家庭内の塩化ビニル調査
1998.01.05
 

 焼却によってダイオキシンを発生する主原因とされている塩化ビニル、塩化ビニリデンが、家庭内にどのぐらいあるか、あるとしたら、どんなものが塩化ビニルなのかという調査を行いました。使った機器は、オプト技研製のプラスチック判別機です。プラスチックに近赤外線を照射して、戻ってくる反射スペクトルを解析する機械です。まだまだ大変に高価な機械です。せめて50万円で製品化できないでしょうか。もっと簡単に塩化ビニルを見分けられる機械が欲しいところです。
 

調査結果
 
(1)電気部品のパッケージ類です。塩化ビニルでした。

 SCSIケーブルのパッケージです。このように成形されているものは、まず怪しいと思ってください。もちろん、ケーブルそのものを覆っているプラスチックも塩化ビニルです。
 
 このケーブルも塩化ビニルです。さらに、それを束ねている「ねじりっこ」も塩化ビニルでした。
 
(2)ドライバーのケースが塩化ビニル。

 このケースも成形されています。塩化ビニル以外も、もちろん成形はできるのですが、高圧が必要なものが多く、コスト的には、塩化ビニルが最も安いので、値段が安いもので、成形されているものはまず塩化ビニルだと思って良いです。
 
(2’)例外
 ところが、次のもの(デジカメDS10−fujifilmの包装材料だった)はポリプロピレンでした。ポリプロピレンは最近非常に増えていますが、炭素と水素だけからできているものですので、ダイオキシン発生の直接的原因にはなりません。むしろ上質の燃料として回収すべき対象です。リサイクルができればさらに良いのですが、それはなかなか難しい。「同じ物が大量に回収できれば」がリサイクルの条件です。
 ポリプロピレンと塩化ビニルの見分け方ですが、後でもう一度まとめますが、透明度が塩化ビニルの方が高いことぐらいでしょうか。

 
 もう一つ、一見すると塩化ビニル、しかし、実は違う例です。

これは、歯ブラシが入っていたケースです。ブロー成形をしてあるように見えますので、塩化ビニルだと思ったところ、実はPETでした。この製品はサンスターの”Doクリア”です。歯ブラシそのものの材質表示はあります。毛がナイロン、柄がポリプロピレンと表示されていますが、肝心の包装材の材質表示が有りません。塩化ビニルよりもコストの高いPETを使っているのですから、いばって表示しなさい→サンスター様へ。
 
(3)チャック付き袋が塩化ビニル

 家内がパック旅行に参加したときにもらった袋です。軟質の塩化ビニルでした。強度がまずまずあることが、塩化ビニルを使用する理由でしょう。
 
(4)手帳のカバーが塩化ビニル
 
 今年用に買った手帳です。そのカバーは塩化ビニルでした。これも軟質です。「しぼ」が入って手触りが良いものですが、そのために成形が必要なのでしょう。
 
(5)携帯電話カバーの透明部分が塩化ビニル

 この透明な窓の材料も塩化ビニル(場合によると塩化ビニリデンかも知れない。この両者の区別も難しい)。
 
(6)壁紙、テーブルクロス類は塩化ビニルが多い。
(7)水道用ホースも塩化ビニル。
(8)スーパーのラップは塩化ビニル
(9)家庭用ラップの大部分は塩化ビニリデン
(10)ビニル傘は当然塩化ビニルと思ったら塩化ビニリデンでした
 以上5件は、当たり前なので、写真なし。
 
(11)不思議なプラスチック皿、一部塩化ビニル。

 このプラスチックの皿には、ポリスチレンという表示があります。ところが、よくよく調べてみると、どうも絵のある部分は別種のプラスチックからできているようなのです。しかもその部分の材質は塩化ビニルのようです。
 

