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参院選と環境公約 − 遺伝子組み換え食品編
   98.07.05




参院選と環境公約 − 遺伝子組み換え食品編


C先生:今回の3部作の最後、遺伝子組み換え食品に対する公約だ。

B君:朝日新聞(7月4日朝刊)によれば、次のようになってます。
もちろん、ポイントだけ抽出したものですが。(かっこ)に入っているのは、政党が正式には公約としていないことです。


遺伝子組み換え食品の規制・表示
 自民:(表示問題には適切に)
 民主:可能な限り表示を義務化。日本がイニシャティブを持って外国にも表示を。
 公明:(表示義務化。安全性の徹底調査)
 社民:表示義務化。安全性や人体への影響などの調査・研究。
 共産:(原則的に表示義務化。表示内容の検証を)
 自由:(国際的な表示方法の統一基準)
 さきがけ:(幅広い意見の集約と現実的な対応、食品の検証技術が必須)
 新社会:規制を加える。最低限、表示は義務化。
 二院ク:(生活・環境・生態系への影響情報の公開、対応は国民全体で考える)

A君:この公約を評価し議論する前に、この問題を解説しないで良いのですか。

B君:本ページ初登場かな。少々やりますか。まず、確認をしたい。この問題は、われわれの専門外も良いところだから、以下に記述される情報は相当怪しい。専門家の皆様からの誤りの指摘・訂正をお願いします。
 この問題は、非常に面白い問題だ。やや不謹慎かな。なぜなら、特定の企業の問題だからなのだ。モンサントという会社がその本体。モンサントは、もともとは米国大手化学企業だったが、汎用品の製造部門をタコの足のように切って、農業系バイオ技術企業になった。モンサントの開発した優れた除草剤がある。ラウンドアップという商品名で売られているが、これは非選択型非植物ホルモン型除草剤(ある方からのご指摘により訂正!感謝!)で、どんな植物も枯らしてしまう。以前に農薬中毒で問題になったパラコートなどといった猛毒の除草剤とは違うので、農業従事者にとっては安全だ。しかし、畑に撒けば作物も枯らしてしまう。すなわち、非農耕地用には良いが、農耕地用には使えない。この除草剤が植物を枯らせる機構は、植物ホルモン作用による訳だから、当然植物が持つ遺伝子のなかに、その機構が組み込まれている。遺伝子を変えることによって、ラウンドアップ耐性を持たせること、すなわち、ある作物、たとえばダイズの遺伝子を組み替えて、ラウンドアップでは枯れないダイズを作ること、これが遺伝子組み換えダイズの出現理由だ。これができれば、ラウンドアップを用いて除 草を完全に行うことができる。遺伝子組み換え植物以外だけが枯れる訳だから。
 商売として見たときには、この方法は完全だ。なぜならば、ラウンドアップ耐性を持ったダイズの種は売れるし、同時に、勿論ラウンドアップも売れるから。農薬と種子産業を合体させた新しいアグリカルチャーインダストリー(農業工業?)ができるからだ。ラウンドアップそのものの特許は切れた(?)ようだから、種子産業で将来展開を図ったと考えるべきだろう。
 環境保護団体などからの批判は、これが生態系を破壊するのではないか、ということで、これは当然考えられる。自然保護派からみれば環境破壊であることは間違いの無いところだろう。そもそも農業そのものも環境破壊の一種なのだから。

A君:各政党の公約を見ると、生態系影響というよりは、安全性や人体への影響を問題にしているようですね。これは、消費者団体などがそのような理解をしているからなのでしょうか。

B君:そもそも、朝日新聞の問題意識がそんなものなのでは。見出しを見れば、不況・環境・食生活となっていて、環境という言葉で実は安全性を表現しているのだろうから。

C先生:まあひねくれて見れば、現代人の環境感が安全性・健康問題に集約されていることは事実だから、その反映だと思えば良い。
 遺伝子組み換え食品が、人体に直接影響があるかどうか、これは、予測できることだけが起きるという仮定をすれば、これは「まあ大丈夫」だと考えるのが普通だろうな。予測以外のことが起きること、これをどの程度読みに入れるかが問題だが。

B君:生態系への影響は、色々予測できないことが起きても不思議ではないようにも思える。予測できないことを予測すること、それ自体矛盾なのだが、例えば、全く枯れない植物が生態系を支配したり、逆に、ある瞬間にある範囲内の生態系が枯れるとか。

A君:そんなことは起きないという予測じゃないの。環境保護というお題目で、このような食料安定供給技術を止めること、それ自身が人類の生存基盤を揺るがす。その意味で反環境的ではないだろうか。

C先生:まあ、色々と難しい問題がある。
 さてさて、結論的に遺伝子組み換えに見る政党の公約を評価すれば、さきがけ、二院クの二党が妥当性が高い。自民は余りにも政府的答弁。自民党と政府は別物のはず。民主・自由は青臭い。公明・社民は環境意識に哲学がなく狭い。共産・新社会は何か別の意図を感じる。
こんなところで止めよう。ここまでやってきても、どの政党に投票したら良いのか、分からないねえ。