■金子修介監督 1998年8月15日 「ガメラ3」にエキストラとして参加!そのロケ現場にて

  JR系列の旅行会社主催のツアーとして、「ガメラ3  邪神(イリス)
覚醒」ガメラ3」へのエキストラ出演+ホテルグランヴィア京都宿泊とい
う企画があった。
 もともと映画ファンであり特撮ファンでもある私は、一も二もなく、こ  
のツアーに飛びついた(後に聞いた話では、申込みが殺到し、定員三百名
はあっという間に埋まってしまったという)。
                                  
 我々が参加する撮影は午前六時から本番であったが、それに先立つ主演
の前田愛の撮影が三時三十分からあり、私は現場に見学に馳せ参じた。
  駅の改札口と入口との間には、地下からの吹き抜けとなっている箇所が
あり、そこは当然透明なフェンスのようなもので覆われている。    
  その前に置かれたディレクターチェアに座り、シナリオをチェックして  
いるラフなTシャツ姿の人物がいた。 誰あろう、金子修介監督である。

  さて、いよいよ我々エキストラの出番となった。                        
  助監督より、撮影するシーンの説明を受ける。中山忍扮する鳥類学者・  
長峰真弓と、藤谷文子扮するガメラと交信した少女・草薙浅黄が、手塚と  
おる扮する謎の風水プログラマー・倉田真也と出会うというシーンである。
我々が扮するのは、京都駅の乗客なのであった。                        

  三百人のエキストラは二十〜三十名くらいの十グループに分けられ、そ  
れぞれホームの中、改札口、駅構内、駅の入口などに配置された。      
  指定された場所で待っていると、改札口を出てすぐくらいのところに、  
中山忍と藤谷文子がいつの間にかスタンバイしている。                
                                                                    
  助監督から入場券が配られた。実際にこれで改札口の中へと入るのだ。    
  ヨーイスタート!と、やや離れたところ、駅の入口のあたりに陣取った  
金子監督が声を掛ける。                                              

  ホームへ入ったところでカットがかかる。俳優の側でNGがあったのか、  
エキストラの具合が悪かったのか、私のいる所では判別できなかった。
 やり直しとなり、もう一度改札口の外へ出、入場券をまた貰ってのテイ
ク2である。結局テイク3くらいでOKが出た。                                
  次は何のシーンかな、と思っていると、「今度は同じシーンを、カメラ  
位置を変えて撮りまーす」という助監督の声が聞こえてきた。            
  エキストラはさっきまでの位置から移動し、新たな持ち場を割り当てら
れた。細かく何方向からも同一カットが撮影された。                        
  開始から二時間くらいが経過し、無事撮影は終了した。時刻は午前八時  
近くなっていた。

 見学から含めるとのべ四時間半に渡る大仕事で、私も疲労困憊していた。
  エキストラには、参加記念としてガメラキャップが配られることになり、
駅の上部にある広場で手渡しが行われるため、三百人のエキストラはぞろ  
ぞろと移動を始めた。                                                
  気がつくと、さっきまでいた役者さんたちも、いつの間にか姿を消して  
いる。私も帰ろうかと思ったその時、ふと見ると、撤収準備を始めたスタ
ッフを見守るかのように、金子監督が遠巻きに一人、立っている。エキス
トラは誰も、監督が立っているのに気がつかないのか、興味がないのか、
側に行く気配もない。しかしできるものであればお話ししたい!      
  早くしないと監督がどこかへ行ってしまうのではないか。慌てふためい  
て、私は近くのキオスクに飛び込んで、「写るんです、今すぐちょうだい
!」と叫んだ。              
  カメラを買った私は監督の元へ駆け寄った。    
「握手してください!」                                              
  まずは握手を求める。監督は、                                  
「どこから来られたんですか?」                                      
  と語りかけてくれた。大阪です、と答えた私は、                      
「サインしてください!」                                            
  と、ペンを差し出した。監督はエキストラの参加証の裏にサインを書い  
てくださった。                                                      
「写真を撮らせてください!」                                        
  再三のあつかましい要求にも嫌な顔一つせず、監督はいっしょに写真に  
おさまってくださった。                                              
「それじゃ、ね」                                                    
  写真を撮り終えると、監督はスタッフの元へと去って行った。          
  ガメラ映画出演もさることながら、金子修介監督とこれだけ接近するこ  
とができたのは、私にとって望外の喜びであった。金子監督ありがとうご  
ざいました。      


もどる