38。ささやかな夢。



ささやかな私の夢だった、ピアノを習い始めた。

先生は、ある会で知り合った女性の方である。
初めての日は、駅まで迎えに来て頂いた。
歩きながら、行き方を覚えて、周りの状況も説明してもらいながら、レッスン会場へ。

レッスンが終わってから、帰りも先生に駅まで送ってもらった。

駅で乗車券を券売機で買うやり方も教えてもらっている所へ、駅員さんが来て、押して下さった。
「次からは、多分一人でオードリーと行けると思います。」とお礼を言って、電車で帰って来た。

しかし、不安もあるが、いざとなったら、携帯電話がある。
とにかくやってみるしかない。


そして2週間後の7月5日が来た。
うまくいけるかな?

家の近くの駅での乗車券の買い方をちょっと教えてもらった。
左から2番目のボタンを押して、360円と点字で記されたボタンを押せば良い事がわかった。
阪急線に乗り換えなので、実際は9百円代なのだが、乗り換えない時の表示の運賃が点字に記されているので、実際の運賃とは違うボタンになるのである。

途中乗り換えて、目的の駅に着いた。
とにかく行く方向と曲がる所と、横断歩道の数だけはしっかりと覚えている。
電車を降りて、とにかく上り階段をオードリーに探してもらう。
上って、右へと指示して、改札口を探しなさいと指示したら、下り階段の所に連れて行った。
ここじゃないなと思いつつ、「オードリー、ここと違うよ。おかしいなあ?」とオードリーに話していたら、「大丈夫ですか?」と声をかけて下さった。

「改札口へ行きたいのですけれど」と言うと、その女性、連れて行って下さった。
左へ15メートルぐらい行けば、そこが改札口だった。ああ助かった。どうもありがとうございました。

改札口を出て右へとしじする。そこからオードリーはグングンと引っ張って行った。
あれれ、良く覚えているなあ!

左へと指示してドアの中へ、確かここら辺りにエスカレーターがあるはずなのだが・・・。
そう思っていると、オードリーはグイグイとエスカレーターの所へ連れて行ってくれた。
良く覚えているなあ!
そこから右へ、そしてドアへと指示すると上手に誘導してくれた。

ここまでくれば、難関は突破である。
これからは、真っ直ぐに横断歩道を覚えている数だけ渡れば良い。

数を数えながら目的の横断歩道を渡った所で、今度は右へと指示。
それからいくつかの指示通りにオードリーはうまく誘導してくれる。
しばらく行って、指示しようとしたら、オードリーはグイグイと引っ張っていった。
あれれ、一度しか来た事ないのにオードリーは良く覚えているなあ!

しばらく行くと、今度は、かなりの強さでグイグイ、そして尻尾がビュンビュン。
ハハーン、心配されて外に出て待っていらっしゃるんだわ・・・。

案の定、「大丈夫だった?」と、先生の声。

おお!無事に到着!

本当に良く覚えていてくれたオードリー、感心してしまった。
私は助かるなあ。
先生も感心されていた。

そして、2回目のレッスンが始まったのである。
2回目は「禁じられた遊び」の半分までを教えてもらった。
カセットテープに先生の指導を録音して来た。
さあ2週間後の3回目のレッスンまでに弾けるように頑張ろう。

レッスン中はオードリーは玄関の所で静かに待っていてくれる。
ピアノの音の大好きなオードリーには苦にはならないらしい。


初めて教えてもらった曲は、「聖者の行進」。
電子ピアノで練習してやっと指が動くようになったので、録音してホームページにUPしてみた。
まだ、左手の和音が、平等に弾けないけれど・・・。

ささやかなこれからの私の楽しみが出来てとても嬉しい。

オードリーがいてくれるから、勇気が出るんだね。
中途失明の私にとって、白杖だけでは、かなりの勇気が要る。
それと、神経をすり減らして行かなくてはならない。
オードリーと出会っていなければ、ピアノを習いに行く決断をしたかどうか、はなはだ疑問である。

心強い大きな見方がオードリーなのである。
オードリーのお陰で、いっぱい夢を叶えてもらえてとても幸せ!!
2004年7月6日

37。「クイール」副音声・字幕付きの試写会。へ

「生活あれこれ」目次へ

トップへ