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オードリーが、ソワソワして落ち着かなくなってきた。
いつも、私が出かける準備をすると、「はは〜ん、えみは、何処かへ行くのだな」と、私から目を離さない。 口紅をつけると、もう完全に出かけると分かるようで、その頃になると「早く早く」と言わんばかりに、尻尾が揺れてくる。 トイレをすませて、「さあ行こう」 又、嫌がるだろうな、病院まで、狂犬病の予防接種を受けにいくのである。 歩いて35分、オードリーとスイスイ歩いて行く。 歩くのは、とても気持ちが良い。 後5分もすれば、病院に着く。 と、オードリーは病院とは反対側に曲がろうとするので、「違う左だよ」と言うと、左に曲がってくれるのだが、それからの歩きがゆるやかになって来る。 「はは〜ん、これは、病院に行くのだな。違って欲しいな」とでも思っているのだろうか。 信号を渡って、右に30メートル行けば病院である所まで来た。 もう、完全に分かってきたらしい。 歩きが時々止まろうとする。 「オードリー、行くんだよ、大丈夫だから」と宥めながら、どうにか病院の前に来た。 するとオードリーは、そのまま真っ直ぐ行って歩きも早くなる。 はやくここから遠ざかりたいようである。 それで、病院を通り過ぎた事が分かる。 またバックさせて、階段を探しなさいと指示すると、やっと階段に足をかけて止まってくれた。 次はドアを探しなさいと指示する。 ところが、全然動こうとしない。 大丈夫と言っても動かない、もうこうなったらリードでドアまで私が先に行くしかないのである。 いつもは、私の指示に忠実なのだが、指示に従わないのは、この時だけである。 注意して、又指示を出せば、従うのだが、これからオードリーの嫌がる事をさせなくてはならないので、私は、そこまでして、させたくはない。 病院に行く時は、前もって連絡しているので、中から、病院の方が、出てきて下さる。 中に入ると、猫や犬がいて、オードリーは待合室でダウンさせているのだが、ドアの方を向いて、早くここから去りたい様子である。 いよいよ番が回って診察室へ、これまた、いやいやをしてしまう。 私が先に入って、診察台の上に看護婦さんと一緒に乗せる。 オードリーは、もうブルブル振るえている。 私は、「大丈夫、大丈夫」の連発なのである。 ついでに、体温や、体重、耳の状態を調べてもらう。 注射が終わって、帰る事が分かると、もう尻尾ビュンビュン。 ドアを出ると、スイスイと元来た道を歩いて行くのである。 私も、やれやれとホッとしてしまう。 病院を嫌がらない盲導犬もいっぱいいるのだけれども・・・ オードリーは、行きたくはないらしい。 2002年5月19日
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