旅行大好きな、新米ライター望月が、
実際に食べた「駅弁」と、実際に出かけた「小さな旅」を紹介します。
お出かけの時の参考になれば(?)幸いです。





2004年8月11日(水曜)

久しぶりに、東日本エリアへやって来ました。
夏旅の定番といえば、芭蕉気分に浸りながら、
旧所名跡を訪ね歩く、みちのく・奥の細道紀行。
今回は、2002年10月以来の2回目、
JR東北本線・仙台駅の駅弁をご紹介します。



仙台までは、東京から新幹線「はやて」で100分。
東北本線のほか、仙山線、仙石線、常磐線に、
仙台市営地下鉄が乗り入れる東北随一のターミナルです。
最近は、仙台都市圏も「Suica」のエリアとなり、
自動改札を、東京同様「ピッ!」と、スピーディーに
通り抜ける人波が、見受けられるようになって来ました。



仙台駅の駅弁は、こばやし・伯養軒・NREの3社がまとまって、
全国でも最大規模の、40種類あまりを販売しています。
一方、工事の影響か、従来あった在来線ホームの販売が無く、
中央改札(2階)を出て、コンコースを左に進んだところと、
新幹線改札内の売店、コンビニの販売が主となっていました。
営業時間は、6時〜21時ですが、遅い時間になるほど、
当然、品切れの可能性は高くなります。
(画像は、新幹線乗換口付近の売店)



仙台を代表する人物、伊達政宗にちなんだ、
「独眼流政宗弁当」(1100円・こばやし)は、2段重ねの幕の内。
くるみおこわと、味噌・しそのおにぎりが、メインのご飯です。
おこわは、独眼流にならって“固め”の仕上げとか。
仙台名産も品目たっぷりで725.7kcalと、食べ応えは十分です。



三陸〜金華山沖は、暖流と寒流がぶつかる日本有数の漁場。
そんな海に、思いを馳せながら味わいたいのが、
「みやぎ黄金海道」(1000円・こばやし)です。
食材に手抜きがなく、ウニ・いくらもたっぷりのって、
満足度の高い逸品です。



「あなごめし」(1000円・こばやし)も、なかなかイケます。
牡鹿町産のあなごと、宮城のお米「ひとめぼれ」がGOOD。
焦げ目の味が、手作り感を醸しだしています。
通常「あなご」は、瀬戸内方面に多い駅弁のせいか、
東北では、少し珍しい存在に思えますが、そこは駅弁激戦地。
競争のおかげで、全国的にもレベルの高い「あなごめし」に
仕上がっています。選んで後悔することはありません。

今回も「こばやし」の駅弁紹介で終わってしまいましたが、
「伯養軒」「NRE」の駅弁は、また追々…。


■旅のワンポイント〜真夏の奥の細道@・松島&秋保温泉

俳聖・松尾芭蕉が、1689(元禄2)年に、江戸・深川から、
弟子の一人を連れて、東北・北陸と歌枕を巡った旅…。
この旅を元に書かれた紀行文が「奥の細道」です。
日数は実に150日間、距離は600里にも及びました。
この夏は、芭蕉の足跡をはじめ、自分の足で、
みちのくを、ぶらぶらとしてみることに致します。
第1弾は、日本三景「松島」にやって来ました。



松島へは、仙台駅の地下ホームからJR仙石線が出ています。
実はこの電車、最近まで山手線をぐるぐる回っていた車両。
東京では11両の長い編成でしたが、仙台へ来る時に、
4両の短い編成に改造されました。



特筆すべきは、一部編成の石巻寄り1両は、用途に合わせて、
座席の向きを回転できる「2WAYシート」が採用されたこと。
東日本の普通列車では珍しく、進行方向を向いて着席できます。
(朝夕は、通勤用に横向きで固定して、定員を増やします)
日中、この座席なら、駅弁を食べながら旅が楽しめますね。
このように、フレキシブルな対応が出来る車両を、
首都圏でも採用すれば、駅弁の活性化に役立つのに…と思うのは、
私だけでありましょうか?
余談ですが、東北の方は辛抱強いのか、単に習慣が無いのか、
座席の向きを、進行方向に向けてあまり変えたがらないのは、
ちょっと驚きでした。
(関西や中京圏では、逆を向いていたら、すぐ変えるのに…)



