旅行大好きな、新米ライター望月が、
実際に食べた「駅弁」と、実際に出かけた「小さな旅」を紹介します。
お出かけの時の参考になれば(?)幸いです。




2003年9月22日(月曜)

そろそろ「新米」収穫の季節。
日本を代表する「米どころ」といえば、新潟県の魚沼地方。
そこで“新米”ライター望月も、この地域を代表する駅、
JR上越線・越後湯沢駅を訪れました。




越後湯沢といえば、スキーのイメージが強いものですが、
現在の越後湯沢の主役といえば、こちら!




在来線最速の時速160キロを誇る、特急「はくたか」号。
越後湯沢から、第3セクターの「ほくほく線」を経由して、
北陸・金沢の間を、2時間半あまりで結びます。
今では越後湯沢が、北陸の「玄関口」となっているんですね。




駅弁を販売する「川岳軒」のお店は、
新幹線から、在来線の「はくたか」号への乗換口が充実。
接続列車が到着すると、駅弁を求める乗客で混雑します。




日中の改札口前には、特別に駅弁を販売するスペースも。
「魚沼産コシヒカリ」を徹底アピールです。
人気ランキングも貼ってあり、ビギナーにも優しいお店です。




こちらが、「人気第1位」の「いくらたらこめし」(1000円)。
掛け紙でも、「魚沼産コシヒカリ」を強調していますね。




イクラとタラコのバランスもよく、彩りもきれいです。
でも、口にすると印象に残るのは、お米の美味さ。
まあ、人気1位というのも納得でしょう。




続いては、「特製かにずし」(右・900円)と、
「くるみ山菜すし」(左・750円)も食べてみました。




「特製かにずし」は、人気第2位。
決して量も多くなく、楽に食べきれるのがポイントでしょうか。




越後湯沢は、今でこそ東京に最も近い「玄関」ですが、
昭和初期に、上越線が開業するまでは、行き止まりの山里でした。
そんなひなびた山里の時代を想起させる駅弁が、「くるみ山菜すし」。
最も、越後湯沢らしい駅弁かもしれません。
ただ、山菜尽くしであるがゆえ、ちょっと飽きるかも…。




「すきやき弁当」(左・1000円)、
「雪国弁当」(右・800円)にも、チャレンジです。




「すきやき弁当」は、越後湯沢で唯一、加熱式の容器を使用。
「越後もち豚」という豚肉を使っているのが特徴です。
温かいお弁当は、厳寒期の乗換時には、強い味方ですね。




「雪国弁当」は、オーソドックスな幕の内。
魚沼産コシヒカリを、十分に堪能したい方にはピッタリです。

越後湯沢の駅弁は、やっぱり「お米」が主役。
どんなおかずでも、「美味しいごはん」でペロりといけますよ。
越後湯沢は、新幹線で東京から1時間15分ほど。
新米の季節、本場のお米を堪能する旅は、いかがですか?

■旅のワンポイント〜温泉と酒の町・越後湯沢



“国境の長いトンネルを抜けると雪国であった…”
有名な川端康成の小説、「雪国」の冒頭は、
冬に越後湯沢を訪れると、誰もが納得するものです。
この越後湯沢、とかくスキーの町という印象が強いもの。
でも、素晴らしい温泉に恵まれた「湯の町」でもあります。




画像の「湯坂」の途中にある共同浴場が「山の湯」(300円)。
ここが、越後湯沢・随一の名湯なんです。




源泉温度43度、アルカリ性で硫黄臭のあるお湯。
入ると不思議に「爽快感」があるんです。
5人も入れば一杯の、決して広いお風呂ではありませんが、
湯の花たっぷり、源泉が浴槽からジャンジャンあふれます。
ちなみに、体を洗うお湯は、少し熱めの別の源泉。
300円で、2種類のお湯が楽しめるお得なお風呂です。
地元の方は、「地震があると、すぐお湯の温度が変わる」と話し、
日頃から、大地の力を肌で感じているようでした。
また、「ほかの宿に泊まっていても、わざわざ入りに来る」、
「新潟(東京)へ出張した人が、下車して寄ることも多い」とも話し、
「山の湯」の人気の高さを、語っておりました。
数ある温泉の中でも、なかなか無い気持ち良さを味わえます。




