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日経トレンディを叱る

−−マスコミよ、まともな環境観を持て−−






10月号(1997)年

「自然派ヒット商品ベスト50」なる環境観が全く欠落した記事の大批判!!

  どこかの週刊誌であれば文句も付けないが、天下の「日経」という冠をかぶった雑誌なのだから、せめてほんの少々でもまともな環境観を持って欲しい。まず最初の言葉を解析すれば、この編集者が何を考えている良く分かる。

 以下引用

”ここ数年、ヒット商品の要因分析で欠かせないキーワードが「健康志向」だ。最も身近なのが「自分の健康」に直結する食品や日用品だが、最近は「地球の健康」に役立つ商品も増えてきた。トヨタ自動車の「エコプロジェクト」がいい例だ。地球環境が悪ければ、住んでいる人間の健康が悪いのは当然のこと。今や「自分の健康」と環境問題は切り離せなくなりつつある。そこで、この特集では、広義の「健康」に根ざした注目商品を紹介するとともに、後半では、それらのマーケティングトレンドを業界別にレポートする。また、キワモノ的な面もある話題の商品について、そのオモテとウラを追ってみた。”

 


 

B君:こんな記事を見つけました。まず第一に現代日本人の超過剰健康志向を商売のたねにしていることを全く批判しないようでは、「日経」の名が泣きますね。

A君:まあ、自分としては商品開発の一つの方向に環境を考えようと思っているが、これほど消費者の志向におもねるつもりはない。本当に環境に良いものだけを開発したい。

C先生:まあ、序文の批判からやってもらおうか。ただし、今回は、キワモノ記事の批判はやらない。次回以降にとって置くことにする。

A君:メーカーに居る私でも、そんなことぐらいはできます。まず、最悪の文章が「地球環境が悪ければ、住んでいる人間の健康に悪いのは当然のこと。今や「自分の健康」と環境問題は切り離せなくなりつつある。」というところですね。地球環境問題は、地球上の生態系や人類などの長期間に渡る健全な保全を目的とした問題だからこそ、現時点では全く害は無いが、数10年後に悪影響がでるかもしれない二酸化炭素の排出を問題にしている。だから、地球環境問題とは、むしろ現在の個人生活の快適性や健全性を若干犠牲にしても、守る価値があるというスタンスで取り組まなければならない。ところが、この編集者は、自分の健康のために、地球環境問題を解決しなければならないと考えているらしい。地球環境問題の本質を全く理解していない。論外である。

B君:全くだ。そんな思想だから、将来に禍根を残しかねない抗菌剤などを高い得点にするということになる。自分達だけが健康を享受できれば、将来世代にどんな負荷を付け回しても平気なんだね。この連中は。こんなマスコミを抹殺しないと、市民レベルがいよいよ「環境問題=健康問題」だと誤解する。

C先生:両君とも今日は表現が過激だ。まあ、実際市民の消費トレンドをリードするという心意気だけが先立っているのは事実。市民の環境思想に悪影響を与えている意識すらないのではないか。反省を求めよう。さて、それでは、我々がここに上がっているランキングを作り直そう。ちなみに、日経トレンディのベスト30は次の通り。


ベスト30

1.ワルツ(住宅)積水化学:24時間換気、低ホルマリン、抗菌仕様満載

2.モスバーガー:抗生物質無しの牛と減農薬減化学肥料野菜

3.出光ゼアス(ガソリン):ベンゼン含有量を減少

4.キラミック(水回り)INAX:抗菌仕様満載。

5.GDI(エンジン)三菱自動車:直噴型ガソリンエンジン

6.エコドライブ(時計)シチズン:電池不要の腕時計

7.キシリトール(甘味料):虫歯予防甘味料

8.CEU(シャンプー)資生堂:植物性オイルが原料のシャンプー

9.食器洗い乾燥機:そのもの。

10.サプリ(飲料)キリンビバレッジ:低カロリー飲料

11.オーガニック認定食品:

12.液晶フローラ(パソコン)日立:

13.果汁混合野菜ジュース:

14.ダイケン畳おもて:天然和紙とアクリル系繊維

15.RAV4L EV(電気自動車)トヨタ:

