5。オードリーの横顔




1。雷
オードリーは、とても雷が怖い。
雷が鳴り出すと、私にピッタリ、体をくっ付けて、鳴り止むまで、ブルブル震えている。
「大丈夫、大丈夫、雷さんなんだから」と、宥めるけれども、震えは止まらない。
抱き込んでやるけれども、それでも止まらない。
低い音が苦手のようである。
もうこうなったら、オードリーとぴったりくっ付いて、雷が鳴り止むまで待つしかないのである。
そして、もう一つ、怖い物がある。
それは、花火。
我が家は、海水浴場の近くなので、夜になると、毎日のように、誰かが花火をしている。その音が怖いのである。
何処に、逃げようかとオロオロしている。
オードリーは、また花火が終わるまで、私にぴったりくっ付いて、振るえているのである。
早く花火が終わらないかなあと、終わるのを待つしか手はないのである。
少しずつは慣れてはきたが、花火だけは、慣れないようで、この時期になるともう大変なのである。
この二つかと思ったが、もう一つあった。
それは、太鼓の音である。
同じように震えている。
なんと怖がりやさんなんだろう。
この三つの中では、花火が一番怖いようで、1時間も続けば、その間中、オロオロしている。
大きな体をしているが、こんな、横顔も。
あ、これ、ここだけの話。
では、ハーネスを付けて歩いている時、雷が鳴り出したら、どうなるのか?
この時は、一瞬オロオロするのだが、「大丈夫、さあ行こう」と言えば、怖いながらも、仕事をちゃんとやってくれるのである。
えみを、誘導しなくてはならないという使命感を感じているのだろうか。
健気であり、使命感の強いオードリーなのである。
オードリーの名誉挽回の為、書き添えておく事にしよう。

2。ちょっと失敬
キッチンで、夕食の準備をしていた。
オードリーは、キッチンの入り口でダウンして、私を見ている様である。
サラダを作っていた。
プチトマトの袋を開けようと袋を破った瞬間、勢いが強すぎて、プチトマトがコロコロと床に転がり落ちてしまった。
オードリーは、こたつの上や、テーブルの上に置いてある食べ物には、全く手を出さない。
ところが、床に落ちた食べ物は、自分の物だと思っているようである。
「オードリー、食べちゃ駄目よ」
私は急いで落ちたプチトマトを拾い出した。
しかし、あちこちに転がっている。
どうやら拾い残したらしい。
私が、ちょっとキッチンを離れた隙に、リビングの方に転がったトマトを、パクッと、やってしまったのである。
オードリーは、えみが、食べ物を、床に落としてくれないかなあと、どうやら期待しているようである。
初めのうちは、床に落としても、直ぐには飛びつかない。
誰もいない隙に、パクッとやっていたのである。
なんと賢いのだろう。これ、感心してはいけない事なのかもしれないのだが、怒るのをやめさせるだけの力があるようだ。
今では、床に落ちたものは、自分の物だと、思い込んでいるらしい。
パクつくのが、素早くなってしまった。

3。枕が大好き
オードリーは、枕が大好き。
冬は、こたつの周りに置いてある座布団を枕にして、横になっている。
家族と、一緒にいる。
午後10時、オードリーのお休みタイムとなった。
初めの頃は、「ねんねの時間だよ、ハウスに入りなさい」と言えば直ぐにはいっていた。
ところが、ある日の事、さあ、ハウスに入りなさいと言ったのだが、寝ていたのか動こうとしない。
もう一度言う。だが動かない、顔は上げているようである。
私は、まだ皆と一緒にいたいのだろうなと思い、もう少しそのままにしてやろうと思った。
これがいけないのである。
オードリーは知恵者である。
動かずにいれば、ハウスに入らなくてもいいのだと・・・
次の夜から、ハウスに入りなさいと言ってもなかなか入らなくなってしまったのである。
この時から、オードリーと私の根くらべが始まった。
「ハウスに入りなさい」
寝たふりしている。
「ハウスに入りなさい」
まだ動かない。
ここで叱れば直ぐにはいるのだが、私はそれをやりたくなかった。
叱られてシュンとして入るよりも、私の指示で入らせたかった。
そこで、「入りなさい」の連発である。
オードリーも負けてはいない。
7〜8回言ってやっと入った。
これ、なんとかならないものかなあ。
そこで、枕をハウスに置く事にした。
枕の好きなオードリーである。
多分、これで直ぐに入るだろう。
案の定、ハウスに置いたら、何にも言わないのに、自分から入ってダウンしてしまったのである。
これはしめた!作戦は大成功であった。

4。オードリーの日課へ

「生活あれこれ」目次へ

トップへ