2005年10月

2005年10月25日(火曜) 秋田編

3ヶ月ほどお休みをいただいていましたが、
また「駅弁膝栗毛」…、ぼちぼちやっていきたいと思います。
今回は久しぶりの東北遠征、JR奥羽本線・秋田駅を紹介します。



東京から秋田へは、秋田新幹線「こまち」号で4時間。
途中、盛岡までは、八戸行の「はやて」号と一緒に、
時速275キロの高速運転の2時間半。
一転、盛岡からは単線の田沢湖線に入って、
行き違いの待ち合わせをしながら、のんびり1時間半。
乗り換え無しの便利さと一緒に、スピードのギャップも
楽しめるのが「こまち」号です。



秋田駅は「関根屋」「NRE秋田支店」「泉秋軒」の3社が
競合する駅弁激戦区。
最近では、今年1月に紹介した大館(花膳)の「鶏めし」も販売、
駅のコンビニでも駅弁の取り扱いがあって、
ますます競争が激しくなっています。
在来線改札を入って左手に見えるのは「NRE」を中心とする売店。
駅ビル「トピコ」連絡改札の隣にある売店が、最も品揃えがよく、
朝7時〜夜8時まで営業しています。
至る場所で販売している駅弁ですが、
せっかく秋田で駅弁を買うのなら、在来線ホームを中心に
販売している「関根屋」さんの移動式台車から買うのが、
最も風情があっておススメ。
朝の7時前から夕方5時ごろまで、列車が発車するホームに出没し、
ポットでお湯を入れる昔ながらのお茶(100円)と共に販売しています。
そこで、今回は「関根屋」の駅弁を中心に紹介します。



秋田で最も有名な駅弁といえば「ハタハタすめし」(1000円)。
秋田の幸といえば、やっぱり「ハタハタ」。
平成に入って一時、漁師が自主的に禁漁する異例の事態もありましたが、
復活してからは、漁獲高はまずまずの値で推移。
今年も出足は低調でしたが10月に入って、豊漁の日も出てきたとか。
駅弁では、焼き上げたハタハタに“秘伝”のたれがつけられ、
秋田名産のトンブリも乗った酢めしの上と共に、
「これぞ秋田!」という駅弁に仕上がっています。



そして、秋田の山の幸といえば舞茸。
「わっぱ舞茸」(820円)は、味付ご飯の上に舞茸が満載!
あまりの舞茸の多さに食傷気味…いやいや!
“一度、舞茸を心ゆくまで味わってみたかった”という方の願望を
トコトン満たしてくれます。
おそらく秋田駅弁の中では、最もヘルシーな駅弁では??



こちらはオーソドックスな「牛めし」(900円)。
昼前のいい時間帯、運がよければ作りたての温かいものが味わえるかも。
見た目の第一印象より、食べた後の方が好印象な駅弁です。



こちらは「あきたこまち弁当」(900円)。
中味は、いわゆる「幕の内弁当」です。
幕の内にしては少々こってり系が多い気も致しますが、
出張で秋田に来たビジネスマンが口にするシチュエーションを
考えますと、納得の一品でしょうか。
普通の幕の内でも「あきたこまち」と名乗ることが出来て、
名物駅弁の一角を担うことが出来るのは、やはり地の利!
それにしても米が美味いというのは、たまらないものです。



ラストは「鶏めし」(800円)。
最近は豪華版も登場しているようですが、
この800円の鶏めしも侮ってはいけません。
比内地鶏のだしで炊き上げたと書かれているだけあって、
米と鶏肉の塊が口の中で混ざり合った感覚がGood。
食した後には“想定外”の満足感が得られます。

掛け紙や割り箸に「秋田駅と共に百余年…」とある
秋田・関根屋の駅弁。
米と海・山の幸、そして歴史が生み出す美味しさに
触れてみてはいかがでしょうか。
もちろん、他にも秋田駅には美味しい駅弁がありますので、
それはまた、次の機会に…。


■旅のワンポイント〜波打ち際の露天風呂を味わう旅T
             「リゾートしらかみ」で行く不老ふ死温泉


身も心も一気に解き放たれる露天風呂。
中でも、究極の開放感を味わえるのが、
「波打ち際の露天風呂」ではないでしょうか?
ただ、露天風呂というものは、真夏は暑すぎる。
冬は雪景色でもないと、体が冷え切ってしまう…。
やはり春と秋が、露天風呂のベストシーズンかもしれません。
そこで、駅弁膝栗毛では何回かに分けて、秋を満喫できる、
「波打ち際の露天風呂」をめぐる旅を特集してまいります。
1回目の今回は、青森県の「黄金崎不老ふ死温泉」を目指します。



旅のスタートは秋田駅。
東京駅6:56発の「こまち1号」に接続して発車する
快速「リゾートしらかみ3号」に乗り込みます。
この「リゾートしらかみ」号は、別名“クルージングトレイン”と
呼ばれる、大きな窓と快適な車内が特徴の、全席指定の快速列車。
秋田駅から奥羽本線を北上、途中の東能代から
日本海沿岸を走る五能線を経由、五所川原・弘前へ向かいます。
現在、「青池」編成と「ぶな」編成の2編成があって、共に大好評。
来年からは3番目の「くまげら」編成も登場することになっています。