16.TEAM7:自然派家具専門店

17.酢洗い専科(除菌剤)タマノイ酢:酢を除菌用途に

18.エコツアー

19.オリーブオイル

20.シーガルフォー(浄水器):

21.体脂肪計:

22.省エネ冷蔵庫

23.除菌スプレー 松下電工:電解によって次亜塩素酸を作る

24.赤ワイン

25.バクテノール(除菌剤)小林製薬:アルコール系

26.ディスプレー用フィルター

27.パワフル音ハンター(掃除機)三洋電機:音が静か

28.除菌ウェットティッシュ

29.フラミンゴ(小型体重計)

30.ブラストオフ(エコ洗剤):生分解性石鹸

 


 

C先生:さて、我々の評価では、反地球環境型商品、意味不明商品、純粋に健康商品、本当に地球環境調和型商品などが混在しているようだ。分類をしながら、ランクを付けよう。 

B君:せっかくですから、最後に反地球環境型商品ベスト5を作りましょう。 

A君:それでは一つずつ。まず、1位の24時間換気型住宅だが、本当に化学物質過敏症になった人には悪くはない。しかし、その他の人には、昔のすきま風の多いエネルギー効率の悪い家に住むようなものなので、これは、「反地球環境型商品」。抗菌仕様満載なのも冗談ではない。 

B君:2位のモスバーガーだけれど、抗生物質を使っていない牛には、賛成。抗生物質を使うことによって、牛糞を堆肥にするときにも問題が出たり、さらには、雑菌をますます狂暴なものに変える可能性が高いから。有機野菜も我々の主張する減農薬・減化学肥料だから合格。まあ「地球環境的健康食品」。 

C先生:3位出光ゼアスは、ベンゼンを減少させたガソリン。ベンゼンは確実に発ガンリスクがあるからまあ、「地域環境適合商品」 

A君:4位。キラミックなるINAXの丸ごと抗菌。売れているらしい。モスバーガーのように抗生物質がいやなのに、なんで抗菌剤なら良いのだろうか。両方とも殺菌作用を持っているある種の毒物だけどね。農薬にも殺菌剤は多い。キラミックは銀を使用しているらしい。銀の人体影響はそれほどのものではないだろう。しかし、雑菌を鍛えてますます狂暴なものにする可能性は否定できない。やはり雑菌と人類とは共存を目指すべし。ということで「反未来世代型商品」。 

B君:その「反未来世代型商品」というのは面白い表現だ。現世代がますます健康になって将来世代に禍根を残す商品ということだね。 

C先生:現世代がますます健康になるかどうかも、実はあやしい。現代人はアトピーをはじめとして様々なアレルギー症状を持っている人が全体の約30%程度になった。これは、ヒトの体から雑菌や寄生虫などが消滅して余りにもきれいになり過ぎたために、もともとそういったものと戦うようにできている免疫機能が暇になって、本来なら戦わなくてもよい相手であるダニの死骸や花粉、化学物質などと戦うことが直接の原因だ。これは、アトピー症の人々にも聞いて貰いたいのだが、まず、絶対確実な事実だ。すでに体内細菌のバランスが狂っている人が多いが、抗菌・除菌は、ますますそのような人を作りだすことになるのだ。やっかいなことには、そのようなに細菌バランスが崩れてくると、O−157などの感染症にもかかりやすくなる。だから、抗菌・除菌という行為は、目的の細菌を殺せば感染防止にはなるが、有用雑菌を殺すと感染促進になるのだ。まさに両刃の剣で、どちらかと言えば悪影響の方が多いだろう。菌は殺さないような抗カビ水回りを開発すべきなのだ。できるかなINAX!! 我々の結論は、「反環境商品」。 

A君:5位三菱GDI。これはそこそこ○ですね。燃費が良くなるから。ただし、なんで、パジェロなどに積むのだろう。このエンジンは吹かしたら普通の燃費。とろとろ走ると高燃費なことは覚悟してノロノロ運転をしないと効果的でない。「まずまずの地球環境調和型商品」 

B君:6位の電池不要の腕時計。これはC先生もしてますね。 

C先生:電池は、乾電池にせよNiCd電池にせよ、ごみになったときに環境負荷が大きい。その割りには、乾電池に入っている電気量などは全く知れている。1個あたり数銭分の電気しか入っていない。だから、私自身なるべく「充電池」を使う。ただし、これによるエネルギー節約量は知れているから、「ゴミ排出量低減商品」で○。 

