________________

雑談:カップめん、反響、デポジット   06.01.98
  







C先生:今日は、雑談をしよう。やはりスタートは環境ホルモンか。このところ、この言葉が新聞に出ない日はない。これまでもこのWebページで主張してきたように、環境ホルモンの本格派がダイオキシン、DDT、PCB、そして、合成女性ホルモン、本物の女性ホルモン、それにちょっと変形だがTBTは、注意を要する。灰色物質が、ノニルフェノール、ビスフェノールA、スチレンダイマーなどなどで、これらが日常品に含まれているということで、問題になっているようだ。

A君:朝日新聞の5月31日朝刊にも4面が「1からわかる環境ホルモン」だったですね。まとめ記事ですから、当然ながら、新しい事実は出ていないのですが。

B君:新事実とは言えないが、色々とダイナミックな動きがあって、ちょっと面白かったのが、「カップめん」の例の全面広告に対する反論が行われたことだ。スチレンダイマーが容器から検出されたのは、特殊な溶剤を用いた実験であった、と即席食品工業会が広告で主張したのだが、国立医薬品食品衛生研究所の河村葉子室長は食品によく似た溶媒を使ったらスチレンダイマーが溶け出した、と反論している。単純に考えても、ラーメンには油があるから、水だけの実験では不十分なのだろう。

C先生:なんだか、非常に細かいところの議論になっていて、妙な感じだね。業界は必死のようだ。業界がすごく気するのが、ちょっとでも危険があるというニュアンスの表現に対してなのだ。現代人は、「生きるとことは日々危険との戦いである」という、生物としての最も根本的な理解を持たなくなってしまったことを反映していると言っても良いだろう。先日、週刊ダイアモンドの抗菌商品を問題にした記事で、TOTOが開発している光触媒による抗菌商品を次のように表現したら、広報担当者が相当気にしているようだ。「....酸化チタンに光が当たったときにでる活性酸素。この発ガン性のある物質を抗菌目的に使用しているからだ....」。言いたいことは、酸化チタンのような無害な物質を使って細菌が消えるというが、菌が嫌がってどこかに行くという訳ではなく、光が当たるとガンを作れるぐらい強力な殺菌作用がある活性酸素を出すことが抗菌のメカニズムである、ということ。先方の主張は、この文章からTOTOの商品が人間に対しても発ガン性があるように読めると言うのだ。どうやってそう読むのだろうね。活性酸素は、文字通り活性だから、発生しても近くの有機物など と反応してすぐ消える、この「常識」を同時に言えというのだろうか。活性酸素が人間の体内で発生すると、これは遺伝子に傷を付けるからガンの元で、その原因にはいろいろある。紫外線、放射線、毒物、重金属などもその原因になるようだ。そのために、ビタミンCやEなどの還元性のある物質がガンの防止になるという。万一、酸化チタンの光触媒を飲んでも、体内は光が当たらないから問題ない。

A君:現代の消費者は、健康志向があまりにも強い。だから、ちょっとでも健康に危険なイメージを与えるキーワードを使うと関係企業の広報あたりが単純に怒るのではないでしょうか。

B君:正しい消費者教育が重要ですね。人間も自然の一部なのだから、もともと常にリスクとの戦いをしているということ。普通の食品を食べること、それ自体リスクが大きいということ。なぜならば、すべての食物はなんらかの意味で取り過ぎれば毒物。塩も砂糖も、タンパク質も、でんぷんも。アルコールなどは相当なる毒物。たばこはめちゃくちゃ毒物。普通の食品のリスクは残留農薬などのリスクをはるかに上回るが、でも色々とバランス良く食べているとリスクが分散して大丈夫。人間の体は、原因は何であり多少の遺伝子異常を修復する能力があるから、それが上手く作用している間は健康を保てる。余り気にするとストレスが修復能力を下げるので逆効果。こんな理解が正しいと思いますね。もちろん、ダイオキシンなどの妙な物質は無い方が良い。たばこも止めて当然。
 さらに、自分の健康を考える余り細菌を殺せば、別のリスク、すなわち、細菌の突然変異を加速して、将来手に負えない細菌を作ったり、あるいは常在菌のバランスを狂わせたりするということを。

A君:そういえば、NTV「特命リサーチ200X」の虫歯特集では、虫歯の原因であるミュータンス菌は、実は2歳ごろまでに母親から感染するのだと言ってました。すなわち伝染病なのだと。もしもこれを超清潔症の母親が聴いたら、子供に口中殺菌剤を使わせそうで怖いですね。一方虫歯にならない人がいて、それは2歳までにミュータンス菌に感染しなかった人だそうだ。虫歯にならないのは、2歳ごろまでに歯の表面の細菌バランスが出来上がり、その後のミュータンス菌が歯の表面についても、常在菌の細菌バランスのために増殖できないためということ。要するに常在菌との共生を上手くやれという話。殺菌をせよという話では全く無かった。

