ユーザーになりたいと思うまでの経緯




1。初めて見た

あれは、1984年の春の事でした。
視力が0,06ぐらいの私は、まだ白杖無しでも、すいすい歩いていた。
働いていた職場に、30歳代の女性が、盲導犬を連れて毎日通って来ていた。
「ねえ、歩いていて、ぶつかりそうで怖くない?」と聞いてみた。
「ぶつかりそうな気もするけれど、この子を信じようと思っている」という答えが返ってきた。
そして、歩いて行ってしまった。

その頃の私は、全く盲導犬には興味はなかったので、それ以上尋ねる事もなかった。
我が家も、当時、秋田犬と、ポメラニアを飼っていたので、犬と盲導犬とはそんなに変わりはないのだろうと・・・
まさか、階段を教えたり、ドアを探したり、道の端を歩いたり、障害物を避けてくれる等とは、その時は、全く知らなかったのである。
ただ、おとなしくて、吼えなくて賢い犬だとしか思っていなかった。
これが、盲導犬を見た最初だった。


2。同級生が、盲導犬ユーザーになっていた

リーン、リーン、電話のベル。
「今度、関西の方に旅行するつもりだけど、貴方も来ない?」と懐かしい同級生からの電話。
私 「あらっ、まあ!長崎からこちらへ、一人で来るの?」
友達 「そうよ、私盲導犬ユーザーになって1年になるの。それでね、遠出がしたくなって、貴方の事思い出したのよ」
私 「ええっ!そんなに視力が落ちたの?」
友達 「もう全く見えなくなったわ」

当時、0,3の視力だった友達、なぜかすごく明るい。私も0,01の視力に下がってしまっていたのである。
そこで、私も一緒に、友達とホテルに一泊する事になり、盲導犬の働きを少しだけ聞く事ができ、盲導犬の生活ぶりを、間近に見たのでした。
そこで知ったのは、段差の所で、止まってくれる事、歩くのがとても早い事、主人に従順である事でした。
この時も、未だ0,01ある視力の私は、白杖があれば、歩くのにはそんなに不自由を感じてはいなかったので、ユーザーになりたいとは、全く思わなかった。



3。興味を抱き、観察し始めた
1995年の秋、2頭の盲導犬とそのユーザーを含め十数人で明石公園に行く事になり、盲導犬に接する三度目のチャンスがやって来た。
その時の私の視力は、眼前指数に下がっていた。
成れた所は、白杖で、不自由は感じながらも、あちこち出かけていた。
その時から、盲導犬を観察するようになっていったのである。

2頭の盲導犬は、性格が全く異なっていた。
おとなしくておちついて静かにしているのに対して、もう1頭は元気が良く、チャキチャキという感じであった。

ある日、そのユーザー2人と私の三人だけで、駅で会う事になった。
そこは、よく知っている所だったので、私が案内役であった。別に不自由はなく楽しい時を過ごしたのである。
したがって、盲導犬が欲しいとまでは、その頃も思わなかった。
この2人のユーザーと、接する機会が多くなっていったのである。



4。ユーザーになりたい
1996年の春、明石公園に一緒に行ったメンバーで、神戸のハーバーランドに行く事になり、高速神戸駅で待ち合わせとなった。
集まったところで、さあ出発、二人のユーザーは皆と一緒にスイスイ歩いて行く。
私には初めての場所である。白杖をたよりに気をつかいながら歩くので、早くは歩けない。
その時であった、「盲導犬って、そうか、初めての場所でも道さえあれば、ぶつかる心配もなくスイスイと、歩けるのか・・・」
これは、大発見であるとともに、私も盲導犬が欲しい!
そして自由に歩きたい!
この瞬間から、盲導犬が欲しくて、欲しくてたまらなくなっていった。


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