考察編
 
まず率直に言って:
 思ったよりも塩化ビニルが包装材料に使われていない、少なくともフィルム状のものがほとんど無いことに驚きました。昔は、包装用フィルムは塩化ビニル製が大部分だったはずですが。
 と書きましたところ、お二人の方からご連絡がありまして、ジャムなどの瓶に使っているシールフィルムは塩化ビニルだそうです。手持ちの判別機が、かなり厚みがないと判定不能なので、当方での確認はまだです。
お二人(Mika_y様、kan様)に感謝。ついでで恐縮ですが、F社のTakei様にも誤りのご指摘をいただき感謝。

 
ポリプロピレンが包装材の主流:
 今回の調査で思ったよりもずっと多く使われているプラスチックがポリプロピレンでした。ポリエチレンにしてはガサガサする感じで、パンや花などの包装に使われているフィルム類がポリプロピレンです。例えばビデオテープの包装、ケースなどもポリプロピレンが使われています。
 
常識1(雑学):
 ○フロッピーの外装は、ABSです。ケースが付いていればポリスチレンです。
 ○シャンプーなどのボトルは、ポリエチレンが多い。
 ○コンパクトなどの化粧品容器もABSが多い。
 ○CDのプラスチックは、ポリカーボネート。ケースはポリスチレン。
 ○ポリ袋(ビニール袋)はポリエチレンが大部分。
 ○蛍光灯のカバーは、アクリル樹脂(PMMA)が多い
 
常識2 焼却適性: (○:燃やさないともったいない。△。×:毒ガスなどが出る。)




 ポリエチレン
 ○:燃やさないともったいない
 ポリプロピレン
 ○:燃やさないともったいない
 PET   
 ○:燃やさないともったいない
 ポリスチレン 
 △:すすが出やすい
 塩化ビニル  
 × :ダイオキシン?
 塩化ビニリデン 
 × :ダイオキシン?
 アクリルニトリルを含む樹脂(ABS,AS)   
 × :青酸ガス?
 難燃処理したもの
 × :様々

 

塩化ビニルを見分ける方法は有るか:
 まあ100%完璧にはできないと思います。しかし、フィルム状の包装材はまず違う、板状の厚みのあるものもまず違う、中間の厚さのものが怪しい、といった傾向があります。そこで、何種類かのプラスチックを並べてみて、手触りや外観などをじっくりと観察した結果、どうも次のような差があるようです。
 (1)塩化ビニルは極々薄い青に見える
 (2)塩化ビニルは光沢が少ない(キラキラしていない=屈折率が低い)
燃やせば分かるという説もありますが、あまりお勧めしません。
 

結論:
 包装材としては、次のようなものが塩化ビニルである可能性が多い。
(1)台湾製など、輸入品の電気部品の包装    確率99%
(2)スーパーから買った食品のラップは塩化ビニル 確率95%
(2’)家庭用ラップは塩化ビニリデンが大部分    確率90%
(3)透明度の高い中厚のものが、塩化ビニルの可能性が高い 確率40%
(4)製品の形に合わせて成形しているもの   確率 70%
(5)PETに比べると、薄い青に見えるものが塩化ビニル? 確率60%
(6)キラキラした感じに見えるものは塩化ビニルではない? 確率60%
  

提言:
 最低限次のような対策をとるべきである。
(1)包装材料としての塩化ビニルは原則的に使用禁止にする。もはやそれほどの量ではないから、業界としてのダメージも少ないはず。
(2)包装材料の表示を義務化する。一個所では駄目で、できれば全面に表示。
(3)ラップはポリエチレン製を使う。
 
 廃棄物としてのプラスチックは、
(4)塩化ビニルだけでなく、すべてのプラスチックの分別を行う。
(5)燃焼適性の高いプラスチックは、リサイクルを推進すると同時に、エネルギー回収も積極的に考える。
(6)家庭内に入り込むプラスチック材料の種類を減らす。
 
 ダイオキシン対策:ここまで対策をして、たとえ塩化ビニル・塩化ビニリデンが焼却されないようになっても、ダイオキシン発生量は多分10〜20%程度しか減らないだろう。それは、生ごみ中の食塩から塩素が供給されているから。そこで、長期的には、
(7)生ごみの焼却は、なるべく避けることを国としての方針にすべし。