし込む太陽が皮膚を暑く感じさせている。地下にもぐったのだろう、熱の感じがなくなった。

地下を走って三宮辺りで地上に出た。
アレレ、あんなに陽射しが強かったのに、何だかどんよりとして来ているみたい。

目的の駅に降りると、ものすごい雨。
ゴロゴロと雷も鳴っていた。
これはいったいどうなってるのだろう?
とにかく改札口を出て要すを見る事にした。

突然の豪雨と雷に出会ってしまった人々が、改札口を出た所にいっぱい待機していた。
オードリーと私もその一員。

その内に止むだろうと待っていると、ズダダダダダーンと、建物が引き裂かれるような聞いた事もないすさまじい雷の音。
これは落ちたか、ここの駅に落ちたらどうなるだろう?背筋がゾクッとして来る。
オードリーはもうブルブルブルブル、ハッハッ、ハアハアと息づかいも荒くなっている。
大丈夫とオードリーを宥めてはいるが、私自身も怖い。

「怖いですね」と近くの人と言い合いながら、気持ちを静めている私。

後で知った事であるが、阪急の駅ではなくJRの近くの駅辺りに落ちたようである。
停電になって電車が止まったようである。

とにかく先生の所へ電話をしなくては。
期限切れになって使えなくなった携帯は家に置いて来ている。
こういう時に限ってこんな事になるのだから、不思議なものである。

近くの人に公衆電話を探してもらった。
「1時間ぐらいして止むようでしたら参ります」と連絡してホッとする。

停電になって帰れなくなったらどうしよう・・・、不安もよぎる。
いや、確か天気予報では明石は30パーセントと言っていたから、ここだけに集中しているののだろう。とにかく1時間は待つ事にした。

30分ぐらいで、大分雷の音も弱くなってきている。まだ雨はすごいけれど、ここで立って待つよりは、喫茶店に行けたらいいのだがと先生の所までの行き帰りしかやっていない私は何処に何があるのかさっぱりわからない。

以前オードリーがエスカレーターを探せずにウロウロしていた時、確か喫茶店かレストランみたいな所へ紛れ込んだ事があった。
エスカレーターを降りて左へ指示してドアと指示したら、喫茶店らしき所のドアへ導いてくれるかもしれないと、移動し始めた。


オードリーは怖がりながらも歩いてくれた。
そしてエスカレーターを降りて指示したら、美味しそうな臭いのしている、ドアへ連れて行った。

「ここは喫茶店ですか?」
「カレー屋ですよ。」と返事が返って来た。

2・3歩進んで、そっと右手を広げると、カウンターの椅子らしきものに触れた。
「ここ宜しいですか?」
「どうぞ!。」
やれやれ、うまくたどり着いた。

ロールパンを二つだけ食べて来ていた私はそこでハヤシライスを食べたのである。
「らっきょう、福神づけがあります。おとり致しましょうか」と、お店の方も、とても親切にして下さった。


コーヒーにありつけたら最高だったのだが・・・。
雨が止むまでの逃げ場、オードリーの為に雷の音が少しでも聞こえない所への移動が目的。
と言う事で、めでたし、めでたし!!。

以前失敗した事が、ここで役だった。
やはり失敗は何時か役に立つものである。

20分ぐらい雨宿りして店を出ると、雨は大分小降りになっていた。
傘はないし、もう少し待つ。10分ぐらいしたら雨が止みかけて来た。もうかれこれ1時間は過ぎている。
先生をあまり待たせてもいけないしと、歩き出した。
すると、30メートルも行かない内に、背中が暑い。太陽の陽射しであった。
こうして、目的のレッスンを受ける事が出来たのである。

さあこれから明石まで帰って動物病院へ。
西明石駅で降りて病院へ。
いつものパチンコ店の音が聞こえて来ない。
アレ、今日はお休みかなあと思いつつ歩いて行ったがなかなか目的の所へたどり着かない。
これは道を間違えているようである。
もうこうなったら、オードリーと私では目的地は行けない。

とにかく「獣医さん、獣医さん」とオードリーに指示しながら歩いた。
と、オードリーは、あるドアへ入り込んだ。
「あの、動物病院はどちらでしょうか?」

「こちらだけど、ここからは、説明が難しい。」と、その女性は、わざわざ病院まで連れて行って下さった。

以前、間違えて入った事のあるクリーニング屋さんの声に似ている。
多分今度も同じ方だったようである。
この女性には、これで2度もお世話になってしまった。
ありがとうございました。

獣医さんに診てもらうと、やはりスリッカブラシで傷つけたような傷だと言われた。
スリッカブラシは、皮膚を傷つけるので、表面だけをそっと撫でるように使うと良いと教えて下さった。耳も診てもらった。左の耳がすこし炎症があるからお薬入れ説きましょうと治療して下さった。

西宮はすごかった事を話すと、「あちらの様子がテレビで映し出されていたけど、洪水みたいでしたね。雷の被害もあったようですよ。」と獣医さん。

「明石もすごかったでしょう」と私。
「いや、こちらは雨も降らなかったですよ。」と獣医さん。

ほんの少し離れているだけでこんなにも違うものなのだなあ。
薬をもらって帰る。

オードリーごめんね。スリッカブラシで傷つけてしまって・・・。気をつけなくては・・・。

薬を飲ませる。
以前は、あんなにはき出していた薬も、大分上手に飲めるようになって私は助かる。
安心して飲ませていた。
ところが3日目の朝、オードリーは薬を吐き出してしまった。
ちょっと奥より手前に薬を入れてしまったので、苦いのがいやなのだろう。
喉の奥へ入れると上手に飲んでくれる。
偉い偉い!褒めるのを決して忘れない。

スリッカブラシでやる時は、軽くしていたのだが・・・。
もっと撫でるような感じで使わなくては・・・。もう尻尾には使うまい。背中だけにしよう。

早く良くなりますように!!
2004年9月18日

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