旅行大好きな、新米ライター望月が、
実際に食べた「駅弁」と、実際に出かけた「小さな旅」を紹介します。
お出かけの時の参考になれば(?)幸いです。




2002年11月20日(水曜)

ジンバブエ・ディレクターと行く「泉質にこだわる温泉の旅・第2弾」に
便乗して、JR常磐線・いわき駅を訪ねました。




いわき駅は、10年程前まで「平」という駅名でした。
上野からは、特急「スーパーひたち」で2時間15分くらいです。




いわき駅の駅弁屋さんは「住吉屋」。京王百貨店の
駅弁大会でもおなじみの業者ですね。
特急の発車時にはホームで立売をしますが、
今日は敢えて改札を出て、駅前にある「住吉屋」に
直接伺います。もちろん、これには理由があるんです。



お店の脇がお弁当売場。放置自転車をぬって進みます。



手作りのメニュー表。いい味出してます。



直接訪問したのは、「作りたての」駅弁を頂きたかった
からなんですね。ここへ来ると、温かいご飯を詰めてくれるんです。
必ず温かい「駅弁」が食べられる駅は、そう多くないですよ。



同じような容器ですが…、
左が「うに弁当」(950円)・右が「貝焼弁当」(1150円)です。




こちらが望月イチ押し「うに弁当」。温かいご飯と
「うに」のまったりした味が合います。
「うに」がこぼれないように注意して頂きましょう。




白いご飯と色々な海産物を楽しみたい時は
「貝焼弁当」がいいですね。
うにの「貝焼」は、地域の名物のようです。

決して駅弁の品数は多くありませんが、
1度「うに」を賞味する価値はあると思いますよ。


■旅のワンポイント@〜常磐の戦い
「スーパーひたち」VS「高速バス・いわき号」常磐の戦い。
別に戦国時代の合戦ではありません。
JRの特急「スーパーひたち」号と「高速バス・いわき号」の
「戦い」です。




いわき駅に停車中の特急「スーパーひたち」号。
平成元年の登場から14年が経ちますが、
今も最高時速130キロで常磐線を快走します。
一方で、常磐道はいわき市内まで延伸。
常磐線沿線は、「スーパーひたち」号だけでなく、
高速バスも有力な交通手段となってきました。
そこで、今回は「スーパーひたち」と「高速バス」の
徹底比較をしてみたいと思います。

<料金>
「ひたち」:ひたち往復きっぷ(11300円)…
片道5650円(自由席利用より気持ち安い程度)
「高速バス」:回数券(4枚綴り11000円・利用期限なし)…
1枚当り2750円!と激安!よって、「高速バス」の勝ち!

<時間>
「ひたち」:東京→上野(15分)+上野→いわき(2時間15分)=2時間30分
「高速バス」:東京→いわき=3時間 
単純計算では「ひたち」ですが、倍の料金を支払って
短縮時間がわずか30分。従って、事実上の「引き分け」!
(ちなみに行きのバスは、首都高が空いていれば
2時間40分くらいで到着することもありますが
帰りは首都高の加平から一般道を経由しますので、
30分ほど余分にかかります)

<車内設備>
「ひたち」:2列4席リクライニングシート、シートピッチもまずまず。
喫煙可能な車両もある。
「高速バス」:2列4席リクライニングシート、シート、シートピッチは狭い。
全区間禁煙。設備に関しては、「ひたち」の勝ち!

う〜ん、デフレ経済の下では安いバスの方がいいのか?
でも、鉄道ならゆったりしていてタバコも吸えるし…。
こうなると、どちらを利用するかは、皆さんの判断にお
任せするしかありませんね。ゆったり、しかも時間に
正確でありたければ、「スーパーひたち」。
とにかく安く、急ぐ旅でなければ「高速バス」。
さあ、あなたの選択はどっち?


