旅行大好きな、新米ライター望月が、
実際に食べた「駅弁」と、実際に出かけた「小さな旅」を紹介します。
お出かけの時の参考になれば(?)幸いです。




2004年4月16日(金曜)

今回の駅弁膝栗毛は、JR中央本線・塩尻駅の駅弁をご紹介します。



塩尻は、東京〜名古屋を結ぶ、中央本線の「中間点」。
JR東日本が管轄する「中央東線」と、
JR東海管轄の「中央西線」の境界駅になっています。
ただ、東線・西線を直通する定期列車は、1本もなく、
どちらの路線も、松本・長野方面を結ぶ篠ノ井線へ、
直通運転を行っています。



塩尻駅の駅弁屋さんは、駅近くの「カワカミ」さん。
販売は、東線の特急「あずさ」が発着する1・2番線。
西線の特急「しなの」が発着する5・6番線の売場がメイン。
売店の名称も合わせて「あずさ」「しなの」となっています。
このほか、改札脇のKIOSKでの販売もあります。
営業時間は、大体、朝8時半ごろから夜7時ごろまで。
夕方には、やはり品薄気味となってしまいます…。



塩尻駅の名物は「とり釜めし」(820円)。
口当たりのいい、ジューシーな鶏肉が、
陶器製の釜にドーンと、鎮座しています。
鶏そぼろと野沢菜の組み合わせもグッド。
店の方は、本物の釜を使って800円台に抑えたお得感を、
自負していらっしゃいました。



旅の途中などで、釜の持ち歩きは面倒だという方には、
「とりめし」(610円)もあります。
味も、そんなに変わらないので、
事実上「とり釜めし」の廉価版といったところでしょうか。



こちらは、もう1つの名物「山菜釜めし」(820円)。
「とり釜めし」より、ヘルシーな感じですね。
もちろん、陶器製の釜を使用しています。
この塩尻駅の駅弁は、松本・岡谷・上諏訪などでも購入可能。
運がいいと、名古屋駅の新幹線ホームでもお目にかかれます。
ただ、塩尻以外で買った場合は、「プラスチック製」の釜。
列車に積み込む際の「重量」の問題があるそうで、
「陶器製」の釜めしは、基本的に塩尻限定ということでした。



釜めし以外では、「岩魚ずし」(740円)が、あります。
こちらも、他の駅に比べて、価格を抑えた作りが魅力的です。



結構、ボリュームもありますが、味覚的にはちょっと単調か?
でも、川魚特有の臭みはなく、上々の仕上がりです。

塩尻の駅弁は、価格設定を比較的低く抑えてあるのが特徴。
時刻表を、のぞいて見ますと、
特急列車の塩尻での停車時間は、せいぜい1分ですが、
各駅停車では、長い時間、停車している列車も目立ちます。
そんな時には、ホームで気分転換でもしながら、
ちょっと“お得感”のある駅弁がいいかもしれませんね。


■旅のワンポイント〜豪快!御柱祭&松本城の夜桜

6年に1度行われる、諏訪大社の「御柱祭」。
中でも、下社の「山出し」行事における、
人が乗った巨大な「御柱」が、山の斜面を駆け下りる
「木落とし」のシーンは、実に豪快なものです。
望月は今回初めて、この「木落とし」を見てまいりました。



「木落とし」の手前から、ほとんど身動きが取れないほどの人出!
後から聞けば、25万人(!)の人出だったそうです。



この「木落とし坂」を「御柱」が駆け下ります。
最大傾斜は45度! ほとんど「崖」です。
祭りの神輿と同じく「御柱」も、大体遅れてやってきます。
観客は、固唾を呑んで、今か今かと「その時」を待っています。



予定から遅れること1時間…、
いよいよ「木落とし」の瞬間がやってきました。!
土埃が巻き上がる中、「御柱」めがけて駆け込む、諏訪の男たち。
張り詰めた空気が一気にはじけ、魂と魂がぶつかり合う瞬間です。
これこそ「御柱祭」の真髄なのでしょう。






木落とし坂を下った「御柱」は、木遣りと共に、
再び、ゆっくりと山を下っていきます。
この「御柱」、どのくらい太いかといえば…?!



これは太い!女性はもちろん、男性でも跨るのが精一杯です。
でも、ご神木ですから、触るだけでもご利益あり(?!)