C先生:話を容器に戻そう。しばらく前の話になるが、5月23日の日経夕刊の1面に、「環境ホルモン出しません」「不安一掃狙う」という記事がでて、東洋製缶、大和製缶、北海製缶の3社は、缶の内面塗料をビスフェノールAを出さない無有機溶剤系に代え、来年からは内面にペット樹脂フィルムを張ったものにするとのこと。また、哺乳瓶のメーカー「ピジョン」は、ポリカーボネートに変わる5種類の新素材を選定中。そして、カップめん用には、東洋水産が発泡スチロール製容器に別素材でコーティングをしたり、紙製容器を使う研究を始めたとか。

B君:業界としては、「大丈夫、大丈夫」といっておきながら、やはり変更するしかないのでしょうね。

C先生:業界や厚生省が「心配ない」といくら言っても、このような「恐怖感」が社会を支配してしまうと、まさにどうしようも無いことを証明して見せたようなものだ。今回の環境ホルモン騒ぎに関しては、このような動きで余り問題は無いと思うが、もっと重要なことに対して、同じような「恐怖感」による社会支配が行われると問題だな。
 最近のニュースでは、環境ホルモンなどよりも、もっと寒気がするのがパキスタン、インドの核開発競争だ。どうも核兵器を作ることは原料さえ手に入れば簡単らしいので、この動きが、次々と西に伝わって、イラン、イラク、ヨルダン、イスラエルなどと行くとどうなるのだろうか。

B君:核戦争は最悪の環境破壊ですからね。

A君:21世紀の環境予測には、核戦争は起きないことにしてあったはずで、それでも色々と問題がある。これに加えて核戦争が起きると、少なくとも温暖化の逆、核の冬が来るでしょう。となると食糧生産もだめになって。まあいやな想像は止めましょう。

C先生:ちょっと話題が外れ過ぎたか。またまた容器の話に戻る。

B君:缶の内面をペットフィルムでカバーしたものというのは、いわゆるTULC缶なのでしょうか。あれは、埋め立てをしたときにペットがいつまでも残りそうでいやなのですが。

A君:PETもベンゼン環を含むから、細菌類にとってあまり食欲がわかないタイプのプラスチックでしょうね。今回の変更の方針だけど、食品関係業界のありそうな態度ですね。とりあえず環境ホルモンの問題だけ解決すれば良いと言うだけで、環境影響を総合的に見て適切だという考え方が無い。

C先生:全くだ。スチール缶は早く土の中で腐るのが美点なのだが。

B君:ピジョンの哺乳瓶の素材ですが、変な事を考えないで、ガラスに戻すことで、どうしていけないのでしょうか。ガラスが割れて怪我をすると、これがメーカーの責任なのでしょうか。使う母親の責任だと思いますが。

C先生:現代は、そんな責任回避の時代でもあるようだ。「怪我をする」といった目に見える責任回避のために、環境ホルモン的な目に見えない責任がおろそかにされないことを祈る。怪我は普通一過性だ。
 新情報だ。この前、週刊ダイアモンドでアサヒスタイニーなるビール小瓶を褒めて、ただし、外に使っているプラスチックフィルムの成分と処理法を教えて欲しいと書いたら、あれはPETのシュリンクフィルムで、工場に戻った瓶から外して、リサイクルをしているとのこと。非水平リサイクルのようだ。余り高級品になることはないだろうが。
 ところが気になる話が飛び込んできた。スタイニーの瓶が販売店に戻ってこないのだそうだ。消費者は、普通の形のビール瓶は習慣として店に戻すが、新しい形式の瓶だとリターナブルということが十分に伝わらないのかもしれない。

B君:これも新聞記事ですが、朝日新聞5月31日の29面東京版に八丈町が検討してきた飲料容器のデポジットが7月から限定的に行うというものが有りました。町は、当初ペットボトルも缶もデポジット制にして、6月1日からスタートしたいと販売店などに協力を求めていたのだが、根強い反対があって、駄目になったとのこと。反対しているのは販売店で、手間が掛かる、置き場が無いなどの理由。7月からの試行では、ペットボトルは除外し、4カ所の自動販売機に10円上乗せをして販売し、空き缶を投入すると10円戻る回収機を新たに設置することにした。

A君:えっ。たったの4カ所だけ。

B君:そう。八丈島には100カ所以上の販売店があるが、たったの4カ所だけ。しかも自動販売機だけ。
 「時間をかけても、町民の理解を得ながら、全島でのデポジット制実施に向けて努力する」、と町の担当者が言っている。

C先生:そんなものなのだろうね。要するに社会が変わるには、意識を積極的に変えることを、もう少々やらないと駄目なのだろうか。町の条令で強制することは不可能なのだろうか。最近の政府の常套手段である自主目標を出させるという方法も有りうるだろう。特に、飲料業界にはなんらかの自主目標を作らせるべきだろう。容器包装リサイクル法はあれは不出来な法律なのだろうね。改正できないだろうか。それに販売業者には、手間ヒマが掛かることのなんらかの補償が必要なのでは。いずれにしても、デポジット制は難しいのだろうか。容器問題の最終的な解決法はこれしかないと思うのだけれど。