さて、越後湯沢で途中下車したのなら、是非立寄りたいのがココ。
駅構内で、日本酒を扱ったミニテーマパーク、「ぼんしゅ館」です。
中でも、500円でチャレンジできる「利き酒」コーナーは、
コイン5枚とお猪口を手渡されて、越後の銘酒を5杯まで味わえます。




一番人気は、やはり「越乃寒梅」。コイン1枚を投入口に入れて、
ボタンを押すと、お猪口一杯分の「越乃寒梅」が出てきます。
ちなみに2位は、「久保田」でした。




ズラリと並んだ越後の銘酒の数々。
でも、ここで味わえるのは、新潟県全体の日本酒の、
わずか1割にすぎないんだとか…。
さすが、米どころ・新潟です。

名湯につかって、銘酒にほろ酔い気分。
そして、美味いお米に舌鼓を打ちながら、次なる旅路へ。
シーズンオフの湯沢こそ、ふらっと立ち寄りたくなる町です。

※在来線の「上越国境越え」には要注意!



画像は、JR水上駅の下り時刻表。
越後湯沢は、上野から普通列車でも3時間台で、十分日帰り圏内です。
ただ、ネックとなっているのが、水上〜越後湯沢間の列車本数。
わずか、1日5往復。(夏や冬には、1〜2往復増便もある)
もし、のんびりと普通列車で越後湯沢へ行く時は、
この5本に接続する列車を選びたいものです。
(03,9現在、上野発5:13・6:30・10:25・14:25・17:30 となります。
なお通常、越後湯沢発水上行最終列車は18:02です。)



2003年9月15日(月曜)



駅弁膝栗毛は、北陸シリーズの第2弾、
富山から、お隣・石川県にやって来ました。
今回はJR北陸本線・加賀温泉駅の駅弁をご紹介します。



加賀温泉駅は、加賀温泉郷の玄関口。
明治29年創業の歴史ある「高野商店」の駅弁が、
温泉で癒されたお客さんを、心温かく送り出します。
販売場所は、土産物店の一角と、上下線のホームです。




この駅は、日本海の海の幸を使った「すし」が名物。
北陸線の駅弁では定番の「かにすし」(左・1000円)と、
加賀温泉ならではの「甘えび寿し」(右・1050円)を食べてみました。



「かにすし」は、食べやすくひと口サイズになった押寿しが、
十文字に並んでいます。(少し型崩れしてしまいました…)




「甘えび寿し」も、食べやすく切れ目が入っています。
プリッとした甘えびの食感を、味わうことが出来ますよ。




そして、甘えびの違った味わいが楽しめる「甘えびめし」(右・900円)。
もう1つ、「さばずし」(左・730円)も食べてみました。




小えびとキノコの味つけご飯に、甘えびの塩焼きがのった駅弁。
エビの殻を丸ごと、パリパリ食べるのがお薦めのようですが、
苦手な方にはちょっと辛いかも…。もちろんご飯は美味い!




食べやすさと値ごろ感のある、加賀温泉の「さばずし」。
酢の香りが、食欲をそそります。

海の幸で溢れかえる加賀温泉の駅弁。
中でも、「甘えび」は、「すし」と「めし」のどっちがいい?という方。
甘えびの食感が好きな方には「すし」がお薦め。
丸ごと食べてみたいと思えば、「めし」がいいでしょう。
ま、数ある駅弁を手にとって、どれにしようか、迷うのもいいですね。


■旅のワンポイント〜加賀温泉郷・総湯めぐり

かつて温泉は、共同浴場を囲んで宿が並ぶのが普通でした。
もちろん、宿が「内湯」を持っているのは、稀なケース。
宿泊客は、下駄をカランコロン鳴らして「外湯」へ出かけたものです。
そんな「外湯」を、加賀温泉郷の辺りでは「総湯」と称しています。
今回は、加賀温泉それぞれの「総湯」を回ってみました。