諏訪大社・下社のある、下諏訪町は温泉の街としても有名です。
建物の隣が源泉の共同浴場、「旦過の湯」(220円)は、
諏訪大社・下社の秋宮から、歩いてスグの旧中山道沿い。
宿場町の真ん中に、温泉が湧き出していたというわけです。



ライオンの口から飛び出す、PH8.6・アルカリ性のお湯は、
熱いものの、わずかに硫黄臭のある、さらりとした感じ…、
といいたかったんですが、浴場からは不吉な、塩素のニオイ!
管理する地元の方の話によれば、“抜き打ち査察”対策で
源泉掛け流しであっても、塩素消毒をしているんだとか…。
ますます、温泉の“本物志向”が強まっている昨今、
こうした時代に逆行するような施策は、ちょっと「?」です。
去年の9月に訪問したときには、湯の花も浮かぶ、
いいお湯だっただけに、残念でなりません…。



下諏訪温泉は、JR中央線から南側の、諏訪湖寄りは、
泉質の異なるお湯が湧き出しています。
ここはかつて、横綱北の湖(現・理事長)が、
現役時代に愛用していたという「みなみ温泉」(220円)。



お湯は単純温泉ですが、源泉47度のお湯は、
浴槽に届く頃には、ちょうど心地よい湯温に。
思いのほか深い浴槽ですが、長湯できるいい感じのお風呂です。






下諏訪温泉でさっぱりした後は、
30分ほど電車に揺られて、松本の街へ。
松本といえば、国宝・松本城。
夜桜のシーズンは、無料で入城できました。

「御柱&温泉&夜桜」をトリプルで満喫できた、今回の信州の旅。
実は、まだまだ続きます。
次回は、華麗な「桜」をご覧いただく予定…。お楽しみに!

※便利なきっぷのご紹介
5月31日までの期間限定!「諏訪湖フリーきっぷ」
新宿〜茅野・上諏訪・岡谷方面へ、特急指定席往復で「1万円」!
富士見〜岡谷間は、自由に乗降できます。(3日間有効)

http://www.jreast.co.jp/tickets/de_f.html?ID=520


2004年4月12日(月曜)

フレッシュな春!空気の澄んだ高原へ出かけてみたいもの…。
そこで今回は、標高881メートルの高原の駅、
JR中央本線・小淵沢駅の駅弁をご紹介します。



清里・野辺山方面へJR小海線が分岐する小淵沢は、
新宿から、特急「スーパーあずさ・あずさ」で2時間弱。
この辺りでは、まだまだ健在、昔ながらの駅名票です。






駅自体は、こじんまりとした駅ですが、
この小淵沢駅、“駅弁的”には、とても大きな駅です。
ホームに掲げられた看板にも、自負が感じられますね。
「丸政」さんが、各ホーム上と改札外の、計3ヶ所に、
売店を設置、朝9時〜夕方6時まで販売しています。



小淵沢の名物駅弁といえば、有名な「元気甲斐」(1300円)。
80年代、ニュースステーションが始まる前の、
夜10時代にテレビ朝日系列で放映されていた、
「愛川欽也の探検レストラン」の企画で誕生した駅弁です。
中は、山の幸ベースの、見事な二段重ね。
一の重は、京都の料亭が担当した「くるみご飯」。
二の重は、東京の料亭が携わった「栗としめじのおこわ」と、
東西両方の味を、同時に味わうことができる駅弁です。
ボリュームたっぷりで、口当たり良好、人気も健在。
お昼時間帯以降に購入予定の場合は、予約をお薦めします。



も1つ、看板商品は「高原野菜とカツの弁当」(850円)。
カツが入った弁当がある駅は、多くても、
野菜がメインの駅弁は、全国探しても、まず見当たりません。
駅弁ながら、シャキシャキのレタスを可能にした、
努力は見事なもの。
カツも、ヘルシーなチキンカツですよ。



アワビの形をしたカゴに入った、
「鮑の炊きこみめし」(1000円)も、なかなかの美味!
カゴは持ち帰って、小物入れに使うこともできますよ。
“アワビの片想い”という通り、フタを合わせても、
ピッタリ重ならない所にも、こだわりを感じました。



