2005年12月

2005年12月27日(火曜) 呉編

今年ラストの駅弁膝栗毛は、年の暮れということで「呉」!
JR呉線・呉駅の“駅弁”を紹介します。



JR呉線は、前回ご紹介した山陽本線の三原から分かれ、
瀬戸内海に沿って走り、広島の手前・海田市(かいだいち)で
再び山陽本線と合流する、87キロほどのローカル線。
この区間、山陽本線はアップダウンのある山の中を走りますが、
呉線は、海の見える場所も結構あり、景色を楽しめる路線です。
呉駅は、広島駅から快速「安芸路ライナー」で30分あまり。
当然ながら、呉線の中核をなす駅です。



呉の駅はかつて、海軍の要、軍港だったこともあり、
東京からの直通列車もあって、賑わっていました。
そこで戦前の昭和11年から、駅前の「山崎家」さんによって
実に70年近くにわたり、駅弁が販売されてきました。
いわば、戦争が生んだ副産物だったといってもいいでしょう。
でも、実際に呉駅を訪れると、駅弁を販売している気配はなし。
駅の売店にも、いわゆるコンビニ弁当しか並んでいません。
そこで、呉駅をバスターミナル側に出て、
線路沿いの商店街を2〜3分ほど歩いて「山崎家」さんを訪れると、
駅弁の看板を掲げたまま、しっかり営業しておりました。
さっそく、事情を伺ってみると、
「去年、呉駅構内の駅弁販売からは撤退したんです。
ここは新幹線も何も無いでしょ、電車も通勤電車だし…。
作っても、売れる数は知れてますから…」とのこと。
そこで「今は普通の弁当しか作っていないんですか?」と訊くと
「幕の内なら、昔の駅弁の掛け紙で出来ますよ」と快諾。
お願いして「幕の内弁当」を作っていただくことにしました。
(営業時間:朝9時〜夕方6時ごろまで、無くなり次第終了。
注文の場合は要予約。電話:0823-24-2020)






こちらが、お願いして作ってもらった「幕の内弁当」(720円)。
経木の箱に食べ応え十分、ボリュームたっぷりのおかず。
もちろん、ご飯はあったかご飯!
ビジネスで呉に来た人には、良かったんじゃないでしょうか。
経木の絶妙な吸水率といい、オーソドックスな中味といい、
久しぶりに弁当の基本、「幕の内」の魅力を
教えてもらったような気が致しました。
「山崎家」さんの駅弁案内文には、こう書かれています。
“小さな木折の中に、いつも変わらない弁当のこだわりを
真心をもってお届けします”
駅弁から撤退してしまったことは残念ですが、
今なおこの言葉に、嘘はありません。

実は私、最初「山崎家」さんの場所が分からず、
観光案内所で、ドコにあるのか聞いてみました。
すると「山崎家?私は聞いたことありませんねぇ」との返事。
地元の方だと思うんですが、一般の方ならまだしも
話を聴いた人は、観光案内をする方。
戦時中の「大和」にスポットを当てた町おこしの最中、
戦争がきっかけで生まれた「地元の食文化」にも、
もっと深い「認識」があってもいいのではないか…。
そんな気持ちになりました。


■旅のワンポイント〜瀬戸内ノスタルジック紀行U・呉



今月まで「広島ディスティネーションキャンペーン」という
観光キャンペーンが行われていました。
これに合わせ、今年は呉線を観光路線としてPRしようと
普通のディーゼルカー2両を改造した観光列車、
快速「瀬戸内マリンビュー」がデビューしました。
今回はこの列車で、広島〜呉〜三原とめぐります。






2両編成のうち1両は普通の列車とあまり変わらない自由席。
でも、乗るなら断然、カジュアルに改造された「指定席」!
船を意識した丸窓や、大きな窓から見える海が魅力的です。



今、呉最大の注目スポットといえば「大和ミュージアム」。
今年4月にオープンしたばかりで、
戦艦大和の10分の1模型が、展示の目玉。
この他、呉が世界に誇る造船技術なども観ることが出来ます。
呉駅、呉港とベストリアンデッキなどで結ばれており、
雨に濡れることなく、行くことが出来ます。
軍事モノ、歴史好きにはたまらない施設だとは思いますが、
まあ、冷めた気持ちで眺めるぐらいが、ちょうどいいかも。



この「大和」が、どこで作られたのかというと、
海軍の直轄工場「呉海軍工廠(こうしょう)」。
今では石川島播磨重工業(IHI)の造船所となっています。
「歴史の見える丘」として整備され、正岡子規の句碑もあります。