※「リゾートしらかみ」〜JR東日本・秋田支社ホームページ
http://www.jreast.co.jp/akita/shirakami/



露天風呂を味わう前に、世界遺産の白神山地を堪能します。
まずは「十二湖」駅で途中下車。
ここから路線バスで「青池」を目指します。



白神山地を代表するスポット「青池」。
本当は透き通った青い色が美しく映えるのですが、
私が訪れた日は、前日が強い雨…。
木々の葉が落ちて、残念ながら水面は葉っぱでいっぱいでした。
でも、池の底に沈んでいる木の枝が透けて見えますね。
ただ、なぜここまで神秘的に青く見えるのか、
科学的な解明はされていないそうです。



近くにある沸壺の池ものぞいてみましたが、こちらも青色です。
名前は「十二湖」ですが、実際には33個の池や沼が存在。
何でも、280年ほど前の地震によって生まれたとか。
一帯には、世界遺産の制定理由にもなったブナの原生林が
手付かずのまま、広がっています。



マイナスイオンたっぷりの白神山地を、チョコっとかじったら、
いよいよお目当ての「黄金崎不老ふ死温泉」に向かいます。
時間帯がいいと、青池から不老ふ死温泉行の直通バスもあります。
途中、車窓からは「日本キャニオン」も見えます。
1キロほど続く断崖絶壁。
「日本キャニオン」の名は、50年程前、
アメリカのグランドキャニオンのようだということで
探検家によって名づけられたそうです。



青池から40分ほどで「黄金崎不老ふ死温泉」に到着。
「リゾートしらかみ号」で来る場合は「ウェスパ椿山」、
各駅停車で来る場合は「艫作(へなし)」が、最寄駅。
たいていの場合は、送迎車が待機しています。
1万円ちょっとから宿泊でき、シングルルームもあるので、
私のような一人旅でも受け入れてくれるのが有難いです。

※「不老ふ死温泉」ホームページ
http://www.furofushi.com/






「不老ふ死温泉」のお湯は、鉄&塩の温まる赤いお湯。
2種類の源泉があって、本館・新館で、
それぞれ異なる源泉が使われています。
特に、新館のお湯には油膜(原油成分)が見られ、
お湯好きにとっては、必然的に期待大。
真っ白な手ぬぐいは、しばらくすると真っ赤になります。
内湯からも、絶景の日本海が望めるのですが、
この「不老ふ死温泉」の露天風呂はもう1つ、
もっと海に近い場所にあるんです。






お待たせしました!これが噂の「波打ち際の露天風呂」!
ひょうたん型をした浴槽は、基本的には混浴。
ただ、女性専用浴槽が出来たので、実質的には男風呂です。
荒れ模様の天気では辛いお風呂ですが、天気さえよければ、
このお風呂から、日本海に沈む夕陽を味わえます。






皆、良質のお湯に浸かりながら、絶景の夕陽を堪能。
日常のイヤなことを全て忘れてしまいそうなくらいの素晴らしさ。
輝く夕陽と打ち寄せる波の前に、人の小ささを痛感させられます。
日が沈んだ瞬間、お風呂からは思わず拍手が沸きあがりました。



次の日は、ウェスパ椿山駅まで車で送られて、
今度は「リゾートしらかみ1号」(青池編成)に乗車します。
駅は無人ですが、観光施設・ウェスパ椿山を経営する
第3セクター「ふかうら開発」の20代女性社員・4人が
観光駅長に任命されており「リゾートしらかみ」号の発着時には、
出迎え、見送りをやっています。






「不老ふ死温泉」に劣らず、波打ち際ギリギリを走る五能線。
区間によっては、ゆっくり走行して景色の美しさを味わえます。
青い空・青い海、そして日本海の荒波が作り出した巨岩の数々は、
我々の心を圧倒、車内からは歓声とシャッター音が上がりました。






鯵ヶ沢を過ぎると、海岸線とはお別れ。
先頭車両の1号車では、津軽三味線の演奏会が始まりました。
やがて右手には、津軽富士こと岩木山の美しい姿が。
岩木山とリンゴの木が見えてきたら、リゾートしらかみ号の旅も
間もなくエンディングです。



五能線・東能代〜川部間は、およそ150キロ。
「リゾートしらかみ1号」は、この後、弘前を経由して、
終点の青森を目指します。
秋田を朝8時半前に出発、青森には午後1時半に着きます。
最高時速300kmの「のぞみ号」なら、同じ時間があれば、
東京〜博多間を駆け抜けてしまう「5時間」。
それはそれで楽しいものですが、自然の中をのんびりと進む
「リゾートしらかみ」の旅もまた、おつなものです。

さあ「波打ち際の露天風呂」の旅、今度は身近な所へまいります。

●今回の旅程(ダイヤは2005年10月現在)
<1日目>
東京6:56→「こまち1号」→秋田10:56/11:04→快速「リゾートしらかみ3号」
→十二湖13:16〜路線バス〜「青池」〜路線バス〜「不老ふ死温泉」(泊)
<2日目>
「不老ふ死温泉」〜送り車〜ウェスパ椿山10:37→快速「リゾートしらかみ1号」
→弘前12:42〜市内〜弘前14:15→特急「かもしか4号」→秋田16:24/17:06
→「こまち26号」→東京21:08
※1泊2日では勿体ないので、その他の温泉地などと組み合わせて、
 のんびりと回りたいもの。
●便利なきっぷ
おはよう秋田往復きっぷ



行きが、東京6:56発「こまち1号」限定。帰りは自由に選べる。(7日間有効)
特にグリーン車用(25000円)が、ドリンクサービスもあってオトク。

五能線パス



秋田〜青森間が2日間乗り放題で5000円。
「リゾートしらかみ号」の指定料金も込み。
東京では売っていないので、現地購入となる。




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