初めて、オードリーにレインコートを着せたのは、共同訓練の出発式の前日であった。どこがどうなっているのか、さっぱりわからなかった。 訓練士さんに教えてもらいながら、あちこち触って、やっと納得する。 まず、頭からかぶるように着せ、前足をはかせてから、後ろ足をはかせて最後に背中のファスナーを止める。 私は、レインコートばかり気にしていたので、その時のオードリーの状態を観察する余裕は全くなかった。 共同訓練中、雨だったのは、たったの1日だけであった。 その日は、室内での訓練だったので、レインコートを着せての歩行訓練をするチャンスは1度もなかったのである。 家に帰ってから、雨の日がやって来た。 レインコートを取り出して、成れない手つきで着せたら、オードリーも不安なのか、ブルブル震えて動かなかった。 全体を触って、「フーン、こうなってるのか、うまくできてるなあ」と感心しながら、はて、ダウンできるかな?とダウンさせてみた。 ところが、オードリーは震え続けていて、なかなかダウンしないのである。 私 「大丈夫、大丈夫。オードリーは可愛いねぇ」 オードリー 「こわいよ〜!頭と尻尾がないんだもの。」 私 「しかし、良くできてるねぇ」 オードリー 「えみは変な人だなあ。私を怖がらせて感心してるなんて」 私 「ダウンしなさい」 オードリー 「そんな、怖くてできないよ〜、ブルブルブル」 私 「オードリーったら、ちゃんとダウンしなさ〜い」 オードリー 「はい、わかってます、ブルブルブル、そろり、そろり」 私 「おお!!グッドグッド」 オードリー 「早く、この変な物、脱がせてよ〜、怖いよ〜。ブルブルブル」 私 「良い子だね。大丈夫、レインコートなんだから。さあ、歩いてみよう」 オードリー 「とんでもない。歩くなんて、出来ないよ〜。ブルブルブル」 もう、怖がって振るえていたので、可哀想になり、脱がしてしまった。 オードリーは、やれやれと言った様子でホッとしていた。 これじゃ、雨の日は、外出できないなあ。 そこで、ボール遊びをして、気分転換し、1時間経ってから再度挑戦してみた。 やはり、同じく怖がってブルブル振るえて、一歩も歩こうとしない。 そこで、レインコートをポケットに入れて、出かける事にした。 オードリーは尻尾ビュンビュンして、ハーネスに飛び込んで来た。 外に出て、階段を降りて、いよいよ雨の中に出る時に、着せた。 オードリーは、振るえている。 大丈夫と、宥めながら、ハーネスを付けたら、震えが小さくなった。 これは、行けるかな。さあ、行こう。 恐る恐る歩き出した。 「おお!!すご〜い!!と、思いっきり誉める。 歩きが早くなった。又、誉める。 オードリーは、いつもの調子で歩き出した。 「グッド、グッド!!良い子だねぇ」 やれやれ、これで、大丈夫だろう。 オードリーは、歩くのが嬉しくて、レインコートを付けている事なんて、すっかり忘れているようである。 こうして、次からは、着せても怖がらなくなった。 オードリーは、自由にさせている家の中と、ハーネスを付けた時とでは、こんなにも違うのである。 オードリーも、レインコートは、赤色と黄色の2枚、ダスターコートは、3枚持っている。 盲導犬のレインコートや、ダスターコートを、材料費だけで、作ってくださるボランティアさん方がいらっしゃるのである。 全てオーダーメイドで、作っていただいた。 オードリーはおしゃれ?それとも・・・ 本当は、自然体が一番なのだがそうは行かない場合もあるので、時と場合によって、コートを着せているのである。 2002年6月27日
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14。サラちゃんとYさんへ
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