スタートは、加賀温泉駅のバスターミナル。
加賀温泉バスの「山中温泉」行は、1時間に1〜2本
運行されています。

◆山中温泉〜「総湯・菊の湯」(350円)



まずは奈良時代、僧侶の行基が開湯したといわれる山中温泉。
あの松尾芭蕉も、8泊したという歴史ある温泉です。




「菊の湯」は、山中温泉バスターミナルから、歩いて5分ほど。
画像の建物は男湯。女湯は、隣に別の建物が出来ています。




混雑のため、お風呂の画像は残念ながらNG。
プールのように広くて、とても深い浴槽が特徴的です。
ただ、お湯までプールのような雰囲気になっているのはちょっと…。
本物のお湯は、玄関前の飲泉場でいただく事にいたしましょう。

◆山代温泉〜「山代温泉浴殿」(350円)



山中温泉行のバスは途中、山代温泉も経由します。
バス停「山代温泉」で下車して、歩いてこちらも5分ほど。
昭和46年に出来た共同浴場、「山代温泉浴殿」に立ち寄ります。
「浴殿」の名前らしく、風格のある建物です。




この建物、1階が女湯、2階が男湯になっています。
やはり人が絶えることなく、撮影はNGでした。
大きい円形のお風呂が2つ、深めの浴槽。
でも残念ながら、ここでも塩素臭…。

◆粟津温泉〜「総湯」(260円→10月から300円)



再びバスに揺られて、粟津温泉にやって来ました。
ここは開湯1300年、北陸最古の温泉なんだとか。
前2つの温泉に比べると、温泉街はこじんまりとした感じです。




「総湯」も、普通のビルの1階にある小さいお風呂です。
でも一番庶民的で、私としては気に入りました。




ここのお風呂も循環させてはいますが、浴槽には少量ずつ
新たな源泉が注ぎ込まれており、飲泉もできるようになっています。
塩素臭も無く、良心的な「循環」ですね。
「総湯」の中では、少々穴場ですが、まずまずです。

加賀温泉郷の「総湯」は、どこも皆、地域に根付いた共同浴場。
ただ湯量が決して多くない割に、大きなお風呂ということもあって、
「循環」させてしまっているようです。
もう少し、身の丈にあったお風呂ならば…、と思ってしまいました。

さて、加賀温泉郷には、もう1つ「片山津温泉」がありまして、
「総湯」もあるのですが、私が訪れた日は、あいにくお休み。
ホームページ等にも「源泉100%」とあるので、気になるところ。
残念ですが、また次の機会と致しましょう。

※北陸へお得なきっぷ〜「金沢往復きっぷ」「富山往復きっぷ」

正直、割引率は高くなく、普通車用は3000円程度の割引。
そこで、今回は「グリーン車用」をお薦めします。
グリーン車用なら、通常料金の普通車往復と同じくらいの金額で、
往復グリーン車を利用可能。
ふかふかのシートに、深く身を埋めて、静かに景色を眺める…。
たまには、グリーン車の旅というのも悪くないですね。

「金沢往復きっぷ」(グリーン車用)


http://www.jreast.co.jp/tickets/de_f.html?ID=74

「富山往復きっぷ」(グリーン車用)

http://www.jreast.co.jp/tickets/de_f.html?ID=89


2003年9月7日(日曜)



新米ライター望月、北陸・富山県の西部を歩いてみました。
駅弁は、氷見線(ひみせん)と城端線(じょうはなせん)が
分岐しているJR北陸本線・高岡駅をご紹介します。




高岡駅も富山駅の駅弁屋と同じ、「源」さんです。
(03年1月の富山編も合わせてご覧下さい)
北口の改札を出た所と、金沢・大阪方面のホームで
販売しています。ただ、有名な「ますのすし」だけは別格。
KIOSKや、立食いそば店などでも売られていました。



高岡駅オリジナルは、「万葉弁当」(左・1000円)です。
右は、「ぶりのすし弁当」(750円)。
高岡から寒ブリで有名な氷見までは、氷見線で30分弱です。



高岡は万葉集の編者・大伴家持が赴任し、数多くの歌を
詠んだ土地。この歴史にちなんで、「万葉弁当」なんだそうです。
中味は、赤飯とおかずの二重のお弁当になっています。
煮物ベースで小分けされており、食べやすいです。