■旅のワンポイントA〜旅の途中で見かけた「昭和」

世の中、ノスタルジックなものが受けていますね。
台場1丁目商店街をはじめ、昭和のリバイバルソングの
ヒットも相次ぎました。今回、いわき湯本温泉の
途中で見かけた「昭和」っぽいものをご紹介します。




常磐線の一部の車両に、今も残っているボックスシートの
「手すり」です。昭和30〜40年代製造の電車には、
よく用いられていた形なんですね。
昭和50年代製造の車両では「角形」っぽい形、
昭和60年代以降では、プラスチック製の手触りが
ソフトな形になっています。この「曲線」の金具に、
「昭和」を感じるのは、私だけですかね。




湯本駅のこ線橋で見つけた駅名標。「ホーロー板」でしょうか。
古いドリンク剤の看板や、「ぢ」の薬の看板に通じるものが
あると思います。




湯本駅の1番線に湧く「温泉」。ホームは硫黄の香りが漂います。
タイルの形が、実にレトロですね。

なお、高速バスといわき湯本温泉の模様は、
次回のメールマガジンで、ジンバブエディレクターが、
詳しくお送りする予定です?(^^;)
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2002年11月13日(水曜)

江戸時代まで「白河の関」から先は、「みちのく」と呼ばれました。
現在、行政区分上は、福島県から北を「東北地方」と呼びます。
しかし、その行政上の境には、いたって普通の標識が立つのみです。
現代の「白河の関」に相当するものは無いのか…、
いやいや、あるんです!
「関所」ではありませんが、似たような駅があります。




JR東北本線・黒磯駅。
今はこの駅が、関東と東北の「境界」なんです。



画面中央から左に見えている電車、どんなに頑張っても、
手前に写っている列車に連結して走ることは出来ません。
なぜか?実は、黒磯駅を境に「電化方式」が変わっているんです。
(ご存知の方も多いですね…)

電流に「直流」と「交流」があることは、小学校で勉強しました。
「直流」は、電流の向きが一定の電気。
身近なところでは、乾電池がこの電気です。
「交流」は、一定の周期で電流の向きが変わる電気。
家庭の電気はこちらですね。富士川(ふじかわ)以東では、
1秒間に50回変わります。

東北本線は、上野から黒磯までが「直流」の電気。
黒磯から先は、「交流」の電気が流れています。
ですから、先程の画像の中央から左の電車は、「交流」専用。
手前の電車は、「直流」専用の電車ということで、一緒に走ることが
出来ないわけです。ちなみに上野発の普通列車は、最長距離を
走る列車でも全て黒磯止まり。必ず、乗換えが必要となります。
これこそ、黒磯駅が現代版の「関所」と呼ばれる所以です。
(もちろん“小さな変電所”を積んでいる車両は、直通できます)



この階段を上ると…、「みちのく」です。

前置きが長くなりましたが、ここから駅弁です。



黒磯駅の駅弁売場は、ワゴンになっていますが、
たいてい1番線の改札脇にいます。




黒磯名物は、今年で50年の「九尾釜めし」(左・900円)。
右は「きじ焼栗めし」(800円)です。




九尾(きゅうび)とは9本の尾を持った狐の妖怪で、
那須地方に成敗伝が伝わるそうです。
釜飯の方は、本物の益子焼の釜を使って炊き
上げており、ずしりと重みを感じます。
ちゃんと「おこげ」もありましたが、少し「冷たかった」のが残念…。



意外と美味しかった「栗めし」。鶏肉の味わいがいいです。
大型の栗が2個のって、監督のように、栗を「単独で」味わい
たい方にも、配慮したつくりに好感を覚えました。

ここで、駅弁オールドファンの方なら、
「あれっ、“高原肉めし”は?」と思われるかもしれませんね。
私も今回訪れてビックリしたのですが、肉めしを作っていた
高木弁当さん、駅弁から撤退してしまったようなんです。
2年前の夏に訪れた時は、私も「肉めし」を食べたのですが、
今となっては、「思い出の味」に変わってしまいました…。

現在、黒磯駅で孤軍奮闘しているのは、「フタバ食品」さんです。
「フタバ食品」…、ピーンと来たあなたは、
小さい頃、よく「アイスケース」をのぞいていませんでしたか?
そう!あのアイスの「フタバ食品」なんです。
実は、フタバ食品には「外食事業部門」がありまして、ここで駅弁が
作られています。興味のある方は、「フタバ食品」のHPをのぞいてみてください。
http://www.futabafoods.co.jp/


■旅のワンポイント〜会津へ「もう1つ」の道
会津若松へ入るのに一般的なルートは、
東北新幹線で郡山まで行って、磐越西線に乗り換えるのが一般的です。
しかし、もう1つのルートがあるのをご存知でしょうか?