さらに進んでいくと「アレイからすこじま」という公園に。
ここには、海上自衛隊の潜水艦桟橋があって、
日本で唯一、潜水艦が間近に見られるスポットとして有名です。
辺りには、海軍時代からの赤レンガ倉庫もあって、
東洋一の軍港だった時代を、彷彿とさせる光景です。



潜水艦の場所からバスで10分あまり乗っていくと、
呉を代表する景勝地「音戸(おんど)の瀬戸」に着きます。
かつてココは、干潮になれば陸続きになってしまう所でしたが、
あの平清盛が、わずか1日で切り開いたという瀬戸。
呉市と倉橋島の間は、最も狭い場所で70メートルしかなく、
ひっきりなしに船が往来する交通の要衝でもあります。
広島〜松山間を1時間あまりで結ぶ船「スーパージェット」も
この区間だけは、ゆっくり速度を落として通過していきます。






実はこの「音戸の瀬戸」には、往来する船の合間をぬって、
両岸を結ぶ「音戸渡船」があります。
この渡船、実は日本で一番短い定期航路(120m・2分)。
江戸時代から続いていて、ダイヤは無く、
桟橋に人の姿が見えたら出航するそうです。
それにしても待合所が、あまりにノスタルジックな雰囲気!



この渡船は、朝5時から夜9時まで運航。
自転車を積んだまま乗っていく人もいて、
40年以上前に音戸大橋も出来ましたが、
今も完全に地域の足として欠かせないものになっています。
運賃70円は、島に着いた所でオバちゃんに支払います。
この「音戸渡船」は、船着場の雰囲気はじめ、
船頭さんのキャラクター、地域の皆さんの日常など、
実に旅愁を誘います。
旅好きを自認している人なら、一度は訪れたい場所です。

今回は広島から「瀬戸内マリンビュー」で入って、
呉の街を中心に紹介しましたが、呉線のビューポイントは、
どちらかといえば、三原寄りにあります。
「瀬戸内…」もその区間はスピードを落として運行します。
次回、2006年1回目は、新年にふさわしいスポットを、
ご紹介する予定です。お楽しみに!





2005年12月25日(日曜) 三原編

年末年始の駅弁膝栗毛は、どこか懐かしい風景が広がる
「瀬戸内海」沿岸を歩きます。
題して「瀬戸内ノスタルジック紀行」。
1回目は、JR山陽本線・三原駅の駅弁です。



三原は、広島と福山の中間あたり。
山陽本線からは、海沿いを走る呉線が分岐しています。
山陽新幹線も停車しますが、4〜6両編成の「こだま」号のみ。
東京からは毎時13分発、福山停車の「のぞみ」をつかまえて、
福山で「こだま」に乗換え、だいたい4時間ちょっとです。



三原のほか、福山・尾道・広島空港などで駅弁を手がけるのが、
三原の駅弁屋「浜吉(はまきち)」さんです。
元々は、尾道の海岸にあった旅館が起源で、
機関車交換のため長時間停車した、隣の糸崎駅の駅弁屋でしたが、
新幹線開業後は、三原を拠点に幅広く駅弁を手がけています。
三原駅で一番品揃えのいい駅弁売場は、
新幹線改札を入って正面前方右手、
上り(新大阪・東京方面)ホームの側の下に売店があります。
営業時間は、朝7時前〜夜8時半まで。
この他、駅のコンコースにあるコンビニタイプの売店、
在来線の山陽本線下り電車、呉線の電車が発着している
1・2番線ホームのうどん(そば)屋でも販売があります。



さて、三原駅の新幹線改札で迎えてくれるのが「タコ」。
昭和後期に作られた地方の新幹線駅にありがちな、
無機質な背景の中では、チョット寂しそう…。
でも、結構いい駅弁を売ってるんです。



三原駅の名物駅弁といえば「珍辮・元祖たこめし」(900円)。
昭和28年に発売され、既に50年以上の歴史がある駅弁で、
柔らかく煮込まれた「タコのうま煮」が美味。
クセなく、甘めの味付けが好感触の逸品です。
タコ嫌いの人でも、タコが好きになるかもしれない駅弁!
これは「タコの革命」と言っても、過言ではありません。






この「たこめし」をカジュアルな感じにしたのが、
10月1日新発売の「あっぱれ多幸(たこ)」(980円)。
陶器製の「タコ」が可愛らしいので、
容器を家に持ち帰えれば、ちびっ子は喜ぶかもしれません。
基本は同じなので、中味重視の人は「元祖たこめし」を、
ビジュアル重視の人は「あっぱれ多幸」を選んでみては…。