「やまのごはん」(800円)は、重くないおにぎり弁当。
梅・栗しめじおこわ・味噌の焼おにぎりの3つが入った
お弁当片手に、八ヶ岳を目指せば、
否応なしに、気分も高まってくることでしょう。



数ある「丸政」の駅弁の中で、今年の新作は、
「2004年御柱祭弁当」(1200円)。
同じ「丸政」さんが販売する、中央本線・茅野駅限定です。



幕の内系が多い“記念駅弁”の中で、素晴らしい香りの
木箱に入って、気合も入った駅弁。
「諏訪大社御柱祭2004」と、刻印もされています。
中味は豪華な二段重ねで、祝いの席らしい駅弁。
期待を裏切らない“記念駅弁”です。

「駅弁」で小淵沢の名を、全国に知らしめた「丸政」さん。
小淵沢を通過する特急も多くありますが、途中下車しても、
食べる価値のある駅弁が、ズラッと揃っていますよ。


■旅のワンポイント〜小海線・高原列車の旅



JR小海線は、八ヶ岳の麓・小淵沢から、
長野・小諸までの80キロ弱を、2時間以上かけて
走り抜ける、非電化のローカル線です。
清里・野辺山といった観光地への、
アクセス路線としても有名です。



途中下車してみたいのは、やはりJR線の「最高」駅、
標高1345メートルの野辺山ですね。
駅では日中、記念入場券(140円)の発売もしています。
小淵沢からは、30分あまりで到着します。



駅前で借りたレンタサイクルで、近くを走らせてみました。
八ヶ岳を正面に見て、風を切って走れば、気分も爽快です。
レンタサイクルは、1時間500円、2時間で800円です。



小海線の線路伝いからは、国立天文台の野辺山観測所も
見えてきました。清んだ空気が観測を可能にしているんですね。
空にきらめく星が、グッと近くに見えてくることでしょう。



駅から2キロほど清里方面に戻った所には、
標高1375メートルの「JR線最高地点」があります。
駅から自転車では、行き15分・帰り10分みておけば、
大丈夫…ということでした。
最高地点には、レストランもあるので、列車を見ながら、
一服するのも悪くないでしょう。(本数は少ないですが…)



野辺山駅の近くには、かつて「高原のポニー」と呼ばれ、
多くのファンを集めた「C56」形機関車も、
屋根の下で、静かに休んでいますね。



野辺山高原をパワフルに動き回ったら、
小諸方面へ3駅ほど揺られて、佐久海ノ口駅で途中下車。
小海線では少ない、気軽に行ける温泉「海ノ口温泉」へ、
行ってみました。駅から5分ほどで「源泉」も見られます。



「湯元ホテル和泉館」では、日帰り入浴(500円)ができます。
湧き出している温泉は、35度と低めのお湯。
源泉は、奥の右側にある、小さな浴槽に注ぎ込まれます・
鉄っぽく土っぽい、やや赤みがかったお湯は、通好み。
一般向けには、加熱・ろ過したお湯の方が、いいのかも!?

東京から日帰りでも楽しめる“空に一番近い鉄道”小海線。
気軽に、風情あるローカル線の旅を楽しめますよ。




2004年4月1日(木曜)

首都圏で、最も「春」を感じられる場所といえば、
やはり「南房総」でしょうか。
私も、南風に吹かれながら、南房総の春を満喫してまいりました。
今回の駅弁紹介は、JR安房鴨川駅の駅弁です。



東京駅から、外房線特急「ビューわかしお」号で、ほぼ2時間。
外房の拠点、安房鴨川駅に到着します。
安房鴨川駅は、外房線の終点でありながら、内房線の終点。
ここから発車する列車は、全て「上り列車」というわけです。
かつては、房総を一周する列車が走っていた時代もありましたが、
現在、定期列車はずべて、安房鴨川で系統が分割されています。



安房鴨川駅では「南総軒」さんが、駅弁を販売しています。
2・3番線ホームの、中ほどに売店があり、
朝は8時ごろから、夕方6時ごろまでの営業です。



名物駅弁は「あわびちらし」(720円)。
プラスチックケースに入った、シンプルな「ちらし寿司」です。
海産物は、純粋に「あわび」だけなので、少し物足りないか?
ま、価格が安いので、こんな所でしょう。



