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いつもの道を歩いて、T字路を右に曲がろうとしたら、急に、散歩中の中型犬が、オードリー目掛けて、吼えて飛びかかろうとして来た。
連れている人の声は全然聞こえない。 どうやら、急に飛びかかったので、その人はリードを話してしまったらしい。 オードリーは絶対に吼えない。 相手の犬だけが吼えていまにも噛み付きそうな勢いである。 私は、その犬からオードリーを守ろうと、右手に持っていた荷物を、その犬とオードリーの間に置いて噛まれないようにしたのだが、飛びかかってくる、犬を避けようと、オードリーが、後ろへ飛び退いた瞬間、ハーネスが、手から離れ、しかも首輪まで抜けてしまった。 オードリーは、ただ黙って、飛びかかってくる犬を避けるばかりである。 私はぬけがらになったリードを手に、オードリーが何処にいるのかがわからなくなってしまった。 早く、その飼い主さんが、犬のリードを持ってくれないかなと思いつつ、ハラハラしながら、ただオードリーの名を呼ぶだけしかできない。 そのけたたましく吼えてる犬がオードリーに噛み付かないように祈るだけであった。 この騒ぎを聞きつけた周辺の家から人が数人出て来て、中型犬のリードを持って、もう一人の人がオードリーのハーネスを持って下さった。 「オードリー、何処にいるの?」とオードリーの名を呼ぶけれど私の所へ来ない。 ハーネスを持ってくれてた人が、「ここにいるよ」 声のする方に行くと、オードリーはもうブルブル振るえていたのである。 あちこち触って、噛まれていないか確かめた。 どうやら大丈夫のようである。 ハーネスを見ると、付けていたバッグはなくなっていた。 私は、「バッグが外れてるみたい。何処にあるのでしょうか」と泣きそうな声でやっと言った。 あちこち避けて、逃げている内に、外れてしまったらしい。 元通りにして、声の全然聞こえないその飼い主さんに、「お願いですから、リードを離さないで下さい。今度又、こんな事があって、オードリーが噛まれた時は、治療費を頂きます」と言った。 「もうあっちに行ってしまってここにはいないよ」 と助けて下さった方が言われた。 何という人だろう、私は、周囲の人に、お礼を言ってその場を去った。 くやしさがこみあげて来た。 何処に住んでいるのか、名前は何という人だったのか、さっぱりわからない。 もうこれで3度目である。 訓練士さんに連絡した。 その人が誰だかわかると、話に行ってもいいけれどと言われたが、肝心の事がわからない。 それから1週間が過ぎた。 買い物の帰りに、知らない人から声をかけられた。 「この間は、大変でしたね。あの方は、おばあちゃんで、少しボケもあるみたいです。あれから、盲導犬の事を話して、リードを離さないように言っておきましたから。」と・・・ そういう事だったのか・・・急だったので、リードを離されてしまったのであろう。 それから、どうやらその飼い主さんは、オードリーを見かけたら、違う道に、入って下さる様である。 散歩も、その方にとっては、楽しみの一つなのだろう。 又、ご家族の方が散歩させてもいらっしゃるようである。 理解して頂けて良かった。感謝である。 それ以来、オードリーに飛びかかってくる犬はいなくなった。 ありがたい事である。 しかし、オードリーは、その事があって以来犬を怖がるようになった。 前から犬が来ると、歩くのを止めて、引き返そうとしてしまうのである。 犬には無関心で、スイスイと歩いていたのだけれども・・・ オードリーの怖い物が、又、一つ増えてしまった。 仕方ないよね。とても、怖かったものね、オードリー! 怖さが、少しずつ、なくなっていくといいね。 |
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