こちらも主力商品の1つ「鯛の浜焼弁当」(950円)。
「鯛の浜焼き」というのは、瀬戸内に伝わる郷土料理です。
駅弁にも鯛の形をした容器に、鯛のほぐし身がたっぷり!
「鯛めし」は、西へ行くほど美味いもんです。
ただ、いくらお腹が空いているからといっても、
ガツガツそのまま食べようとするのは、野暮というもの。
ここは一度深呼吸して、よく弁当の盛り付けを観察しましょう。
子梅が目に、山菜がエラの位置にきているではありませんか!
なかなか侮れない「鯛の浜焼き弁当」。
実は私も、画像を整理しながら気付いたんですが…。



瀬戸内の定番「あなごめし」(900円)もあります。
魚の煮付け系は、浜吉の得意ジャンルか、
こちらも、柔らか穴子が特徴的です。



「松茸めし」(950円)を、通年販売しているのも特徴的。
他の駅弁が、どちらかと言えば「重め」なので、
胃の負担を少ないものにしたい時は、選択肢に入ってくるかも。
味は悪くないです。



上の松茸めしの変化球版が「松茸すきやき弁当」(1050円)。
“広島発”という標記に、意気込みを感じますね。
まあ「どうしても肉を食べたい」時はどうぞ。
もちろん、こちらも味はOKです。

主役も脇役も、充実のラインナップを誇る三原の駅弁。
新幹線と空港の需要に支えられているのが大きいのでしょう。
また、この区間の山陽本線は、岡山〜下関を半日かけて結ぶ
快速列車(シティライナー)などもあり、
在来線でも、海を眺めながら駅弁の旅を楽しめる区間。
三原の駅弁をご存知なかった方は、どうぞお試しあれ!
(なお、福山でも同じ駅弁を購入できます)



■旅のワンポイント〜瀬戸内ノスタルジック紀行T・尾道

瀬戸内でも、まず歩いてみたかった街が「尾道」。
寺の街、坂の街、文学の街、映画の街など、
これだけ様々に形容される街も珍しいものです。
一体どんな街なのか、期待が高まります。



尾道の玄関と言えば、やはりJR尾道駅。
駅弁を紹介した三原駅からは、普通列車で2駅。
駅を降りると、パッと広がる潮のにおい。
ふと振り返ると、駅舎の上には小さく尾道城が…。
さぞ、歴史のある城かと思いきや、東京五輪の年に、
地元財界の有力者によって建てられた観光城なんだとか。
今では廃城になっているそうですが、
訪れる歴史的意義といえば、イケイケドンドン
何でもありだった高度経済成長時代に思いを馳せることか。



尾道は「渡し船」の街でもあります。
尾道水道を挟んだ向島とは、
5本の渡船(フェリー)で結ばれています。
こちらは駅前から発着している通称「駅前渡船」(100円)。
通勤通学の足にもなっていて、5分にも満たない乗船時間のうちに
がま口を開けた船員が、ワンコインを握り締めた学生などから、
手早くきっちりと“徴収”していきます。



まずは、国宝のある「浄土寺」をめざして、尾道水道沿いの
整備された遊歩道を、ぶらぶらと歩いて来ました。
この浄土寺、聖徳太子が開いたといわれる中国地方を代表する寺。
画像左の「本堂」(1327年)、右の「三宝塔」(1328年)は、
共に鎌倉時代の末期に作られ(再建)、国宝に指定されています。
ここの「三宝塔」は、高野山と石山寺と並ぶ優れた塔なんだそうです。



今度は山陽本線の踏切を渡って、
千光寺に続く石段を登りながら、坂の街を堪能します。
カップルあり、家族連れあり、私のような1人旅あり。
尾道は、いろんなタイプの旅人を受け入れています。



坂道の途中で、1匹の犬と出会いました。
ドビン(♀)という犬だそうで、尾道で知らない人はいない
TV出演経験もある、有名な「ガイド犬」なんだとか。
道理で人懐っこい!
元々は捨て犬で、ガイドのオジさんに付いていく様になったのが、
「ガイド犬」と呼ばれるようになったといいます。
今ではすっかり年老いて大人しく寝ていることも多いようです。



坂の途中でわき道にそれて、志賀直哉の旧居を訪ねます。
1912(大正元)年、尾道に移り住んだ時の長家です。
代表作の「暗夜航路」も、ここで執筆されたそうです。
眼前に、パッと海が見える家。
こんなロケーションの家で、私も原稿を書いてみたいものです。



今度は、千光寺山ロープウェイを使って展望台に登ります。
ロープウェイの後方には、尾道大橋と新尾道大橋。
新尾道大橋は、瀬戸大橋の尾道・今治ルート、
いわゆる「しまなみ海道」の最初の橋です。