「ぶりのすし弁当」は、「ますのすし」の姉妹品。
基本的な包装は同じで、色遣いが異なっているぐらいです。
カブラ・人参・昆布のきざまれた物がのっており、
いい彩りを醸し出しています。
「ますのすしは食べたことがある」という方は、こちらもどうぞ。



高岡駅前は、第3セクターに引き継がれた「万葉線」の
路面電車が走り、ゆったりとした時間が流れています。
こうした懐かしい空気を楽しむのも、旅の醍醐味ですね。


■旅のワンポイント〜穴場!富山県西部の温泉&合掌造の里

今年、富山は黒部ダムを中心に、観光客で賑わっているんだとか。
去年の“紅白”の影響なんだそうです。
でも、富山県の地図を見てみると、黒部以外にも、
結構、訪れる価値の高い場所が多いもの。
そこで今回は、現在“穴場”的になっている、
富山県西部にスポットを当ててみたいと思います。



まず、万人受けするであろう温泉といえば、「庄川温泉郷」。
庄川(しょうがわ)に沿って、いくつか温泉が点在しているため、
温泉“郷”となっているんですね。
基本的には、JR高岡駅、城端線・砺波駅からバス。
今回は、大正時代創業の歴史ある宿、
「鳥越の宿・三楽園」さんにお世話になりました。




ここの宿は、自家源泉を持っていることでも有名。
画像のお風呂が、名前の由来にもなった「鳥越の湯」です。
ちょっと褐色のお湯で、鉄分が強いお湯で、
岩にはお湯の成分も付いています。
ただ、源泉温度が低いため、加熱をしているようです。
このほか乳白色の塩泉、「庄川清流温泉」も中々いいですよ。




部屋からは、堰の影響でゆったりした庄川の流れが望めます。
料理も素晴らしく、サービス満点でした。
エステなども充実して、特に女性にはお薦めです。



庄川温泉郷から、車を30〜40分走らせると「五箇山」。
こきりこ節の里、そして世界遺産の「合掌造」の集落があります。
今回は、平村にある「相倉集落」を訪ねてみました。




古き良き日本の田舎の姿を、今に伝えているわけですが、
現在、建物の多くは、土産物店や民宿になっています。
観光客でも、合掌造の建物の暮らしを、少しばかり、
垣間見ることが出来るようになっているわけですね。

さて今回の旅で、最もインパクトがあったのが、この温泉!




魚で有名な氷見市の山間部にある、ひなびた1軒宿、
「神代温泉(こうじろ・おんせん)」です。
(入浴500円、1泊2食8000円〜)
ほとんど高岡市との境にあって、バス停から30分は歩きます。
この温泉、1950年ごろ、油田開発をきっかけに発見された
温泉で、現在も天然ガスの力で、自噴しているということです。
興味深いのは、かつてこの温泉の辺りに、パチンコ屋などの
歓楽街があったというんですが、今では一切、その面影が
無いこと。もちろん宿は、何軒もあったといいますから驚きです。




こちらが注目の浴槽。
大変濃厚な、鉄分と塩分!もちろん掛け流しです。
お湯が注がれる時は透明ですが、浴槽では赤褐色に
濁ります。源泉は52度と高めではあるものの、井戸から
の200メートルの間で、パイプを使ってやや温度を下げ、
浴槽では気持ち熱い程度。ただ塩分が強いので、入浴後、
体のほてりがしばらく取れません。
タオルが真っ赤に変色していたのには、大感動でした。

温泉好きにはたまらないであろう「神代温泉」ですが、
心配なのは、建物のすぐ側で、高速道路の工事が進んでいる
こと。今回レンタカーで、この道路の途中開業部分を走ってみ
ましたが、3分に1度、1台すれ違う程度の利用状況でした。
工事の影響で源泉に影響が出ないことを祈るばかりです。

このほか、氷見市内には隠れた名湯がある模様。
美味しい魚とポカポカになるお湯を目指して、
また、「冬」に訪れるのもいいかなと思いました。