A君:7位キシリトール虫歯予防。環境とは無関係。 

B君:8位環境適合型シャンプー。昔から、合成洗剤が良いか、石鹸が良いかといった議論が有って。まあすでに決着が付いていて、直接、河や海に流すのなら生分解性の良い石鹸が若干優位かも。ただし、下水完備のところでは、50歩100歩。だから、これもその類。洗剤の使用量を減らすことがベストの行為。「一見環境的実は環境無関係商品」

A君:9位の食器洗い機は自分でも作ってますのでね。

B君:水の節約とエネルギーの節約とどっちが良いかという話になっているけれど、水は、日本の現状から言えば自前の資源。エネルギーは輸入資源。これをどう考えるか。さらに、高温殺菌でO−157が防げるなどいう話はあるが、まあ、家庭の台所は、雑菌がいっぱいいるお陰で、O−157のような生命力の弱い菌は余り繁殖しないのが普通。雑菌皆殺しは、かえって危険だ。

C先生:10位。サプリ(飲料)。ペットボトルをやめたら○を上げる。 

A君:C先生。サプリに何か恨みでもあるのですか。反応が変ですよ。11位オーガニック認定商品。これは、すでにこのHPでも色々と述べてきた。2位のモスバーガーが無農薬無化学肥料野菜ではなく、減農薬減化学肥料といっていることには感心した。あちらに○。本当に無農薬無化学肥料でやれと言うのは「農家いじめ」で、オーガニックは「単なるぜいたく品」。 

B君:12位。日立にパソコンフローラ。環境無関係。また電磁波問題だ。日経トレンディよ、このHPや大朏博善著「電磁波白書」を良く読んで勉強して!! パソコンは、長寿命商品ならまあまあ。短寿命のものはゴミを買っているようなもの。このフローラは本体が小型だから拡張性が心配。余り長く使えないのでは。 

C先生:13位果汁混合野菜ジュース。単なる飲み物。 

A君:14位和紙の畳おもて。しかし、アクリル繊維で処理。フッ素樹脂コーティングだそうで。アクリルは燃やすと青酸ガスが出ますね。たばこで畳を焦がさないようにご注意。「まあ環境無関係商品」。 

B君:15位トヨタの電気自動車。良いけれどねえ。車両価格495万円という、電池だけでもまともに買えない値段を付けている。商売抜きの「走るコマーシャル商品」。いかにもエコを主張しているようだけれど、トヨタの本音は何か? 

C先生:16位自然派家具。まあ良いのでは。「環境無関係商品」だけれど。 

A君:17位酢洗い専科。これはお酢で各種食中毒菌を除菌しようというもの。これは昔からの生活の知恵を商品に活用したもので、他の除菌とは発想がいささか異なる。雑菌の絶滅をやろうとしていないところが○。これはなかなか良いかもしれない。「おばあさんの知恵商品」 

B君:18位エコツアー。まあ良いのでは。ツアーによる環境破壊にご注意を。 

C先生:19位オリーブオイル。単なる食品。 

A君:20位高性能浄水器。これは趣味の商品。現在の日本では、浄水器は味の確保のためのもの。水道水の健康リスクは食品・たばこに比べればそれほど高くない。食品といっても別に残留農薬ではなくて、普通の食品の健康リスクはかなり高い。「お金持ちの趣味と気休め商品」。 

B君:21位体脂肪計。単なる健康商品。でも少々興味がある。 

C先生:22位省エネ冷蔵庫。これは本物。本物の「地球環境調和型商品」。冷蔵庫による消費電力は、通常の家庭では、その50%を占める場合もあるので。 

A君:23位水電解による除菌スプレー。これは仕組みを説明しないと。水道水に食塩と酢を混ぜて電気分解すると除菌用の水ができるというもの。除菌効果を発揮するのは、次亜塩素酸だ。いわゆる漂白剤で塩素系と言われているものの主成分がこれ。食塩と酢だから安心だろうという素人消費者の感覚を旨く利用しているが、電気分解というプロセスによって、有害化学物質を合成している。塩素系漂白剤を薄めて台所で使いたい人のための「反地球環境反健康商品」。多分、今回の30商品の中では最悪ではないだろうか。日経トレンディがなぜこれを高く評価したか知りたい。