一見すると、とても海とは思えない尾道水道。
中央右手前方には、公開されたばかりの映画
「男たちの大和」の「大和」のセットが組まれています。
このセット見たさに、展望台に登ってきた
若い女性2人組もいました。



でも、この展望台に登ったら夕陽を眺めたいもの。
赤く染まるしまなみと静かな海。
まさに、瀬戸内ならではの光景です。
もう、眺めているだけで言葉は要りません。
日没の時刻が、夕方6時ごろと重なれば、
千光寺の鐘の音も聴こえてくるとか。
間違いなく心癒されるスポットです。
(今の時期、展望台で寒くなったら…、
市街地には「尾道ラーメン」が待ってます!)

寺めぐり、文学散歩、ロケ地歩き、など
見どころ満載の尾道。
実は今回、半日しかかけられなかったのですが、
もっとゆっくり歩きたかったというのが正直な感想。
とりあえず、もう一度足を運んでみたいと思います。




瀬戸内ノスタルジック紀行・第2弾は「呉」を目指します。



2005年12月3日(日曜) 白浜編2

今回は「元祖・波打ち際の露天風呂」を求めて、
およそ1年ぶりに、紀伊半島・白浜にやってきました。
駅弁は今年1月に続いて、JR紀勢本線・白浜駅の駅弁です。



新大阪から最速の特急「オーシャンアロー」号で2時間あまり。
関西屈指のリゾート地・白浜の玄関口が、JR紀勢本線・白浜駅です。
昔は「白浜口」という駅名だったように、駅から海辺までは、
多少距離があって、路線バスで10分ほどかかります。



前回はホームの売店を紹介しましたので、
今回は駅舎内にある、待合室の売店を紹介しましょう。
白浜駅で駅弁を販売する「あしべ」さんの売店は、
朝9時半〜午後5時までの営業です。
ちなみに、ホーム売店は夜6時過ぎまで開いていましたが、
最後まで残っていたのは、幕の内弁当のみ。
好みの駅弁を昼過ぎ以降に購入したい場合は、
事前に予約しておいたほうが確実でしょう。
(ちなみに白浜観光の帰りに食べたい場合、前金で駅・売店で予約してから
出かけると、黄色い引換券を渡してくれます)



まずは「紀州の殿様弁当」(1150円)です。
あの暴れん坊将軍・徳川吉宗のふるさと、
御三家・紀州徳川家にちなんで「殿様…」の名前になったとか。
その名の通り、白浜駅では最も豪華(価格の高い)駅弁として君臨。
冷静に考えますと、寿司と揚げ物を1つの弁当にしている
ムチャクチャ感もありますが、これは「殿のご乱心」か?
鯛の押寿しの味が良かったので、ひとまず良しとしましょう。
単品の「鯛寿し」では物足りないという方は、こちらを選んでみては。



「熊野鯖寿し」(850円)も食べてみました。
鯖好きの私にとっては、肉厚の鯖に大満足!。
鯖・昆布・酢めしのバランスもよく、隠れた名駅弁かも!?

1月に紹介した「紀州てまり弁当」「鯛寿し」と一緒に、
白浜では、このあたりの駅弁を選んでみてはいかがでしょうか?

■旅のワンポイント〜波打ち際の露天風呂W・白浜温泉「崎の湯」

4回にわたってお届けしてきた「波打ち際の露天風呂」シリーズ、
トリをつとめますのは、日本最古の“波打ち際の温泉”、
日本三古湯の1つ、「白浜温泉」に向かいます。



イルカのような愛嬌のある顔をしたこの列車は、
紀勢本線のエース、283系電車を使用した
特急「オーシャンアロー」号です。
制御付振り子機能を搭載することで、
それまでの振子電車よりも乗り心地の向上を実現しました。
最高時速130キロで、京都・新大阪〜新宮間を
4時間ほどで結んでいます。


自由席の海側には、フリーの展望スペースがあって、
海岸線が続く区間では、オーシャンアローの名にふさわしく、
巨大で開放的な窓から、オーシャンビューが広がります。



新大阪〜天王寺〜和歌山と抜けて紀勢本線へ。
南部(みなべ)付近の海岸線は、何度見ても美しいですね。
この海を眺めると、いよいよ南紀州!
心なしか、気持ちも開放的になってきます。
さあ、白浜に着いたら、早速湯めぐりといきましょう。

