35。散髪と散歩。



ある日曜日の昼下がりの午後、リビングの窓際で日向ぼっこをしながらオードリーは気持ち良さそうに寝ている。
そこへ主人が外出から帰って来た。
オードリーは、いつものように、喜んで玄関まで飛んで行った。

しばらくして、主人が言った。
「散髪に行って来た」と。
静かになっていたオードリーは、いきなりバタバタバタバタと尻尾を振って興奮し始めた。
「これこれ静かに、しなさ〜い。 周りに迷惑でしょ。」
何に興奮しているのだろう。
「お父さん、ちょっと何かしたの?」
「何もしていないよ。」

可笑しいなあと思っている私に、息子が言う。「オードリーは勘違いしているんじゃない。」
「何を勘違いしているの?」
「それを言ったら、尚更興奮するんじゃないかなあ」と息子。
主人と息子は二人でニコニコしている。

2ヶ月に1度ぐらいの割合で、たまに家にいる時、主人は、オードリーと海辺へ散歩する。
リードだけで、1時間ぐらい楽しんで来る。
海辺の道をそれはそれは喜んで、ドンドン歩いて行くと言う。

松林の所まで行くと、そこから引き返して来るらしいのだが、そこでしばらく海を眺めていると、オードリーはキュンキュンとなくと言う。

何故キュンキュン言うのか、その理由はわからない。
止まると、そうなるらしいのだが、こればかりはオードリーに聞いてみないとわからない。

帰りの歩く速度はグーンと落ちるらしいのだが、オードリーにしてみれば、もう帰るのかぁと、思っているのかもしれない。

家に帰って来たオードリーは、「えみ〜!、行って来たよ〜!と、それはそれは尻尾ビュンビュンして、私の所へやって来て飛びついて来る。

「散歩に連れて行ってもらえて良かったねぇ。」
やっといつもの所にダウンして、落ち着くオードリーの様子に、こちらも幸せを感じるひと時なのである。

先ほど、何を勘違いしているのかを逆さまに言ってみてと息子に聞くと、
「(ぽんさ)と間違ってるんじゃないかな。」
えーと、散歩。はは〜ん。と言う事は?
{散髪に行った。}と、{散歩に行こうか。}
ウーム。成る程ねぇ。オードリーには同じように聞こえるのだろうか?

元々、散髪なんて言葉はオードリーには無関係だものね。
美容院なら、私と行ってるから知ってるけれど・・・。
これは、興奮して喜ぶのも無理はないなあ。

「オードリー、違うんだってばぁ。何処にも行かないよ」と言って聞かせるのだが、尻尾をバタバタさせて興奮はおさまりそうにない。
結局、私と一緒に早めの買い物へ行く事になってしまった。

そして数日後、2004年の元旦の日、オードリーは、めでたく散歩に連れて行ってもらえたのであった。
勘違いして良かったねぇ、オードリー!。
2004年1月8日


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