さて、松島観光のポイントは、島めぐりと国宝・瑞巌寺。
時間と暑さを考えますと、瑞巌寺→遊覧船と回るのが賢明です。
瑞巌寺の起源は、平安時代初期に出来た天台宗のお寺。
一時荒廃しますが、伊達政宗によって再建され、
伊達氏の菩提寺として、仙台の文化が結実しました。
画像の本堂のほか、庫裏は「国宝」に指定されています。
(拝観料700円)



そして、松島を代表する建物といえば「五大堂」(無料)。
こちらは、国の重要文化財に指定され、優雅な外形が、
今なお、訪れた人の心を魅了しています。



この「五大堂」からは…、奥の細道にもある雄島と、
双子島など、島々の風景が広がります。
でも、風光明媚な景色を心ゆくまで味わいたければ、
やはり遊覧船に揺られるのがイチバン!
50分ほどで島々をめぐる遊覧船は、大人1400円です。



初めて、松島の遊覧船に乗った方は、船を追いかけてくる
カモメの大群に驚かれるかもしれませんね。
船のデッキでは、餌付けをしていて、船が動き始めると、
エサを求め、一斉に船を追いかけてくるというわけです。






松島にも「内松島」と「外松島」があり、内海側は、
海の近くまで松が生い茂るやさしい表情。
逆に外海側は、波の造形美が美しく、荒々しい表情です。
船の案内放送が、ポイントを紹介してくれますので、
飽きることなく、景色を満喫できるでしょう。



さて、松島の絶景を楽しんだら、市街へ戻って、
仙台の奥座敷・秋保(あきう)温泉へ向かいます。
仙台駅前のバスプール・8番乗り場から、
ほぼ30分おきに宮城交通バスが発車、約1時間です。
お目当ての「秋保温泉共同浴場」(200円)は、
バス停「秋保温泉湯元」から左手へ入ってスグです。



ph7.4のお湯は、クセのないさっぱり感のあるお湯。
3〜4人も入れば一杯の、地元の方愛用のお風呂は、
お湯の熱さも忘れ、いつまでも味わっていたくなるでしょう。

※このエリアにお得なきっぷ「仙台まるごとパス」

今回の松島・秋保温泉を網羅する、優れもののきっぷが、
7月から発売されました。
その名も「仙台まるごとパス」(2500円・2日間有効)。
仙台エリアのJR、地下鉄、市バスほかが、
2日間乗り放題で2500円です。
仙台駅〜秋保温泉の往復でバス料金が1560円。
これに松島と山寺を組み込めば、確実に元が取れます。
牛タン他、市街地のグルメめぐりにも活用OK。
割引クーポンもついて、お得です。
仙台観光の際は、駅に着いたら「みどりの窓口」で、
このきっぷを購入してから出かけたいものです。

http://www.sendaimarugoto.com/index_01.html

次回は山形&山寺で、セミの声を堪能します。




2004年8月1日(日曜)

1ヶ月にわたった北海道シリーズも、今回で打ち止め。
今週は、JR函館本線・函館駅の駅弁をご紹介します。



かつては青函連絡船が発着し、北海道の玄関だった函館。
本州方面へは、津軽海峡線(江差線)が発着していますが、
駅舎も建て替えられた今となっては、
その役割は、昭和の時代とは、大きく変わりました。



函館駅の駅弁は、明治22年創業の「みかど」が、
製造・販売しています。
販売場所は、ホームとバリアフリーでつながる改札口を出て、
右手に見える専用売店。(営業は朝8時〜夜7時)
このほか、ホームにある売店でも販売。
特急発着ホームでは、カートでも販売しています。
魚介類の駅弁が多いため、完全に入荷するのはちょっと遅め!?