「うにとさざえめし」(900円)は、海の幸がいっぱい。
量は多くありませんが、菜の花のおひたしも入った「房総らしい」味。
満足度は、一番でしょう。



安房鴨川駅における、通常の幕の内弁当は「わかしお弁当」(630円)。
特急「わかしお」号のロゴが印刷された、紙箱に入っています。
房総らしさは、ヒジキの煮物ぐらいですが、
価格の割にボリュームはありますよ。

安房鴨川駅の駅弁で注意しておきたいのは、調製数の少なさです。
「あわびちらし」で1日10個、「うにと…」で1日6個。
漁の状態によっては、影響が出る場合もあるそうです。
売場に並ぶのは、事実上「昼前のみ」といってもいいでしょう。
「どうしても欲しい!」という場合は、前日までの予約がお薦め。
時間を告げておけば、出来立ての温かい物をいただけますよ。
(南総軒・電話0470−92−4651)




■旅のワンポイント〜満開!満喫!南房総の春

南房総の日帰り旅は、早起きがお薦め!
東京駅・京葉線ホームまでの長い長い通路は、
早起きの体には堪えますが、
7時15分発の「わかしお1号」に乗ってしまえば、あとは楽勝!
1時間半で勝浦駅に到着、ここで最初の途中下車です。



輪島・高山と並ぶ日本三大朝市の1つ「勝浦朝市」にやってきました。
勝浦の朝市は、1590年から400年以上続く、歴史あるもの。
朝6時から11時ごろまで、月前半は「下町通り」、
後半は「中町通り」に、およそ80のお店が軒を連ねます。
勝浦漁港に水揚げされたばかりの新鮮な魚介類、
房総半島の新鮮な野菜が、大きな魅力の朝市です。(水曜日休み)



運がいいと、マグロの解体ショーにも出会えますよ。
お店の奥さんが、お客さんをイジりながら、賑やかに進みます。
解体されたマグロは、1ブロック2500円で即売。
中落ちは、わさび醤油で「試食コーナー」に回ります。



朝市をぶらぶらした後は、安房鴨川へ。
駅前のバス乗り場から、名勝「仁右衛門島」(1350円)へ行ってみました。
この島は、「平野仁右衛門」家が、代々、ただ1軒だけ暮らす島。
源頼朝が石橋山の合戦に敗れた後、逃れて来て、匿ってもらったお礼に、
島主・平野仁右衛門に、付近の漁業権を与えた伝説も、有名ですね。



手漕ぎの渡し舟で、島へ渡ります。
5分ほどですが、のんびりした気分が味わえますよ。
朝8時半〜夕方5時まで入島できますが、
夏の観光シーズンにはピストン輸送で、漕ぎ手の方は、
体がパンパンになってしまうとか…。



太平洋の潮騒を耳にしながら、磯の香り漂う中、春の陽を浴びて、
岩場でゴロンと昼寝なんか出来たら最高ですね。
ちなみに私は、1時間半ぐっすり…でございました。



今度は、内房線の各駅停車に乗り換え、和田浦駅で途中下車。
ホームでは、満開の菜の花が、出迎えてくれました。









房総の「花づくり・発祥の地」といわれる和田町の
「お花畑」から高台に上がれば、
太平洋をバックに、菜の花畑が広がります。
ミツバチとモンシロチョウが、元気いっぱい飛んでいました。

雄大な太平洋と共に、菜の花畑の中を進む、南房総の旅。
菜の花のシーズンは、そろそろおしまいですが、
のんびり気分は、通年で味わえます。
ちょっと時間を作って南房総…、いいですよ!



※南房総の観光に便利な「南房総フリーきっぷ」
内房線では木更津以南、外房線では茂原以南がフリー区間。
周辺のバスも乗り放題で3日間有効、7500円とお得です。
往復には「さざなみ」「わかしお」などの指定席が使えます。
館山・安房鴨川では、単純往復でも元が取れます。
1000円プラスのグリーン車用もありますが、
グリーン車を連結している列車は限定されますのでご注意!
詳しくは、JR東日本のホームページで。

(普通車用)
http://www.jreast.co.jp/tickets/de_f.html?ID=445

(グリーン車用)
http://www.jreast.co.jp/tickets/de_f.html?ID=447