●「崎の湯」(300円)
 …ナトリウム塩化物炭酸水素塩泉・83.2度、ph7.6



新大阪から2時間10分ほどで白浜に到着。
駅前から「三段壁(さんだんべき)」方面行バスに乗って
「湯崎」バス停を目指します。
今回の目当ては、白浜温泉の原点「崎の湯」!
万葉の昔から記録に残っている「湯崎七湯」の中で、
唯一つ、今も残っている歴史ある湯壷なんだそうで、
まさに白浜温泉の象徴的存在。
このお風呂に入らないことには、白浜温泉に来た意味がない…、
そういっても過言ではないくらいのお風呂です。



湯船から海まで、およそ10mと聞いていたのですが、
思っていたよりも、意外と海が近い!
雄大な太平洋が眼前に広がる露天風呂!
加えてこれも想像以上だったのが泉質のよさ。
海辺ならではの塩辛い味がする一方、しっかり硫黄臭も。
この2つは、なかなか両立できるものではありません。
塩っぽいお湯なので、冬でもしっかりと温まります。
唯一の難点は、人気のお風呂なので、
いつも混雑する傾向があることかもしれません。

●牟婁の湯(300円)…含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(75℃)、ph6.6
              ナトリウム-塩化物泉(78℃)、






白浜温泉は、共同浴場が充実しています。
「崎の湯」から程近い「牟婁(むろ)の湯」は、
300円で、礦湯(まぶゆ)と行幸湯の2つのお湯を
楽しめることで有名です。
どちらも立派にかけ流しになっていて、
深めの浴槽からはたっぷりお湯があふれています。
よく“眠くなるお風呂はいい風呂”といいますが、
私もここのお風呂は、しっかり眠くなってしまいました。

●白良湯(300円)
…含二酸化炭素ーナトリウムー塩化物強塩温泉(67.3℃)、ph6.7



白浜を象徴する砂浜、白良浜近くにある共同浴場。
浴室は2階にあって、海を眺めながら入る事が出来る
お風呂が特徴的です。
今回は混雑のため、お風呂&景色の写真は無し…。

お風呂ばかりでもなんですので、
お風呂以外の白浜の名所もご紹介しましょう。



自然の岩の造形美が美しい「三段壁(さんだんべき)」。
高さ50mの断崖絶壁が、南北2キロにわたって続きます。
まるで、福井県の東尋坊のような風景ですが、
実際、自殺を思いとどまるよう訴える看板もありました。



東尋坊と違うのは、ここには「三段壁洞窟」があって、
海面近くまで降りられることでしょうか。
平安時代に力を誇った熊野水軍の隠し洞窟だったとも伝えられます
地下36mの洞窟へは、高速エレベーターでたったの14秒。
中には弁才天が祀られていて、少し厳かな雰囲気もあります。
洞窟に勢いよく流れ込む海水は、見応えがあると思います。



そして夕方、ぜひ訪れたいのが「円月島」。
正式には「高島」というそうで、
南北130m、東西35m、高さ25mの小島ですが、
島の中央に半月のようなの穴がぽっかり開いていることから、
「円月島」と呼ばれているのだそうです。
この日は、西の空に雲があって、
きれいな夕焼けとはなりませんでしたが、
ぜひ日没のタイミングを見計らって行くべきでしょう。



関西のリゾート、行楽型の観光地として有名な白浜ですが、
1人でぶらぶらしてみても、意外と味があるもの。
首都圏からはあまり行く機会がありませんが、
紀伊半島を旅する事があるならば、しっかり1〜2日は
時間をとって歩きたいものです。

今回、波打ち際の温泉ばかりを歩いてみましたが、
ふと感じた事があります。
生命は水中で生まれ、やがて陸地で暮らすようになりました。
その境目というべき場所が、まさに「波打ち際」。
我々の祖先の生物が、この波打ち際から陸地へ一歩、
歩みだすことがなかったら、今の我々はなかったのかもしれません。
「波打ち際」…、それは自然を、命を感じられる場所でもあります。

●紀伊半島・鉄道の旅〜モデルコース(2泊3日)
(1日目)
東京9:50ー「のぞみ13号」−京都12:11/12:35ー
特急「オーシャンアロー17号」−白浜15:10〜バス〜白浜温泉(泊)
(2日目)
白浜13:15ー特急「スーパーくろしお13号」−紀伊勝浦14:43〜
勝浦温泉(泊)
(3日目)
那智の滝、熊野古道など…紀伊勝浦12:46ー特急「南紀6号」−
名古屋16:17/16:24ー「のぞみ58号」−東京18:06

※白浜温泉と勝浦温泉で2泊としてみました。
 本州最南端・潮岬や新宮、熊野本宮大社、湯の峰・川湯温泉など
 様々な組み合わせが考えられると思います。



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