B君:24位赤ワイン。飲みたい。以上。 

C先生:25位バクテノール。アルコール系除菌剤。雑菌皆殺し型の除菌剤はだめ。なぜ駄目かはすでに説明済み。 

A君:26位ディスプレー用フィルター。善良な市民の皆様方、これは電磁波(商用周波数)防止には原理的にならないので、だまされないように。ただし、目の保護、特にブラウン管から跳ね返ってくる埃から目を守るのには有効。「目の健康商品」。

B君:北里大学の某講師の実験結果がまたまた後の記事で引用されている。彼はいつまでこんな主張を続けるのだろうか。本当に電磁波の影響なのか。電場がかかることによる埃の影響ではないことはどこまで確認したのか。普通環境関係の研究者は善意で危険性を主張するのだが、ここまで電磁波有害論に固執するのは悪意としか思えない。

C先生:27位静かな電気掃除機。欲しい。すぐ欲しい。でも環境とは関係ない。 

B君:28位。あれまあ。またまた除菌ウェットティッシュ。「有害商品」!

A君:29位体重計。無視。 

B君:30位エコ洗剤。もしもあなたが自分の船を海や河で洗うのならば、これをお使い下さい。ただし、下水道完備のところなら、洗剤はなんでも同じ。「ヨットオーナーのための環境商品」 

C先生:ランク外の注目商品はどうかね。 

A君:最悪は電磁ニュートラル(電磁波抑制材)でしょう。いんちきである証明がめんどうということを逆手にとった悪質商品です。電磁波の中和はできません。原理的に不可能です。 

B君:帝人が開発したというヘルツUなる(電磁派シールド素材)は、有効周波数が30MHzから1GHzだそうで、FM電波、テレビ電波、電子レンジ、携帯電話などの周波数ですね。こんなものを使ったスーツを着て何になるのでしょうね。携帯電話を使うときの専用帽子・頭巾でも作れば意味が全く無いわけではないですが。 

C先生:相変わらず電磁波商品には驚かされる。それでは、最後に総評として最悪ランキングなどに行こう。


 

3者相談の上:「反環境商品最悪ランキング」

最悪1位:除菌スプレー(松下電工)

最悪2位:キラミック(INAX)

最悪3位:バクテノール(小林製薬)

最悪4位:ワルツ(積水化学工業)

最悪5位:サプリ(キリンビバレッジ)

 なんだ、5位を除けば除菌抗菌商品ばかりだ。

 

3者相談の上、「まともな環境商品ランキング」

まとも1位:省エネ冷蔵庫

まとも2位:出光ゼアス

まとも3位:三菱GDI

まとも4位:モスバーガー

まとも5位:酢洗い専科

まとも6位:電池不要の腕時計

 

3者相談の上、「環境無関係度ランキング」無関係だけれど良いもの。

無関係1位:静かな掃除機

無関係2位:赤ワイン、オリーブオイル

 

全員: 残りのものは、まあどうでも良いや。          以上。


今回の記事がどのような意識で書かれたか、日経トレンディの思想を解析する文章はキワモノ批判を含めて別途準備中ですが、もっとも基本的な疑問は、タイトルの「自然派」というキーワードがどうして人工的環境の極みである「除菌」に繋がるか、なのです。どなたか教えていただけませんか。

 現時点で、もっとも有りそうな発想経路は、「自然派」→「健康に良い」←「除菌」という極めて単純なものですが、厳密に考えると本格的「自然派」はリスクを犯しますから健康に良いとは限らない。特に虚弱な「健康」人は本格的自然派と一緒にアウトドアなどをやると風邪などひきます。しかも上で説明しましたように「除菌」→「健康に良い」も事実ではないと考えられます。ただし、虚弱な「健康人」にとっては、「除菌」→「病気にはならない」かもしれません。

 「自然派」の定義が違うのかなあ??? 「虚弱な健康人が病気にならないこと」=「自然派」ならまあ理屈が成り立つかも知れません。

 ご意見をお待ちします。