10。動物病院は、イヤだよ〜!



オードリーが、ソワソワして落ち着かなくなってきた。
いつも、私が出かける準備をすると、「はは〜ん、えみは、何処かへ行くのだな」と、私から目を離さない。
口紅をつけると、もう完全に出かけると分かるようで、その頃になると「早く早く」と言わんばかりに、尻尾が揺れてくる。
トイレをすませて、「さあ行こう」
又、嫌がるだろうな、病院まで、狂犬病の予防接種を受けにいくのである。
歩いて35分、オードリーとスイスイ歩いて行く。
歩くのは、とても気持ちが良い。
後5分もすれば、病院に着く。
と、オードリーは病院とは反対側に曲がろうとするので、「違う左だよ」と言うと、左に曲がってくれるのだが、それからの歩きがゆるやかになって来る。
「はは〜ん、これは、病院に行くのだな。違って欲しいな」とでも思っているのだろうか。
信号を渡って、右に30メートル行けば病院である所まで来た。
もう、完全に分かってきたらしい。
歩きが時々止まろうとする。
「オードリー、行くんだよ、大丈夫だから」と宥めながら、どうにか病院の前に来た。
するとオードリーは、そのまま真っ直ぐ行って歩きも早くなる。
はやくここから遠ざかりたいようである。
それで、病院を通り過ぎた事が分かる。
またバックさせて、階段を探しなさいと指示すると、やっと階段に足をかけて止まってくれた。
次はドアを探しなさいと指示する。
ところが、全然動こうとしない。
大丈夫と言っても動かない、もうこうなったらリードでドアまで私が先に行くしかないのである。
いつもは、私の指示に忠実なのだが、指示に従わないのは、この時だけである。
注意して、又指示を出せば、従うのだが、これからオードリーの嫌がる事をさせなくてはならないので、私は、そこまでして、させたくはない。
病院に行く時は、前もって連絡しているので、中から、病院の方が、出てきて下さる。
中に入ると、猫や犬がいて、オードリーは待合室でダウンさせているのだが、ドアの方を向いて、早くここから去りたい様子である。
いよいよ番が回って診察室へ、これまた、いやいやをしてしまう。
私が先に入って、診察台の上に看護婦さんと一緒に乗せる。
オードリーは、もうブルブル振るえている。
私は、「大丈夫、大丈夫」の連発なのである。
ついでに、体温や、体重、耳の状態を調べてもらう。
注射が終わって、帰る事が分かると、もう尻尾ビュンビュン。
ドアを出ると、スイスイと元来た道を歩いて行くのである。
私も、やれやれとホッとしてしまう。
病院を嫌がらない盲導犬もいっぱいいるのだけれども・・・
オードリーは、行きたくはないらしい。
2002年5月19日

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