東武線・浅草駅に行きますと、毎時10分〜20分頃、
1時間に1本「快速・会津田島行き」という列車が出ています。
この列車、鬼怒川温泉を経て会津高原を通り、会津田島まで直通。
東武鉄道・野岩鉄道・会津鉄道の3社の線路をまたいで走っています。
会津若松まで、途中の乗り換えは、わずか1回。
4時間半〜5時間弱と、やや時間がかかりますが、
落ち着いた車内でのんびり「汽車旅」を楽しむことが出来ます。
今回、塩原温泉の帰りに、
野岩(やがん)鉄道の「上三依塩原(かみみより・しおばら)」駅から、
この列車に乗ってみました。



上三依塩原駅付近の風景。この日(11/6)は、一面の銀世界でした。



この雪景色の中に到着した「快速・浅草行き」。早速乗り込みます。



途中、日光や鬼怒川温泉・川治温泉の紅葉やウォーキングを
楽しんだ方が、多数乗ってきて、平日にもかかわらず「大盛況」。
ボックス型のシートが、旅情を誘いますね。



途中の下今市で、「お弁当」を売りにきます。ここが食糧の
補給ポイントです。たいてい、東武日光発の列車と連結作業を
行いますので、4〜5分の停車時間があります。



今日のお弁当は、「山菜おこわ」(900円)。
この駅のお弁当のいいところは、「温かい」ご飯を入れてくれることです。
以前、この下今市で「日光ゆば」の入った「幕の内弁当」を食べましたが、
やはり「温かい」ご飯でした。



量ですが、私にとっては、やや少ない気が…。
まあ、女性でも食べ切ることが出来る量といったところでしょうか。

この列車の魅力は、何より「安い」こと!
浅草→鬼怒川温泉が1500円、会津高原までは2540円です。
ちなみに、前回紹介した「塩原温泉」へは、上三依塩原までが2300円。
そこから塩原町営バス(本数少ないので注意!)が600円で、計2900円となります。
(高速バスの3000円といい勝負です)
リーズナブルに旅情を満喫したい方には、お薦めの路線でしょう。



2002年11月7日(木曜)

今回は、駅弁の「聖地」、JR東北本線・宇都宮駅をレポートします。



なぜ、宇都宮駅が「聖地」なのか?
少し歴史に詳しい方ならご存知かもしれませんが、
この宇都宮駅こそ、日本で初めての「駅弁」が売り
出された駅なんですね。当時の駅弁は「梅干おにぎり2個と
たくあん」というシンプルなもの。
現在は、2つの業者が張り合って、
発祥の地にふさわしい美味しい駅弁を提供しています。




改札すぐの駅弁売場は、「松廼家(まつのや)」
「富貴堂」一緒ですが、販売員は2人いて、
それぞれ自社の駅弁を薦めてきます。




いました!今となっては、とても珍しくなった立売の
おじさんです。平日でも、普通列車1本着くごとに
「べ〜んとう、べ〜んとう」の渋い声を張り上げます。
まさに発祥の地のプライドです。




