6。素晴らしい小学校の子供達



主婦として、ほとんど毎日やらなくてはならないのに、買い物がある。
近くのスーパーを諦めて、歩いて15分かかる銀ビルに、買い物に行くようになった。
午後2時半頃、家を出て行く。
この銀ビルは、小学校のすぐ近くにあるので、小学校を通って行かなくてはならない。
学校帰りの子供たちが、盲導犬が珍しいのか、可愛いと言ってオードリーを触りにくる。
その度に、「今、お仕事中だから、触らないでね」と言わなくてはならない。
オードリーも、急に触られるので落ち着いて仕事が出来ない。
それで、私もはらはらして歩く。
ああ、これ何とかならないものかなあ。盲導犬に触ってはいけない事、どうにかして分かってもらわなくてはと思いつつ、触られた都度、説明していた。
そんな事をやりながら、しだいに、分かってくれる子供が増えてきた。
数ヶ月が過ぎた頃、6年生の女の子から声をかけられた。
「私放送部で、盲導犬の事、ビデオに撮ってそれを放送したいのです。インタビューもしたいので、いいでしょうか」
と私が、通る頃をみはからって、待ち受けていたのである。
その時は、ちょっと急いでいたので、電話番号だけ教えて分かれた。
そして、明日来ると電話があった。
私は先生は知っているのかを聞いた。
先生は知っているという。
それならと、時間を決めて会う事にしたが、やはり学校の担当の先生には知らせた方が良いと思い、放送部担当の先生に電話で事情を話した。
先生は、これは、どうも、子供たちが、ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。
ちょっと待って下さい。子供には、明日学校で言いますのでと・・・
今、総合教育というのがあって、子供達と、色々と研究しているのだという。
もし、宜しければ、盲導犬の事、学習したいという事になったら、お話に来ていただけないかと。
私は、勿論良いと言った。
そして、6年生全員と4年生全員に、盲導犬について話す事になったのである。
6年生は、ノートに一生懸命メモしていたようである。
質問も多く出た。
私は、盲導犬の仕事はどういう事をやってくれるのか。
盲導犬が、仕事中に、皆がしてはいけない事は何か。
盲導犬になるまでの過程や現在の盲導犬の数について。
目の見えない人が困っていた時は、声をかけて欲しい事。
点字ブロックや、点字の事。
生活の事等を話した。
又、放送部に、盲導犬についてのビデオを、関西盲導犬協会に頼んで、小学生でも分かりやすい物を、送ってもらい、それをプレゼントしたのである。
そして、何日かが過ぎた。
今度は、小学校から電話で、小学6年生が、盲導犬について研究したので、その発表をします。宜しかったら来て下さいと。
それは、地域の人達も、父兄の人達もいっぱい来る、ふれあい学級で、発表していたのである。
行って、もう驚いてしまった。
子供達は、訪れた人に、アイマスクをして、箱の中に手を入れて、触った物が、何かを当てるクイズとか、アイマスクをしている人に、食べ物、(ミカンの缶詰)を口に入れてあげ、それが何の食べ物であるかを当てるクイズであった。
又、盲導犬について、次の中から正しいものを選んで下さいと、
盲導犬の数、ハーネスをしている時、していけないのはどれかとか色々と考えて作っていたのである。
ここを訪れた人は地域の大人である。
小学生も勿論やっていた。
私は、よくもここまで考えてやったものだと、感心してしまった。
その事があって以来、買い物に行く途中で出会ったら、「えみさん、こんにちは」と行って、盲導犬は触っちゃいけない、とか、どけどけとか言って協力してくれるようになったのである。
小さな子供が、オードリーを触ろうとすると、「さわったらあかん」と、お互いに注意してくれるようになった。
子供達のおかげで、大人の人も触らなくなった。
私は、とても買い物に行きやすくなり、安心して道を歩けるようになった。
子供達の力はすごい!!
大人の人までも、協力してくれるようになったのである。
有難いやら、嬉しいやら、感心させられてしまった。
この時の6年生は、今は中学3年生になっている。

5。オードリーの横顔へ

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