函館で、朝一番から販売があるのは「特選鰊みがき弁当」(840円)。
ニシンとカズノコが、ドッカーンとのったお弁当は、
掛け紙もインパクト十分。思わず、手に取りたくなるでしょう。
ニシンを二枚に下ろし、天日で干したものを、
甘醤油で味付けしているそうです。
先月の深川や、去年の名寄でもご紹介した、
北海道ならではの親子の組合せですが、食べ比べも面白いですよ。



北海道に来た以上、イクラ三昧を試みたいという方は、
「いくら弁当」(840円)も、朝から売っています。
朝市に行けなかった方は、この駅弁で救済してもらいましょう。
なお、イクラを別盛にした1260円バージョンもあるようです。






函館の海の幸を、とにかく、全部満喫しておきたい方は、
「蝦夷ちらし」(1260円)といったものも、あります。
うに・イクラ・カズノコ・ホタテ・サバなど…満載です。
さくらんぼまでのってます。



最近は、東北新幹線「はやて」と特急「スーパー白鳥・白鳥」を、
乗り継いだツアーも盛んな函館。
数多い駅弁の販売は、お昼時がゴールデンタイムとなりますが、
それ以外の時間は、売り切れていることも多いかも!?
希望の駅弁を、ゲットしたい場合は、予約した方が確実です。
※「みかど」ホームページ
http://www.hotweb.or.jp/eki-ben/


■旅のワンポイント〜夜景&朝市・函館の一夜



赤く染まった、函館の港。
夕日に舞う、寂しげなカモメが一羽…。
函館の一夜は、旅情を誘う風景から始まります。



函館は、路面電車の街でもあります。
「湯の川〜函館どっく前」と「湯の川〜谷地頭」の2系統があり、
湯の川〜十字街(函館山最寄り電停)の間は、5分間隔です。
レトロな車両から最新式の車両まで、バリエーションは豊富。
この函館市電に乗って、谷地頭(やちがしら)へ向かいます。


市電の谷地頭終点から、歩いて5分の場所に、
旅人御用達の「市営谷地頭温泉」(370円)があります。
1951年に、函館市水道局が掘った温泉で、
ph6.1の茶褐色のにごり湯が、64℃で自噴しています。
現在の建物は、98年にリニューアルされたもので、
露天風呂も兼ね備えた、開放的な浴場です。

私が45℃の「あつ湯」に、のんびり入っていたら、
「よく入ってられるねぇ」と地元の方に驚かれてしまいました。
昔の建物の時代(98年以前)、地元では、
「あつ湯を毎日飲めば、病気知らず」と言われていたとか。
しかし、新しい建物になってから、飲泉は禁止となったそうです。
せっかくの温泉文化が、建物のリニューアルによって、
失われてしまったことは、残念なことです。



そして、函館に欠かせないものといえば、ご存知「夜景」!
ナポリ、香港と並んで、世界三大夜景の一つといわれます。
夏場は、海にもイカ釣り船の漁火がきらめき、
一味違った、夜景が味わえます。
電停「十字街」から、坂道を登るとロープウェイの山麓駅。
ロープウェイは、往復割引で1160円と結構な感じです。



こちらは、夜景モードで撮ってみました。
昔、訪れた時は、デジカメすら普及していない時代でしたので、
ここ数年の技術の進歩が、いかに凄いものだったか、
改めて感じさせられました。



夜景を堪能した夜が明けて、朝…。
函館の朝といえば、何はともあれ「朝市」!
定番といえ、魚介類を安く味わえるのは魅力ですね。
場所は、駅から右に歩いてスグの所です。



活きたままのカニが、ハカリにのせられ、
氷漬けにされて、ドンドン売られていきます。
左のカニは、発泡スチロールから、逃げ出そうとしてます…。



朝ごはんは「海鮮丼」で、決まりでしょう。
私が入ったお店では、うに・イクラなどがのって1890円。
夏でしたら、水揚げされたばかりの「イカ」を、
味わうのがベターかもしれませんね。

温泉、夜景、朝市と、身も心も満腹感たっぷりの函館の一夜。
また、来たくなる街です。