私のお気に入りは「日光杉並木」(松廼家・1000円)です。



2段重ねの下段にある(画像左)、ゴマの風味がきいた
鶏ごはんがいいんです。




一番人気は、こちらの「とりめし」(松廼家・700円)だそうです。



この「とりめし」、箸を入れただけで、そぼろが溢れ
出すほど「ぎっちり」詰まっています。




今の宇都宮名物といえば「餃子」ですね。
駅弁にも「餃子弁当」(富貴堂・800円)があります。



焼餃子×4、揚餃子×3、シュウマイ×1に、
白いご飯だけとシンプルな構成です。
宇都宮にある餃子店の組合の監修の下で作られ
ていますから、味は大丈夫ですよ。、
ただ、この「餃子弁当」の注意点を…。
私は、つい普通列車で「開封」してしまったのですが、
その瞬間から「ニオイ」が、車内に充満してしまいました。
ですから、空いている電車で食べたり、家にお土産で
持って帰る方がいいかもしれませんね。



■旅のワンポイント〜秋一番!「紅葉」スペシャル!!
朝夕を中心に冷え込んできましたね。
この冷え込みが、木々をより一層色づかせていきます。
今回は、宇都宮から少し足を伸ばして那須・塩原へ。
温泉&紅葉の「ダブルスペシャル」でお送りします。

まずは、那須湯本温泉へ行ってみました。



JR黒磯駅からバスに揺られて35分。
那須湯本バス停を降りると「温泉神社」です。




名所「殺生石」の辺りから麓を望みます。この付近は、
硫黄の臭いが立ち込めています。
平日の昼間でしたが、意外と観光客がいるものです。
残念ながら那須湯本の紅葉は終盤。
この時は新那須付近が見頃でした。



那須湯本の温泉は、この「鹿の湯」から始まりました。
ずっと混浴でしたが、最近は女性用のお風呂も出来て、
若い女性の姿も見られます。
お湯をお見せしたいところですが、基本は“湯治場”。
撮影はNGということで…。
(写真を撮っていると「湯番」の方が怒鳴り込んでくるそうです。)

そんなわけで男性用の浴槽を言葉で説明しますと、
4人も入れば一杯になる湯船は全部で6つ。
41・42・43・44・46・48℃と分かれています。
ぬるい方から徐々に体を慣らしていくのがいいそうです。
(「特に熱いお湯に入るときは入浴法を守ってください」とのこと)
白濁で硫黄臭たっぷり、強い酸性のお湯です。




お湯から出てきたら、外は「雪」が舞っていました。
この渡り廊下を通ってお風呂へ向かいます。
冬の装いも風情があることでしょう。

少し紅葉が消化不良でしたので、黒磯駅に戻り、
2駅乗って西那須野駅からJRバスで「塩原温泉」に向かいます。




福渡(ふくわた)橋からの紅葉。
塩原渓谷は紅葉本番を迎えてきました。
あまりに紅葉がきれいでしたので、急きょ予定を
変更して泊まることにしました。




翌朝、旅館の部屋から表を見てビックリ!
夜の間、山は「雪」だったんですね。
このように「秋と冬の境界線」が、ハッキリと見える
景色も珍しいでしょう。女将さんによれば、
初雪ではなく今年2度目の雪とのこと。
雪が降った後の紅葉ほど美しいものはないとも
おっしゃっていました。




お世話になった福渡温泉「恵山荘」さん。
家庭的なもてなしが、とても良かったです。

次の日は、5キロほどウォーキングをしながら、
共同露天風呂めぐりをします。



こちらが「不動の湯」(200円)。森林浴をしながらの
入浴はたまりませんね。少し硫黄のにおいを感じつつ、
沢のせせらぎを聞きながら、色づく木々の中の
お風呂となりました。
近くには今、流行りの「足湯」もありましたよ。




300メートルほど歩くと「岩の湯」(200円)です。
こちらは川原にあります。このお風呂からの風景は…、




いいでしょう。「温泉&紅葉」、堪能できるのは今だけです!

<那須温泉・塩原温泉へのアクセス>
■那須湯本温泉…JR黒磯駅から東野(とうや)バス35分。
       「鹿の湯」はバス停から徒歩5分。
       車では、東北自動車道・那須ICから県道17号線で。
■塩原温泉郷…JR西那須野駅からJRバス45分。
       車では、東北自動車道・西那須野塩原ICから国道400号線。
今なら新宿駅から出ている高速バス「もみじ」号が、
片道3000円・乗り換えなしで、一番オトクかもしれません。