2。大変だった一ヶ月



母も帰って、いよいよ家事と、オードリーの世話が私の日課となった。
初めの2〜3日は、オードリーも、緊張していたようであった。
オードリーは、私の後ばかりついてくる。
もう少し主人と子供にも慣れて欲しいと思い。ボール遊びを主人と子供にやらせてみた。
それ以来、オードリーは、主人と子供が大好きになったようである。
私の後ばかりついては来なくなった。
これでオードリーも懐いてくれたようで安心である。
毎日決まった時間に食事、トイレ、をさせなくてはならない。
ブラッシングもする。
五日ぐらい経った頃、トイレをさせるのだが、なかなかやってはくれない。
やはり環境の変化なのであろう。
とうとう、訓練士さんに、電話した。
「オードリーがトイレしない、どうしよう」
訓練士、「1じかんでもねばってさせなさい、しない癖がついてしまうから」
私は、30分は、ねばったのだが、それでもう、諦めてしまったのである。
それを聞いて、よし、やらせるぞ、やるまでと腹をくくった。
すると、不思議な事にしてくれた。
オードリーは、私の感情に敏感なのである。
私が、不安に思っていると、オードリーも不安なのである。
私が落ち着いていると、オードリーは順調である。
どうして分かるのだろう・・・
この時は、分からなかったのだが、我が家は、電車の踏み切りの近くで、電車が来ると、オードリーは、やってはくれないのである。
今は、それを知っているので、電車が通り過ぎてから、トイレの指示を出す。
電車のゴーッという音が苦手のようである。
トイレがうまく行った時は、とても嬉しい。
この規則正しいリズムを毎日欠かさずやるというのは、やはり時間に束縛されてるようで、結構大変に感じた。
午前、午後の2回、家の周りを歩く。
オードリーの習得しているものを、崩さないようにするためでもあるし、オードリーも環境に慣れてもらうためでもある。
毎日行かなくてはならない所は、スーパーである。
家から5分の所にいつも買い物に行っていた。
盲導犬と一緒に店内に入れてもらうように、電話して頼んだ。
だが、ここは、品物が所、狭しと、並んでいて、棚と棚の間がとても狭い。
オードリーと私が一緒に歩けない。
人が、一人しか通れないので、オードリーは、前に進まないのである。
「ここは通れないよ、ぶつかるよ」という訳で、私がいくら前に進みなさいと指示しても、進まないのである。
そこで、歩いて15分かかる所のスーハーに変える事にした。
ここは、買い物した事はない。
主人に一緒に行ってもらい、行き方を教えてもらった。
そして店内を説明してもらった。
何が何処に置いてあるかも、だいたいよく買う品物のある場所を教えてもらった。
ここに、毎日行くようになったのである。
今までとは、違う所での買い物、オードリーとの歩行、そして世話と、私は、ああ、1日でいいから、開放されたいと思うようになったのである。
訓練センターからは、時々、様子を尋ねられた。
とにかく頑張ってと激励された。
この1ヶ月が、とても大事な期間なのである。
ここで、しっかりリズムをつけて、盲導犬の働きを、より快適に維持する為、やるべき事をやらなくては、後が大変になる。
先輩のユーザーさんから、この事を聞いていたので、私は、とにかく頑張ろうと思った。

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